大阪物語の紹介:1957年日本映画。もともと溝口健二が監督する予定だったが、企画途中で急死したため吉村公三郎が代わって仕上げた作品。西鶴の「日本永代蔵」「当世胸算用」中のエピソードをうまくつなげてある。市川雷蔵は配役ではトップだが、実際には助演。
監督:吉村公三郎 出演:市川雷蔵(忠三郎)、中村鴈治郎(仁兵衛)、香川京子(おなつ)、浪花千栄子(お筆)、林成年(吉太郎)、三益愛子(お徳)、ほか
映画「大阪物語(1957年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「大阪物語(1957年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「大阪物語(1957年)」解説
この解説記事には映画「大阪物語(1957年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
大阪物語のネタバレあらすじ:起
江州の水呑百姓・仁兵衛は、妻のお筆、娘のおなつ、息子の吉太郎の4人ぐらし。極貧にあえぎ、年貢が納められずに夜逃げをしてしまいます。花屋という両替屋にツテがあったので大阪へ行きますが、花屋の方では冷たい対応をするばかり。トボトボと町中を彷徨ううち、米俵を荷揚げしている川岸へ。そこで父親は仕事を求めますが、まるで犬のように棒で追い立てられます。2日も何も食べられず、もう心中しかないと思いつめた時、子供たち2人が一握りの米を持ってきました。移動中の米俵からこぼれた米粒が河岸に大量に落ちているのです。必死に拾い集めた米を木賃宿に持っていくといくらかの金になりました。ようやく腹を満たした一家は翌日も河岸で米拾い。
大阪物語のネタバレあらすじ:承
こうして少しづつ溜めていったお金で、彼らは茶の売買を始めます。幸い店も持つことができ、両替屋を兼ねたこともあって十年後には近江屋という立派な身代となりました。かつてひどい仕打ちをした花屋が家名取り潰しとなり、その空いた家を買い取った仁兵衛は得意満面。しかし身に染み付いたケチぶり、倹約癖は治らず、門松や駕籠といった贅沢品に金を惜しむのはもちろん、新品の茶に茶カスを混ぜて売ったりしています。そのしみったれぶりにお筆、おなつも辟易し、お金はあるものの幸せな家庭とはとてもいえません。
大阪物語のネタバレあらすじ:転
やがて普請中の家で木切れを拾っていたことで、仁兵衛は鐙屋の女主人・お徳と知り合います。仁兵衛は自分に負けず劣らずのどケチであるお徳とすっかり意気投合。お徳の方も大いにこの機縁を喜び、仁兵衛に娘がいると知ると自分の息子・市之助との縁談を申し入れます。しかしこれにはお筆が猛反対。そんな始末屋の姑がいる家では、おなつが不幸になることが分かり切っているからです。仁兵衛と激しい口論をしている時、お筆はいきなり喀血。医者が呼ばれ、不治の病だと診断されます。おなつと吉太郎はなるべくお金をかけて母親を養生させようとしますが、倹約に取り憑かれた仁兵衛は「無駄な金は使わん」と言い張るばかりです。
大阪物語の結末
やがてお筆は他界。おなつと市之助の縁談が本格的に進行することなりますが、実はおなつは店の番頭である忠三郎と恋仲で、鐙屋に嫁入りする気などありません。市之助が新町のある太夫に惚れていることを知っていた兄の吉太郎は、身請けのために家の金を300両持ち出し、市之助たちを駆け落ちさせます。そうやっておなつたちを助けるつもりでした。ところが金がなくなったことを知った仁兵衛は忠三郎が盗んだと勘違い。「番所へ突き出してやる」と息巻きます。そこへやってきた吉太郎は自分が犯人だと告白。清々した様子で家を出ていきます。続いておなつと忠三郎も一緒に出ていってしまい、仁兵衛の身内は誰もいなくなります。やがて一人残された仁兵衛は地下の倉に閉じこもり、千両箱を抱えながら笑い出します。その目には狂気が宿っていました。
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