ポイズニング:食に潜む汚れた真実の紹介:2023年アメリカ映画。「アメリカは世界一安全な供給」だとうたっている政治家たち。しかし、現状では多くの食中毒事件を発生させ、長年アメリカでの食の安全が脅かされています。ビル・マーラー弁護士は食品の安全をめぐり30年戦ってきました。過去の食中毒事件を振り返りながら、アメリカ食品業界の闇を暴くドキュメンタリー映画です。
監督: ステファニー・シュスティング 出演: ビル・マーラー、ダリン・デトワイラー、ジョン・コバヤシ、ランス・プライス、マリオン・ネスル、ティモシー・リットン、マイク・テイラー、マンスール・サマドポア、スコット・イングバード、キャンディー・イングバード、ン・チャップマン、サンドラ・エスキン、フランク・イアンアス、ティム・ヨーク、ケネス・ケンドリック、ミンディ・ブラッシャーズ、ほか
映画「ポイズニング:食に潜む汚れた真実」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ポイズニング:食に潜む汚れた真実」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ポイズニング:食に潜む汚れた真実」解説
この解説記事には映画「ポイズニング:食に潜む汚れた真実」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ポイズニング:食に潜む汚れた真実のネタバレあらすじ:起
ビル・マーラー弁護士は食品の安全をめぐり30年戦ってきました。アメリカでは毎年4800万人が食中毒で健康を害しており、週に最大36件の食中毒が調査されています。それにも関わらず、多くの政治家が「アメリカは世界一安全な供給」とうたっています。
1993年に、ワシントン州で大腸菌O157が発生しました。細菌性の疾患が十数人の子どもを襲い、これはアメリカ最大の食中毒事件となります。ダリン・デトワイラーの息子1歳のライリーもO157に感染してしまいます。大腸菌には多くの種類があり、ほとんどは無害と言われていますが、O157のようなものは人体に大きな害を与えます。
調査が進むと、ジャック・イン・ザ・ボックスの加熱不足のハンバーガーによって食中毒が引き起こされたものだと発覚します。
O157は志賀梅毒を生み出し、菌が腸に入るとこの毒素を出し始め、その毒が血中に侵入し、血球を殺します。そして臓器不全を起こし、臓器機能が停止。それは死を意味します。
これはジャック・イン・ザ・ボックス事件として全米に広がります。ハンバーガーによって食中毒に感染した少女は、5カ月以上入院し、痙攣が止まりません。入院中は多くの管が彼女に繋がれていました。彼女はただ、ハンバーガーを食べただけです。
多くの子どもたちが感染し、二次感染も発生しました。ライリーは園児から二次感染で感染し、溶血性尿毒症症候群と診断されます。重症化し、細菌によって内部を食い尽くされ、次々と臓器が機能しなくなってしまう病気です。1歳4か月という幼さでライリーは危篤状態に。
当時のアメリカでは60度以上の熱でハンバーガーを熱する必要があると規定されていましたが、この事件をきっかけに68度以上と変更されました。
ジャック・イン・ザ・ボックス側は、法律を守っていたと主張し続けますが、ある従業員が「焼き加減が悪いので苦情がきている」と意見を本社に送っていたことが判明。その意見を知っていたのにも関わらず、同社は肉が固くなること理由に規定を無視しました。しばらくして、ジャック・イン・ザ・ボックスは注意書の紛失を認めました。
デトワイラーは医師に、「これ以上の生命維持は虐待になるだろう」と言われ、ライリーの生命維持装置をはずす辛い決断を取ります。この事件で4人の子どもの命が奪われました。
デトワイラーは、ジャック・イン・ザ・ボックスの弁護士に和解を求められ、今後口外しないことを約束されます。その対応にショックを受けます。デトワイラーはこの経験を活かして、現在は食の安全を大学院生に教えています。
肉の汚染は通常解体現場で発生します。なぜなら、牛を解体するときに腸に傷がつくからです。ステーキは細菌がついても主に表面だけなので、表面をしっかりやけばいいですが、牛ミンチは内部にまで細菌が混入してしまうリスクがあります。
当時はクリントン政権。農務省の方針は、これは規制制度や産業の責任ではなく、安全を守るのは消費者自身であると発表されます。これは子どもを失った家族にとって衝撃的で受け入れがたい事実でした。
状況を変えるには行動あるのみと、O157:H7を不純物と定めることを嘆願。それは認められ、汚染されたひき肉は違法とし、市場から排除できるようになりました。この改革によって、肉の汚染率は低下し、現在はハンバーガーによる食中毒被害の報告はゼロです。ジャック・イン・ザ・ボックスによって、牛肉業界は改革されましたが、他の食品に含まれる大腸菌の問題は未解決です。
ポイズニング:食に潜む汚れた真実のネタバレあらすじ:承
2022年、ベビーホウレンソウによる大腸菌食中毒が発生。現代は生野菜によって大腸菌が引き起こされています。
ステファニーの両親、スコット・イングバード、キャンディー・イングバードは口を開きます。2018年、出発の朝にステファニーは体調不良を訴えていましたが、母親は少し体調が悪いだけだろうと、あまり気に留めていませんでした。そして、ステファニーはドミニカ共和国のリゾートへと旅立ちます。
現地でステファニーの症状は悪化し、病院からはよくなると言われていましたが、腎臓が機能せず彼女の脳は腫れていました。すぐに帰国の措置が取られ、その翌朝、体内から大腸菌による志賀梅毒が検出されました。ステファニーはスポーツをする健康体の17歳。それにも関わらず、たったの48時間で危篤状態になってしまいました。
原因を突き止めるべく、ステファニーの両親は、彼女の1~2週間の食事を徹底的に調べました。そして、原因はロメインレタスだったことが判明します。
細菌は洗っても死ぬことありません。特に有機栽培が危険で、化学物質や農薬が少ないと細菌が付着しやすくなってしまいます。
なぜレタスに大腸菌が増えるのか。その原因は牧畜で、飼育法で菌が増えると考えられています。群れで飼育していると感染のリスクが高まります。感染した牛の排泄物は小川やかんがい用水路に流れこみ、その水が食品物に流れます。動物の排泄物の規制に対しては最小限でしかなく、法律はあっても実行はされていないのが現状です。問題になったロメインレタスも、飼育場の近くで育てられていました。
ポイズニング:食に潜む汚れた真実のネタバレあらすじ:転
2009年にはピーナッツバターに細菌が含まれていたことにより、サルモネラ菌が大流行しました。ピーナッツ・コーポレーション・オブ・アメリカの内部告発者によると、工場は不潔で管理がいきとどいていなく、雨漏りやネズミの発生など数々の問題を抱えていたにも関わらず隠蔽をし続けました。
同社では、検査で多くのサルモネラ菌の陽性が発覚すると、彼らは証明書を偽装し始めます。そして、上の者は出荷の指示を出し続けました。ピーナッツが含まれる商品は多く、ほぼ4000の製品がリコールとなりました。これはアメリカ史上最大のリコールとなりました。
スチュワート・パーネルは、汚染された製品を意図的に出荷し、サルモネラ菌を流通させた重罪で訴えられ禁固28年の判決が下されます。この事件で8人が亡くなりました。彼はまだ不服を申し立てています。
2010年には、サルモネラ菌の食中毒で卵がリコールされます。飼育場のオーナー、ジャック・デコスターは、飼育場が不衛生な環境だったと認識しており、卵が汚染される可能性もわかっていました。この事件で5万6000人が病気になりましたが、彼は3か月の禁固刑に留まります。
ポイズニング:食に潜む汚れた真実の結末
サルモネラ菌によって、毎年420人が死亡しています。鶏を飼育している会社パーデュー社のブルース・スチュワート・ブラウンは、インタビューに応じます。いかに、自社の管理が行き届いているのかをアピールし、抗生物質の使用を軽減させる方針へと展開したと言います。
現状、農務省の管理が入るのは食肉処理場からであり、飼育場の監視はほとんどなされていません。ある鶏肉製造会社の管理官を務める人物が内部告発をします。工場内の衛星管理は徹底されておらず、農務省による安全性検査済みの表示がついていても安心とは言えないと言います。
スーパーで並べられている5つの鶏肉を検査してみることに。すると、パーデュー社の鶏肉からサルモネラ菌が検出されました。この事実をパーデュー社のブラウンに伝えると、1つの鶏肉だけでは判断できないと責任を認めることはありませんでした。
現在の法律では、サルモネラ菌は不純物ではないので、汚染を知りながら販売しても問題はありません。そんな実情に異議を唱えていたマーラーは、31種のサルモネラ菌を禁止するよう嘆願します。彼の願いはサルモネラ菌を不純物に指定することです。
しかし、食品のロビイストの方が消費者より強力的であり、壁が立ちはだかります。食品会社は規制を嫌がり、そのため、その会社たちは高価なロビイストを雇って、政府に働きかけ、規制監視が極端に制限されるようにしています。
食品について研究する科学者たちは、企業からたくさんの助成金をもらって研究しているため、企業側意見にかたよりがちで、政府も然り。
O157は不純物に指定できたのだから、サルモネラ菌だってできるとマーラーは確信しています。ヨーロッパではサルモネラ菌感染率をほぼ半減させたという事実もあります。
大腸菌に感染したステファニーは奇跡的に回復し命を取り留めました。しかし、完治とはいかず、診察が1日に2~3件、リハビリや検査が続き、母親は数か月職場復帰することができませんでした。それでも、卒業式に歩くことを目標に努力を続け、目標を達成することができました。ステファニーは、腎臓や今後のことは考えないようにしていると言い、一生透析をしないといけないかもしれないし、毎日薬を飲んでいる、とても辛いと涙を流します。
追加で150の鶏肉を調査すると、17%がサルモネラ菌に対して陽性。パーデュー社のサンプルは29%が陽性となりました。それに対して同社は、菌の低減に積極的に取り組んでいると述べるに留まりました。
以上、映画「ポイズニング:食に潜む汚れた真実」のあらすじと結末でした。
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