まともな男の紹介:2015年スイス映画。スイスの雪山を舞台に、ごく普通の“まともな男”がついた小さな嘘をきっかけに衝撃の事態に巻き込まれていく姿を描いたスイス発の人間ドラマです。家族と上司の娘を連れてスキー旅行に出かけた主人公は、男からレイプされたという上司の娘から相談を受け、事態を収拾するために小さな嘘をついて乗り切ろうとするのですが・・・。
監督:ミヒャ・レヴィンスキー 出演者:デーヴィト・シュトリーゾフ(トーマス・エンゲル)、マレン・エッゲルト(マルティナ・エンゲル)、ロッテ・ベッカー(ジェニー・エンゲル)、アニーナ・ヴァルト(ザラ・オルロフ)、ステファン・メーダー(ルエディ)、マックス・フバッカー(セヴェリン)、ビート・マルティ(ザラの父)、オリアナ・シュラージ(エスター)、テレサ・アフォルター(セラピスト)ほか
映画「まともな男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「まともな男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
まともな男の予告編 動画
映画「まともな男」解説
この解説記事には映画「まともな男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
まともな男のネタバレあらすじ:起
ごく平凡な会社員のトーマス・エンゲル(デーヴィト・シュトリーゾフ)は、妻で小説家のマルティナ(マレン・エッゲルト)と一人娘のジェニー(ロッテ・ベッカー)を連れ、休暇を取ってスイスにスキー旅行に行く計画を立てました。トーマスは最近マルティナとの関係はあまり良好とは言えず、しかもトーマスは彼女にひとつだけ隠し事をしていました。それは、普段は気弱な性格ながらも、酒を飲むと豹変してしまうトーマスは、飲酒運転でわざと嫌いな同僚の車に衝突する事故を起こしており、マルティナに内緒でセラピーを受けているのです。トーマスはセラピスト(テレサ・アフォルター)の問いに対し、「僕はいたって普通の“まともな男”だ」と答えていました。
旅行当日、トーマス一家はトーマスの上司(ビート・マルティ)の娘ザラ・オルロフ(アニーナ・ヴァルト)を半ば押し付けられる格好で同行させることになり、車でスイスの別荘に向かいました。ところが別荘には電気が通っておらず、トーマスは別荘の管理人ルエディ(ステファン・メーダー)に相談したところ、ルエディの息子セヴェリン(マックス・フバッカー)が修理してくれました。元々ジェニーと幼馴染だったセヴェリンはジェニーとザラをパーティーに誘い、トーマスは12時までの約束で参加を許可することにしました。
約束の時間になり、トーマスは二人を迎えに行きましたが、そこにはジェニーしかおらず、しかも「あんな尻軽女なんか」と不機嫌な態度を取っていました。そこでトーマスはザラを探しに行くと、うずくまって泣いているザラを発見しました。ザラはセヴェリンにレイプされたことを打ち明けてきました。
まともな男のネタバレあらすじ:承
困惑するトーマスに、ザラはこの事は両親や警察には言わないでほしいと頼んできました。翌日、前日の酒で体調を崩したザラはアフターピルが欲しいと言い出し、トーマスはスキー場に行きたいとごねるジェニーに新しいスノーボードを買いに行かせることにしました。トーマスはザラを連れてふもとの町へ向かい、ザラに金を持たせて薬局へ行かせたところ、上司から電話がかかってきたので、トーマスはやむを得ず「ザラは楽しくスキーをしている」と嘘をついてしまいます。そこへ16歳未満には薬を売らないと言われたザラが戻ってきたので、トーマスは仕方なくザラの父のフリをして証明書にサイン、薬を買い与えました。
その夜、トーマスは家の外で薄着のまま雪の中に寝そべっているザラを見つけ、泣きじゃくる彼女を家に入れて着替えさせました。トーマスは正直にセヴェリンの件をルエディに報告しようとしましたが、ルエディはザラが嘘をついていると言い出し、せっかく職に就いたばかりの息子の人生を台無しにするつもりかと責められてしまいます。困ったトーマスは上司に報告しようとしましたが、今度は娘を預かってもらった見返りに仕事を回すと言われ、何も言い出せなくなってしまいました。
まともな男のネタバレあらすじ:転
そんな時、トーマスの元にザラが現れ、セヴェリンに罰を与えたいとして警察に届け出ると言い出してきました。薬局の証明書の件、仕事の件、ルエディからの忠告で事を大きくしたくないトーマスは焦り、とりあえず事情聴取の予行練習だけに付き合うことにしました。ところが、ザラは事件の詳細を忘れないうちにメモしておきたいとして警察署に行くのは翌日にすると言い出し、ひとまず安堵するトーマスをよそにザラは事件の詳細を日記帳に書き始めました。
これまで酒を控えていたトーマスもつい欲望に負けて飲んでしまい、その日の夜にトーマスとザラとのただならぬ行動を怪しんだマルティナが別居を切り出してきました。その一方でジェニーとザラはセヴェリンを巡って喧嘩を起こしており、やむなく仲裁したトーマスはセヴェリン本人に直接謝罪させることにしましたが、ザラはセヴェリンの謝罪を受け入れずに走り去ってしまいました。後を追ったトーマスは、ザラが誰かに電話をかけようとしているところに遭遇、それを阻止しようとした際にザラはスキーリフトの高台から誤って転落してしまいました。
ザラは意識不明のまま病院に搬送され、上司も慌てて現地に駆け付けました。その際、トーマス一家と夕食を共にした上司はうっかりトーマスが以前事故を起こしてセラピーに通っていることを暴露してしまい、トーマスはこの件でマルティナに責められるかと思いきや、意外にも「独りで抱え込まないで」と優しい言葉を駆けられました。
翌日、ザラは意識を取り戻すも記憶障害になっており、レイプ事件のことはすっかり忘れてしまっていました。トーマスはこれを機に事実の全てを闇に葬り去る決意をし、病院に謝罪しに訪れようとしたセヴェリンを必死で引き止め、ザラが買ったアフターピルを上司に発見された時はジェニーのものだと嘘をついておきました。
まともな男の結末
休暇の最後の夜、ジェニーは夜遊びに行きたいと言い出してきました。トーマスは反対するもマルティナは許可してしまいます。ザラがメモを書くと言っていたことを思い出したトーマスはザラの部屋に忍び込み、日記帳を見つけたところ、運悪くマルティナに目撃されてしまいました。日記帳を見せろと迫るマルティナに対し、トーマスは即座に「実はザラから好きだと告白されたけど断った。日記帳が読みたければ読めよ」と渾身の大嘘をついてしまいます。何とか日記帳をマルティナに見られずに済んだトーマスは一人車に乗り、その内容に驚愕するとジェニーの身が心配になってきました。トーマスはバーにジェニーを探しに行きましたが、彼女は既に一緒に飲んでいたセヴェリンと帰ったあとでした。
怒りと困惑のあまり酒を飲んでしまったトーマスはそのままセヴェリンの家に向かいましたが、セヴェリンは「彼女なら家に送った。ジェニーには興味はない」と言い出したのに腹を立てたトーマスは衝動的にセヴェリンを鈍器で殴ってしまいます。ルエディは怪我を負ったセヴェリンを病院と警察へ連れて行くと言って車に乗せて走り出し、焦ったトーマスは急いでルエディたちの車を追い、勢い余って車に激突してしまいます。車はルエディとセヴェリンを乗せたまま谷底へ転落して大破、我に返ったトーマスは二人を助けることなくその場を後にしました。
休暇最終日、トーマスは今だ入院中のザラを見舞い、彼女がまだ記憶を戻していないことを知ります。家族と共に帰路についたトーマスは途中のパーキングエリアでこっそりザラの日記を捨て、独りベンチで声を押し殺すように泣いていました。泣き終えたトーマスは家族の前では気丈に振る舞いながら自宅へと車を走らせていました。
以上、映画「まともな男」のあらすじと結末でした。
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