人生模様(別題:警官と讃美歌)の紹介:1952年アメリカ映画。短編小説の名手と呼ばれた作家オー・ヘンリーの代表作五篇をオムニバス形式で描いた作品。監督を務めたのは「オーケストラの少女」のヘンリー・コスター、「死の接吻」のヘンリー・ハサウェイ、「百万長者と結婚する方法」のジーン・ネグレスコ、「赤い河」のハワード・ホークス、「回転木馬」のヘンリー・キング。チャールズ・ロートンやリチャード・ウィドマーク、マリリン・モンローやアン・バクスターなど名だたる俳優が出演しています。
監督:ヘンリー・コスター、ヘンリー・ハサウェイ、ジーン・ネグレスコ、ハワード・ホークス、ヘンリー・キング 出演者:チャールズ・ロートン(ソーピイ)、デヴィッド・ウェイン(ホレス)、マリリン・モンロー(若い娘)、、デイル・ロバートソン(バーニイ)、リチャード・ウィドマーク(ジョニイ)、 アン・バクスター(ジョアンナ)、ジーン・ピータース(スーザン)、グレゴリー・ラトフ(バーマン)、フレッド・アレン(サム)、オスカー・レヴァント(ビル)、リー・アーカー(少年)、ジーン・クレイン(デラ)、ファーリー・グレンジャー(ジム)、ほか
映画「人生模様」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「人生模様」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「人生模様」解説
この解説記事には映画「人生模様」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
人生模様のネタバレあらすじ:第一話「警官と賛美歌」
公園で眠る生活に嫌気が差しているホームレスのソービイ。彼は本格的な冬を前に雨風をしのげる留置所での暮らしを切望していました。留置場に入りたいがために傘を盗んだり、無銭飲食を働いたり、店のショーウインドーを割ったりと暴挙に出ますが、どういうわけか逮捕してもらえません。
今度は通りでショーウインドーを覗いていた若い娘に声を掛け、警察官の見ている前でナンパをしようとしますが、若い娘からは金のある紳士だと思い込まれ、逆に好意を寄せられてしまいます。ソービイはなんとかその場を逃げ出しました。もはや留置所で暮らすという夢はかなわないのかと嘆くソービイ、仲間のホレスはそんな彼を教会へと連れて行きます。
オルガンの音を聞いているうちにソービイは自らの堕落した生活を反省するようになり、すっかり心を入れ直しました。晴れ晴れとした気持ちで外へ出るとそこには警官が待っていました。ソービイは浮浪罪として禁固刑三か月を言い渡されるのでした。
人生模様のネタバレあらすじ:第二話「クラリオン・コール新聞」
刑事のバーニイは未解決の殺人事件現場に残されていた遺留品から犯人が町の悪党ジョニイであることを確信します。ジョニイとは幼馴染の間柄、バーニイが彼と会うのは数十年ぶりのことでした。ジョニイは久しぶりに訪ねてきた幼馴染を歓迎しますが、自分が犯人と疑われていると分かるや否や態を豹変させます。
ジョニイはあの時の貸しを忘れたわけではないだろうなとバーニイを脅し始めます。バーニイは若い時ギャンブルにハマり、ジョニイから1000ドルもの大金を借金していました。ジョニイを逮捕したいバーニイは返す金をかき集めるものの到底1000ドルには届きません。ジョニイは今夜街を離れることを示唆しており、その時間は刻々と迫っていました。
逮捕を諦め、刑事を辞職しようと思案していたバーニイはクラリオンコール新聞のある記事を目にし、考えを改めます。そして列車に乗り込もうとしていたジョニイを捕まえると1000ドルを突き付け、逮捕しました。バーニイは犯人に関する情報を募っていたクラリオンコール新聞の懸賞金を利用したのでした。
人生模様のネタバレあらすじ:第三話「最後の一葉」
寒さ厳しきニューヨーク。恋人に振られたジョアンナはアパートの前で倒れ込み、階上に住む貧乏画家バーマンに助け出されます。ジョアンナは重い肺炎を患っていました。姉スーザンは懸命に看病しますが、ジョアンナの容体は思わしくありません。寝室の窓辺からはツタの木が見えましたが、葉は毎日のように散っていき、枝についている葉はジョアンナの年の数と同じ21枚だけになってしまいました。
その光景を観察していたジョアンナは木の葉がすべて散った時には自分の命も尽きるだろうと悲観し始めます。ジョアンナは生きる気力を失っていました。そして強風の吹きすさぶ荒天の夜、ついに葉っぱは一枚を残すのみとなり、ジョアンナの容体も急変します。スーザンは苦しい胸の内をバーマンに吐露、バーマンはスーザンを励ましました。翌朝、目を覚ましたジョアンナは窓の外を見たいと言い出し、スーザンは祈るような気持ちでカーテンを開けます。
驚くべきことに最後の一葉が散らずに残っていました。これを見たジョアンナはみるみる元気を取り戻していき、スーザンも安堵しました。その後バーマンが肺炎で死んだという知らせがスーザンの耳に入ります。スーザンはバーマンが一晩中かけて最後の一葉を壁に描いたことを知るのでした。
人生模様のネタバレあらすじ:第四話「酋長の身代金」
アラバマの小さな村にやってきた詐欺師のサムとビル。彼らは村の子供を誘拐して身代金を巻き上げようと企んでいました。そしてある少年を誘拐することに成功、サムは少年の両親に身代金を要求する手紙を送りつけます。
しかしこの少年がとんでもない悪童でした。サムとビルは少年の蒔いた餌がもとで熊に追い掛け回されたり、インディアンごっこに付き合わされる始末。ほどなくして少年の両親から返信がありましたが、息子を返したいならば250ドルを支払えと逆に金銭を要求されてしまいました。
250ドルで縁が切れるならと二人は大喜びで金を払って少年を引き渡し、逃げるように村から去って行ったのでした。
人生模様のネタバレあらすじ:第五話「賢者の贈り物」
ニューヨークにジムとデラという貧しい若夫婦が住んでいました。季節はクリスマス、二人は互いにプレゼントを贈りたいと思っていますが、日々の暮らしに精一杯でそんな余裕はありません。ジムはデラの美しい髪に映える髪飾りを、デラはジムが愛用する懐中時計にぴったりなプラチナの鎖をプレゼントできたらどんなに素晴らしいだろうかと考えていました。
クリスマスイブの朝、ジムはデラを仕事へ送り出すと近所のヘアサロンに行き、髪を売ります。そして得たお金でジムへのプレゼントを購入しました。一方ジムは懐中時計を売ってデラへのプレゼントを購入しました。
夜、プレゼントを交換した二人は、包みを開けて驚きます。デラへのプレゼントは失った長い髪によく似合う髪飾りで、ジムへのプレゼントは失った懐中時計によく似合うプラチナの鎖でした。クリスマスイブの夜二人は何にも代えがたい素晴らしい贈り物を手にしたのでした。
以上、映画「人生模様」のあらすじと結末でした。
どれもこれも心温まるO・ヘンリーの名編ばかり。
「警官と讃美歌」に出てくるチャールズ・ロートンの名演技と若きモンローの可愛さ。「クラリオン・コール」のR・ウィドマークの怪演ぶり。のちにハイエナとあだ名される理由がわかりました。そして、ナレーターを務める文豪スタインベックの姿も。庶民の哀歓を最高のスタッフで描いた傑作オムニバスです。