人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇の紹介:1959年日本映画。五味川純平のベストセラー小説を小林正樹監督が完全映画化。自らの兵隊生活のディテールを盛り込み、渾身の大作に仕上げた。同年製作の3部4部、さらに2年後の完結篇まで含めると、総上映時間は9時間半に及ぶ。
監督:小林正樹 出演:仲代達矢(梶)、新珠三千代(美千子)、有馬稲子(楊春蘭)、山村聡(沖島)、石浜朗(陳)、南原伸二(高)、三島雅夫(黑木所長)、ほか
映画「人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇の予告編 動画
映画「人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇」解説
この解説記事には映画「人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇のネタバレあらすじ:第1部
日本の傀儡国家として成立し、十年が経った満洲。南満洲鉄鉱株式会社に勤務する梶は、労務管理の責任者として鉱山のある老虎嶺に赴任します。それには梶と結婚したばかりの美千子もついてきました。梶はこれまで赤紙を恐れて結婚に踏み切れなかったのですが、上司から召集免除の特別申請をしてもらえると聞き、喜んで美千子と籍を入れると、劣悪な環境の現場に赴いたのでした。
インテリで理想家肌の梶は慣例となっている賄賂も受け取らず、労働条件の改善によって鉱石の発掘量を上げようとしますが、工人の賃金を搾取している現場監督たちの反感を買います。職場で味方になってくれるのは同じ労務管理部にいる沖島だけでした。現状だけでも大変でしたが、さらにトラブルの種となることが勃発します。北支の抗戦地区の住民たちが捕虜となり、特殊工人として連れてこられたのです。
黒木所長から増産を命令された現場では、監督たちが特殊工人たちを酷使し、怪我人が絶えません。やがて岡崎という監督が1人を殺してしまい、梶は彼を告発しようとします。しかし所長は岡崎の肩を持ち、「訴えるなら私を共犯にしたまえ」と梶に言い渡します。
間もなく、抗日運動の男たちが梶のもとで働く地元の少年・陳を味方に引き入れ、その仲間の協力で夜間の鉄条網の電流を止めさせます。そのことで特殊工人の何人かが脱走しますが、余りにそのような抵抗が続くと憲兵隊が口を挟んでくることは明らかでした。シナ人に同情的な梶は、なるべく騒ぎを起こさないように特殊工人たちを説得します。
人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇のネタバレあらすじ:第2部
一般工人の宿舎に移動させ、屋外作業に連れていく措置を取ったことで、ようやく特殊工人の信頼を勝ち得たと思った梶でしたが、3日間の休暇を取ろうとした途端に再び脱走する人間が出てきます。今回は18人と大量で、一旦安心していただけに梶の落胆は大きいものでした。憲兵隊に知れると特殊工人の間に間違いなく死者が出るため、梶は所長に頭を下げ、今回の件を報告しないように頼みます。また梶は自ら脱走者がいないか夜回りを始めますが、その時に慰安所にいる楊春蘭と特殊工人の高との鉄条網越しの密会を目撃。あえてそれを見過ごし、そのまま帰っていきます。
一方、所長の方では今回の脱走にショックを受け、部下の古屋とともに特殊工人たちの意志をくじく計画を立てます。古屋は脱走の手引きをしたのが陳少年だと知っていて、彼を脅迫してわざと嘘の情報を流させ、再び大量脱走を起こさせるつもりでした。そしてそれを待ち構えて、その場で脱走者を殺そうというのです。しかし、土壇場になって罪悪感にかられた陳は古屋の命令を無視し、鉄条網に突進して感電死します。
梶はあまりの事態に意気消沈し、自らの無力を嘆きますが、さらに追い打ちをかけるような事件が起こります。自分に抵抗した特殊工人たちを岡崎が勝手に脱走者だと決めつけたところ、偶々その場にいた憲兵たちが自分たちで勝手に処刑することにしたのです。梶はこんな無法をやめさせるために所長越しに本社の上司とかけ合おうとしますが、すべての努力は無駄でした。
臨時の処刑場に連れていかれた特殊工人たちは、次々と日本刀で首をはねられていきます。その中には楊春蘭と密会していた高もいました。しかし立会人をやらされていた梶が我慢しきれずに処刑の中止を求めると、その場にいた特殊工人たちがそれに呼応して「殺人者!」と叫び始めます。これに恐慌を来した憲兵は処刑を中止。残りの囚人は助かることになるのです。梶は軍に反抗した罪で連行され、ひどい拷問を受けます。その上、召集免除も取りやめとなり、一兵卒として戦地に赴くことになります。
以上、映画「人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇」のあらすじと結末でした。
「第1部 純愛篇」が静かなる序章とするならば、「第2部激怒篇」はこれから起こりえる壮絶な運命の幕開けという印象です。
「第2部激怒篇」の処刑シーンからが圧巻で、一気に最後まで集中してしまいました。