黄昏の紹介:1981年アメリカ映画。名優と呼ばれながらアカデミー賞に縁のなかったヘンリー・フォンダがようやく主演男優賞のオスカー像を手にした作品。娘のジェーン・フォンダが製作も担当し、親子共演を果たしている。
監督:マーク・ライデル 出演:キャサリン・ヘプバーン(エセル・セアー)、ヘンリー・フォンダ(ノーマン・セアー・ジュニア)、ジェーン・フォンダ(チェルシー・セアー・ウェイン)、ダグ・マッケオン(ビリー・レイ)
映画「黄昏」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「黄昏」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
黄昏の予告編 動画
映画「黄昏」解説
この解説記事には映画「黄昏」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
黄昏のネタバレあらすじ:起
その年、ノーマンとエセルのサイヤー夫婦は、例年通り夏を過ごすため、ニューイングランド北部のゴールデン・ポンドと呼ばれる湖へやってきます。彼らはその岸辺に別荘を持っているのです。ノーマンは大学教授でしたがもう引退していて、80歳も近いこともあって最近では死を意識することが多くなっています。エセルはわがままな彼に付き添って、その身の回りの世話を焼いていました。
黄昏のネタバレあらすじ:承
滞在中、1人娘であるチェルシーから手紙が届きます。ノーマンの80歳の誕生日を祝いに、別荘へゆくと言うのです。ノーマンとチェルシーは折り合いが悪く、長年会っていませんでした。夫と別れたチェルシーは、新しい恋人の歯医者・ビル、そして彼の13歳になる子供・ビリーを連れてゴールデン・ポンドに到着。サイヤー夫妻と過ごし始めますが、年老いてますます気難しくなったノーマンは前と変わらずチェルシーに皮肉や冷たい言葉を投げ、その仲を修復する気持ちがないようです。他人であるビルも気に食わないらしく、口にするのは出て行けよがしの台詞ばかり。いい加減うんざりしたチェルシーとビルは、ビリーを置いてそのままヨーロッパに旅立ってしまいます。
黄昏のネタバレあらすじ:転
ビリーは最初置いて行かれたことが不満で、ノーマンの態度にも腹を立てます。しかし、湖で鱒釣りをするうちに気分もほぐれ、ノーマンの優しい面も理解するようになり、すっかり打ち解けます。そして協力して湖の主を釣り上げることで、親友のように仲良くなるのです。ヨーロッパから戻ってくるチェルシーとビル。ノーマンとビリーの親密ぶりを意外な気持ちで眺めます。エセルに言われたこともあって、チェルシーはノーマンと和解する気持ちになり、ノーマンもようやく娘への優しい気持ちを取り戻します。別荘から帰ることになるチェルシーとビリーに、ノーマンは釣り竿と水泳のメダルをプレゼント。
黄昏の結末
また夫婦2人になり、滞在最終日。ノーマンは重い荷物のために心臓の発作を起こします。あわてて救急車を呼ぼうとするエセルですが、何とか回復。2人はまた穏やかな気持になり、湖を眺めるのです。
この映画「黄昏」は、アカデミー賞でキャサリン・ヘプバーンが史上最多4度目の主演女優賞、ヘンリー・フォンダが史上最高齢76歳の主演男優賞を受賞したことで知られる、心に沁みる秀作だと思います。
マーク・ライデル監督の「黄昏」の中に、心に響くセリフがあります。
「ノーマンも精一杯生きてるの、ままならぬ人生をね。あなたと同じ」。
年老いた夫ノーマンが、暖炉の不始末を起こした後、同居している少年に八つ当たりしてしまう。
傷ついた少年にノーマンの妻エセルが話す言葉です。
どんな人間にとっても、人生とはままならぬものなのだ。
この苦い認識を核心に据えたことが、甘ったるいホームドラマと一線を画す大人の映画にしていると思います。
ノーマン(ヘンリー・フォンダ)とエセル(キャサリン・ヘプバーン)は、湖畔の別荘に久し振りにやって来た。
大学の教授だったノーマンは毒舌家で、最近は体調が優れないせいか、ますます偏屈になっている。
80歳の誕生日に、長年不仲だった娘のチェルシー(ジェーン・フォンダ)が、婚約者とその息子のビリーと一緒に来るが、わだかまりは解けない。
老夫婦は、チェルシーらに頼まれ、ビリーを1カ月預かることになる。
初共演した大スターであり、演技派の二人が、その貫禄を見せてくれます。
ヘンリー・フォンダは、頭脳と肉体の衰えや、迫り来る死に不安を抱きながら、表面的には突っ張り続ける誇り高い老人を、見事に演じていると思います。
彼は、両親の離婚で傷ついている13歳のビリーに、マス釣りなどを通じ、先輩の男として大切なものを教えていこうとする。
それらすべてを、手の平に乗せている妻を演じたキャサリン・ヘプバーンも、最高にチャーミングだ。
この作品は、76歳でアカデミー主演男優賞を受けたヘンリー・フォンダの遺作であり、現実に不和な時代があったフォンダ父娘の和解が、映画の物語と重なってきます。
だが、そうした話題を超え、伝わってくるのは、世代を超えて、人と人が分かり合えることへの”希望”だ。
金色に輝く湖の映像が、心に沁みる映画ですね。