ダブル・サスペクツの紹介:2019年フランス映画。フランス映画界の名匠アルノー・デプレシャン監督が、自身の故郷であるフランス北部の町ルーベを舞台として作り上げたクライム・サスペンスです。犯罪と貧困が蔓延るルーベでクリスマスに発生した放火事件が、現れた二人の女によって凶悪な殺人事件へと転じていく過程を描きます。本作は第72回カンヌ国際映画祭で作品賞にノミネートされています。
監督:アルノー・デプレシャン 出演者:ロシュディ・ゼム(ヤクブ・ダウード)、レア・セドゥ(クロード)、サラ・フォレスティエ(マリー・カルパンティエ)、アントワーヌ・レナルツ(ルイ・コートレル)、メイサ・タレブ(スフィア・ドュアメル)ほか
映画「ダブル・サスペクツ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ダブル・サスペクツ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ダブル・サスペクツの予告編 動画
映画「ダブル・サスペクツ」解説
この解説記事には映画「ダブル・サスペクツ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ダブルサスペクツのネタバレあらすじ:起
フランス北部の街ルーベ。ベルギーとの国境に近く、移民の多いこの街はフランスで最も貧しい街であり、凶悪犯罪の絶えない街でもありました。
クリスマスの夜、ルーベ警察署長のヤクブ・ダウード(ロシュディ・ゼム)は出勤の途中で車両火災を発見しました。ダウードは直ちに消防車と科学捜査班を要請して現場に向かわせ、警察署に着くと今度は車を盗まれたという男から話を聞くことにしました。男は小型のトーチバーナーを持った4人組のアラブ系の男たちに襲われたと証言、証拠として首筋の火傷の跡を見せてきました。
警察は男の被害届を受理しましたが、科学捜査班から車両火災の状況を聞いたダウードは、男の供述がころころ変わることに疑いを持ち、実はこの男が保険金目当てに自分で車に火をつけたのだと見抜きました。ダウードは男に、保険金詐欺を働いたならば懲役刑となり刑務所に入れられること、単に車に火をつけただけならば罰金刑になることを男に告げました。
北アフリカの移民の子であり、ルーベで育ったダウードは、今は家族を北アフリカに住まわせており、自分だけルーベに残りました。そんなダウードの愉しみといえば、競馬の予想をすることでした。
翌日(12月26日)、ルーベ警察署に新入りのルイ・コートレル警部補(アントワーヌ・レナルツ)が赴任してきました。ルイを署員に紹介したダウードは、署員たちに担当する事件を割り振りしました。ルイが担当するのは、前日に裏路地に密集するヴィーニュ通りで発生した放火事件でした。
ダブルサスペクツのネタバレあらすじ:承
放火された家は中庭を囲む構造の一軒家であり、工事中でした。ルイは地元住民に話を聞くと、現場の中庭に面した家には同性カップルの二人の女性、クロード(レア・セドゥ)とマリー(サラ・フォレスティエ)が住んでおり、二人は時々この家周辺に若い男たちがたむろしていることがあったと証言しました。
6歳になる息子がいるシングルマザーのクロードは、男たちの報復を恐れて証言を拒みましたが、ルイは身の安全を保証すると約束しました。
警察署にやってきたクロードとマリーは前科者たちの写真を見せられ、その中からファリッド(イリス・ベンサレム)とコバルキ(アンソニー・サラモーネ)という二人の男が浮上してきました。
しかし、コバルキは事件当時は職場におり、アリバイが実証されました。ファリッドは事件への関与を否定し、マルコ(レミ・ギスラン)とモハメッドという二人の男が犯人だと証言しましたが、マルコもモハメッドも事件への関与を否定、捜査は行き詰りました。
一方、ダウードは17歳の少女スフィア・ドュアメル(メイサ・タレブ)が家出したという話を、彼女の父(アブデラティフ・セデグイ)から聞いていました。スフィアは近々18歳の誕生日を控えており、18歳で成人となるフランスの法律上では、強制的に連れ戻すことはできませんでした。
早速スフィアの捜索を開始したダウードは、彼女が友人のファティマ(ディヤ・チャラオウイ)の家にいると睨んで訪ねてみましたが、ファティマはスフィアを庇って証言を拒みました。
ダブルサスペクツのネタバレあらすじ:転
ダウードは次に、スフィアの叔父(ボウジド・ブーディダ)から事情を聞きました。スフィアの叔父はダウードの兄の友人であり、スフィアは叔父宅に身を寄せたものの、3週間前に恋人と共に出て行ったとのことでした。スフィアは恋人と共にベルギーに渡って働くつもりらしく、ダウードはホテルで恋人と滞在していたスフィアを発見しました。
ダウードは、未成年のうちは身勝手な行動は慎むべきだと注意し、スフィアを叔父の元に連れていきました。ダウードは両親がスフィアを探していることを伝え、スフィアと両親を和解させました。
一方、放火事件の捜査は一向に進展しませんでした。そんな時、クロードから通報があり、警察が急行すると、中庭に面した一軒家の扉が壊されており、中からこの家に住む83歳の老女リュセットの他殺体が発見されました。
ダウードは現場を訪れ、放火された家を確認しました。この家が放火されたことを通報したのはクロードとマリーでしたが、どうやらこの二人がリュセットを殺した可能性が浮上し、クローズとマリーは放火された家にも空き巣で侵入し、証拠を消すために放火し、自ら通報して容疑者をでっち上げた可能性も浮上してきました。
ダブルサスペクツの結末
クロードとマリーは身柄を拘束され、それぞれ別の留置場に入れられました。拘留期限は48時間、ダウードはクロードの、ルイはマリーの事情聴取を開始しました。
取り調べの結果、マリーはクロードと共に空き巣を働いた事実を認め、リュセット殺害についても自供しました。しかし、マリーは左手を怪我しており、ルイらはマリー一人ではリュセットを絞め殺せるのか疑問に感じました。
一方のクロードは我が子と引き離されることを恐れ、空き巣の事実は認めたもののリュセット殺害に関しては否認しました。しかし、ダウードの執念の取り調べに折れたクロードは遂にリュセットを殺したことを認めました。
ダウードらは取り調べを通じて、クロードとマリーの複雑な関係を垣間見ました。マリーはクロードにぞっこんでしたが、クロードは別にマリーに愛情を寄せておらず、慣れ合いで同棲していただけだったのです。クロードはマリーに会ったせいで人生が台無しになったと吐き捨てました。
クロードとマリーは殺人罪で逮捕され、クロードの息子は母と引き離されて施設に預けられることになりました。この様子を見たダウードは遠く離れて暮らす家族の境遇と重なったのか、やりきれない気持ちになりました。ダウードはしばしルイと語り合った後、マリーに気持ちはわかると優しく語りかけました。
翌日、街からはクリスマスのイルミネーションが撤去されました。警察はクロードとマリーの立ち合いのもと現場検証を行いましたが、二人の証言と気持ちは食い違ったままでした。
一方、ダウードは仕事の合間を縫って競馬場を訪れ、出走前の馬に乗せてもらい喜びの表情を浮かべました。その後、ダウードはレースを見に来ていたルイと合流し、二人で嬉しそうにレースの行方を見守っていました。
以上、映画「ダブル・サスペクツ」のあらすじと結末でした。
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