オアシスの紹介:2002年韓国映画。韓国を舞台に、社会に馴染めない29最の前科持ちの男と脳性麻痺で体の不自由な女性との純愛を、理解しようとしない周囲の目も絡めて描いたラブストーリーです。2002年韓国MBC映画賞で最優秀作品賞、監督賞、脚本・脚色賞、主演男優賞、主演女優賞、新人女優賞を受賞、第59回ヴェネツィア国際映画祭で監督賞、新人演技賞、国際批評家協会賞などを受賞するなど高く評価されました。
監督:イ・チャンドン 出演者:ソル・ギョング(ホン・ジョンドゥ)、ムン・ソリ(ハン・コンジュ)、アン・ネサン(ホン・ジョンイル)、リュ・スンファン(ホン・ジョンセ)、ソン・ビョンホ(ハン・サンシク)、チュ・グィジョン(ジョンイルの妻)、ユン・ガヒョン(サンシクの妻)、パク・ミョンシン(隣家の女性)ほか
映画「オアシス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「オアシス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
オアシスの予告編 動画
映画「オアシス」解説
この解説記事には映画「オアシス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
オアシスのネタバレあらすじ:起
29歳のホン・ジョンドゥ(ソル・ギョング)は刑期を終えて刑務所から出所しました。ジョンドゥは寒い時期にも関わらず、入所した時に着ていた半袖のアロハシャツに身を包み、母の服を買って兄ジョンイル(アン・ネサン)の家に向かいましたが、一家は既に引っ越しした後でした。
その後、ジョンドゥは韓国の風習(刑期を終えて出てきた人間が身も心も潔白になるようにと白いものを食する)に倣って小さな食料品店で豆腐にかぶりつきますが、無銭飲食をしてしまい警察に連行されてしまいます。
ジョンドゥはひき逃げで清掃員を死なせてしまった過失致死の罪で懲役2年6ヶ月の刑に服していたのですが、それ以前にも暴行罪と強盗未遂がある前科3犯の身でした。やがて警察署にジョンドゥの弟ジョンセ(リュ・スンファン)が身柄引き取りに訪れ、ジョンドゥを新しい家に連れていきました。
ジョンイルは会社を辞め、自動車修理工場を開くために前の家を売っていたので、ジョンセはジョンドゥに自分たち家族の人生を邪魔しないでくれと告げました。ジョンイルの妻(チュ・グィジョン)もジョンドゥに対して冷淡な態度を取り、ジョンイルはジョンドゥに「お前は大人になれよ。大人と言うのは好き勝手に生きてはダメなんだ。行動に責任を持つんだ」と説教、中華料理屋に頼んでジョンドゥを出前配達として雇ってほしいと頼み込みました。
翌日から中華料理屋で働くことが決まったジョンドゥは、その前にひき逃げ事件の被害者の息子ハン・サンシク(ソン・ビョンホ)と妻(ユン・ガヒョン)の住む公団アパートに謝罪に向かいましたが、ちょうど引っ越しの最中だったサンシク夫妻は「早く帰ってくれ」と追い出してしまいます。
サンシクは脳性麻痺で身体が不自由な妹コンジュ(ムン・ソリ)をアパートに独り置き去りにしようとし、ジョンドゥの指摘に対してサンシクは「アンタには関係ない」と言い放ちました。
オアシスのネタバレあらすじ:承
出前にバイクで行ったジョンドゥは転倒事故を起こしてしまい、ジョンイルの妻から「アンタなんか大嫌い!あなたがいない時は安心して暮らせた。あなたの兄さんも母さんもそう思ってる」と叱られてしまいました。
翌日、ジョンドゥはコンジュのアパートを訪れ、彼女の世話を任されている隣家の女性(パク・ミョンシン)に、コンジュに花束を渡してくれるよう頼みました。その際、ジョンドゥは女性が植木鉢の下にコンジュの部屋の鍵を隠していることに気付き、こっそりと鍵を盗んでコンジュの部屋に入りました。
コンジュを一目見た時から気になっていたジョンドゥは自分の電話番号を教え、そのまま彼女の体を奪おうとしましたが、コンジュは必死に抵抗するあまり気絶してしまいます。これはマズいと感じたジョンドゥは、コンジュにシャワーの水をかけて起こしてから退散していきました。
サンシク夫妻はコンジュの名義で身障者専用マンションを借りていましたが、当のコンジュは古いアパートに住まわせたままであり、行政の調査が入る時だけマンションに連れて行き、あたかも同居しているかのように振舞いました。
調査が終わるとコンジュはまた元のアパートに戻され、サンシクから月20万ウォンの報酬でコンジュの世話を任されている隣家の女性は、彼女の部屋に夫を連れ込み、コンジュの目を気にすることなく愛し合いました。
その後、コンジュはジョンドゥに電話をかけ、なぜ自分に花束をくれたのか尋ねました。ジョンドゥは「わからない」とはぐらかしつつ、これからはコンジュのことを“お姫様”と呼ぶことにしたと告げました。そんなジョンドゥに心を開き始めたコンジュは、彼のことを“将軍”と呼ぶことにしました。
オアシスのネタバレあらすじ:転
中華料理屋を辞めていたジョンドゥはコンジュから何の仕事をしているのか聞かれ、ジョンイルに頼み込んで自動車整備工場で働かせてもらうことになりました。ジョンドゥは定期的にコンジュのアパートに通うようになり、二人は次第に親密な関係になっていきました。
コンジュの部屋には、インドの象や子どもなどが描かれた「オアシス」という絵が飾られているのですが、コンジュは夜になると絵に木の枝の影が怖いというのです。ジョンドゥはそんなコンジュのためにおまじないを唱えてあげました。
ジョンドゥはコンジュをレストランにを連れて行きましたが、昼の営業時間は終わったと言われ、彼女をジョンイルの工場に連れて行き、ジャージャー麺を出前で注文して食べさせてあげました。それからジョンドゥは客の車を勝手に持ち出してコンジュとのドライブを楽しみ、昨晩コンジュの部屋で、コンジュが絵から抜け出したインドの人たちと一緒に踊っている夢を見たことを明かしました。
コンジュと楽しい一時を過ごしたジョンドゥでしたが、他人の車を持ち出したことと免許取り消しの身で運転したことをジョンイルにきつく咎められ、鉄の棒で尻を叩かれました。
数日後、ジョンドゥの母の誕生パーティーが高級レストランで開かれることになり、ジョンドゥはコンジュを連れてきました。ところが、一家はコンジュを歓迎せず、彼女が事故の被害者の娘だと知ると、激怒したジョンイルはジョンドゥを連れ出しました。
ジョンイルは「お前、俺に恨みがあるんだな。なぜあんな女を連れてきたんだ」とジョンドゥに掴みかかり、間に入ったジョンセが「身代わりになると言いだしたのはジョンドゥ兄さんだろ。誰も強要してない。事故を起こしたジョンイル兄さんは会社勤めもあるから身代わりになるってそう言ったろ」と本当のことを暴露してしまいました。
実はコンジュの父を死なせたのは他ならぬジョンイルであり、前科持ちで刑務所暮らしに慣れているジョンドゥが身代わりに罪を被って服役したのです。逆ギレしたジョンイルはコンジュを追い出し、ジョンドゥは家族との記念写真に参加せず、コンジュをカラオケに誘いました。
オアシスの結末
ジョンドゥはコンジュをアパートまで送りましたが、コンジュはジョンドゥに「行かないで。一緒に寝ましょう」と言ってきました。ジョンドゥは戸惑いながらもコンジュを受け入れ、二人は愛し合いました。ところが、運悪く部屋にサンシク夫婦が現れ、ジョンドゥはコンジュを強姦したのかと疑われて警察に逮捕されてしまいました。
取り調べでジョンドゥは、刑事から前科持ちを突っ込まれたあげく変態呼ばわりされ、署に駆け付けたジョンイルはジョンドゥに「バカ野郎! お前それでも人間か!」と罵倒して殴り倒しました。そんなジョンイルに、サンシクは、裁判に持ち込むのもアレなので示談にしようと2千万ウォンを吹っ掛けてきました。
コンジュは刑事からの問いに正直に答えようとしますが、サンシク夫妻の横やりもあって上手く言葉にできませんでした。
コンジュはサンシク夫婦に連れられてアパートに戻りました。その夜、コンジュがオアシスの絵の影に怯えていると、外の木に警察署から脱走してきたジョンドゥが登り始め、懸命に枝を切り出しました。コンジュはまさかの出来事に、ラジオのボリュームを目いっぱい上げて応え、木の枝を全て取り払ったジョンドゥは再び警察に連れて行かれました。
しばらくして、コンジュの元にまたしても服役の身となったジョンドゥから手紙が届きました。手紙には刑務所での暮らしの様子、そして出所したらコンジュに美味しい料理を食べさせてあげるとのことが綴られていました。コンジュは思わず幸せそうな表情を浮かべました。
以上、映画「オアシス」のあらすじと結末でした。
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