ニコ・イコンの紹介:1995年ドイツ映画。モデルや女優、歌手として、アーティストたちを魅了してきたニコ。彼らの目に『ニコ』はどのように映り、どのように語られるのか。
監督:スザンネ・オフテリンガー 出演者:ニコ、ティナ・オーモン、ジャクソン・ブラウン、アリ・ブローニュ、ジョン・ケイル、ニコ・パパタキス、ポール・モリセイ、ビリー・ネーム、ヴィヴァ、ほか
映画「ニコ・イコン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ニコ・イコン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ニコ・イコン」解説
この解説記事には映画「ニコ・イコン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ニコ・イコンのネタバレあらすじ:起・ニコの死
1988年7月、イビサ島でニコがなくなったと言うニュースが報じられた。
モデル、女優、歌手として名を馳せていた彼女について、その美貌とたたえる人、彼女につきまとっていた死のイメージを語る人、また、晩年のニコを知る人は、衰え、かつての美しさからは遠く離れ、ヘロイン中毒でボロボロになることに美意識を見出していたと語る。
ニコ・イコンのネタバレあらすじ:承・クリスタからニコへ
ドイツで生まれたクリスタ、後のニコ、父親は徴兵され、ベルリンから疎開し、母親一人に育てられた。12歳の頃の彼女を知る女性は、その時分には既に気品や美しさ備えていて、彼女自身も自分の持つ美しさや、それによって成功するという事を理解していたと振り返る。16歳でパリへ行き、雑誌ヴォーグに見いだされ、モデルとしての活動を始めた。そしてフランスで女優業も始めたクリスタは、自分のドイツ人らしい名前が嫌で、ニコという名前を付けた。始めた頃から実はモデルをするのが好きではなかったニコは、よく歌を歌っていたそして、歌を本格的に習い始める事になる。
ニコ・イコンのネタバレあらすじ:転・恋と息子
アラン・ドロンの子供を妊娠したニコは、結婚することなく、その子供を産みアリと名付けた。彼の両親は後にこの子供を引き取り、そのことがきっかけで息子のアラン・ドロンと疎遠になる。ニコは子供を連れ、ニューヨークに拠点を移し、ボブ・ディランらとの交流が始まる。そして、彼女がシンガーとして一歩を踏み出すのと時を同じくして、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドというバンドができた。そのバンドのボーカルには難があり、ニコとをボーカルに向かえ一緒に仕事をすることもあった。しかしニコはソロに転向してした。そして。それまでの白とブロンドのヨーロッパの美女のイメージを、黒へ変えた。
ニコ・イコンの結末:ニコの孤独
もともと薬物の常用者だったニコは、やがて薬物に依存していく。彼女の信奉者も薬物に手を出したが、総じて薬物からは離れている。名だたる歌手や監督と恋愛関係を持ったが、息子はアリ一人だけだった。そして、薬物依存から抜け出す決意をした。息子のアリは彼女と共にイビサ島にやって来た、いつもと変わらぬ様子で出掛けたニコと次に対面したのは遺体確認の場だった。
以上、映画「ニコ・イコン」のあらすじと結末でした。
ニコ・イコンのレビュー・考察
イコンは、アイコン、偶像をさすことばであると同時に、東方教会の聖画をさす言葉である。ニコへの熱狂ぶりへの揶揄ともとれるし、同時に、熱狂されていた当の本人は自分のアイデンティティを消し去るように名前を変え、自分の容姿を理解したうえで嫌い、孤独のうちに生きていた、人々を熱狂させていた偶像はまさに偶像、その中身を見ようとればするほど、そこが空虚であることに気づく。そして、「ニコ」とは誰なのか、何なのかという最初の問いに戻る。おそらくその答えは出ないだろうし、ニコが残した印象は人によって違う。「ニコ」とは誰なのか、何なのか、そう問い続けることが各々の「ニコ」の像に至る道なのだと思う。
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