木洩れ日の家での紹介:2007年ポーランド映画。老齢の婦人アニエラはワルシャワの森の中の家に住んでいる。思い出と暮らしながら、この家をどうするのか、彼女は最後の決断をする。
監督:ドロタ・ケンジェジャフスカ 出演:ダヌタ・シャフラルスカ(アニェラ)、クシシュトフ・グロビシュ(息子)、パトリツィヤ・シェフチク(孫娘)、カミル・ビタウ(ドストエフスキー)、ロベルト・トマシェフスキ(しつこい男)、ヴィトルト・カチャノフスキ(公証人)、マウゴジャタ・ロジニャトフスカ(医師)、アグニェシュカ・ポトシャドリク(娘)、ほか
映画「木洩れ日の家で」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「木洩れ日の家で」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
木洩れ日の家での予告編 動画
映画「木洩れ日の家で」解説
この解説記事には映画「木洩れ日の家で」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
木洩れ日の家でのネタバレあらすじ:起・森の中に住むアニエラ
医者の無礼に憤慨し診察を受けることなく帰宅したアニエラ。家からは買い手のついた家具が持ち出されている所だった。置き去りのピアノを動かそうとしたけれど、一人では動かせなかった。自分たちの物だと呟きながら愛犬とベランダで過ごしていると、人の集まる音が聞こえてきた。それは隣の家に集まる音楽クラブの子供達だった。アニエラはその子供達と、もう片方の隣の成金の家を双眼鏡で覗いていた。
役所からは、あばら家と言われ立ち退きを求められており、アニエラは訪ねてきた息子に引っ越して同居をして欲しいと頼むと、妻のマジェンカが拒むと返って来た。
土曜日になると、隣の家では子供達がダンスを踊っていた。それを見ながらアニエラ若かりし日の自分の思い出に浸った。
アニエラの家と土地を買おうと、成金の隣人は度々取引を申し出たが、アニエラはこの家は死んでも渡さないと彼を追い返した。
夜、ヒューズが飛び蝋燭を片手に家の思い出に耽る彼女を、犬のフィラの声が現実に引き戻した。
木洩れ日の家でのネタバレあらすじ:承・お金では買えないもの
身づくろいをしてラジオを付けていると、隣の家で音楽の練習が始まった。それを双眼鏡で覗いていると、成金から電話が掛かって来た。袖の下まで出してこの土地を欲しがる成金に、お金では買えないものがあるのだと電話を切った。
ベランダで休んでいると、窓から男の子が家に入ろうとしていた。ドストエフスキーと愛称をつけられた彼は、一人で住むにはたくさんの物があり過ぎるから盗みに入ろうとしたのだと正直に言った。アニエラはお金を貸してほしい言う彼にお金は貸さず、その代り庭のブランコに乗ってもいいと言って、彼を帰した。
何度もかかってくる電話に出られず、ドフトエフスキーを読み始めようとした彼女は、昔はよかったと、ブランコに乗っていた息子を思い出した。
そして嵐が来ると、雷の鳴る中、庭に出て土砂降りの雨を浴びた。
木洩れ日の家でのネタバレあらすじ:転・孫娘と息子
やって来た孫娘にかつて彼女の父親が住んでいた部屋とおもちゃを見せ、戦前は立派な家で、この家でダンスパーティーをしていたのだと話した。けれどこの家の一角は一時期ロシア人を泊めていて、ひどい有様になってしまっていた。話に興味ない孫娘は、父親のおもちゃよりアニエラのしている指輪が欲しいとねだった。
クルミを食べるのに忙しく、修理すればまだ住めると言うアニエラに修理するより燃やしてしまえばいいと言う孫に、アニエラが「おデブさん」と言って話しかけると、彼女は泣いて階下へ降り、自分の母親はアニエラを魔女と言っていると言い、更にアニエラを「ババア」と呼んだ。それでも指輪をねだった。
夜中に犬に起こされベランダに行くと、成金の家から出てきた息子が、自分への譲渡だと言えば気づかれない、耳も目も弱って今は眠っているからどうせ聞こえない、厳しい母親にはウンザリだと言うのを聞いてしまった。その言いようを遮ったの嫁のマジェンカだった。
息子の裏切りと、それまで自分を疎んでいる思っていた嫁にかばわれたことがショックだったアニエラは、どうしてこんな試練を与えるのかと嘆いた。
木洩れ日の家での結末:アニエラの決めた事
翌日、アニエラは息子にもうなにも望んでいないから来なくていいと電話をかけ、家じゅうのカーテンを閉め、身づくろいをし、ベッドサイドにキリストの小さな絵を置き、手にはロザリオを巻き、ベッドに横たわり、死が来るのを待った。
けれど、すぐに起き上がり、ブランコに乗る子供達を見ると、音楽クラブをやっている家へ向かい、暫く話をした後、握手をして帰って来た。帰って来たアニエラはイカれてしまったとブランコに乗って笑った。
数日後、ピアノを動かしてもらい、その下に隠していた宝飾品を家の修理代を賄うためにと取り出した。指輪は、孫娘ではなく息子の嫁に。
公式の証書を作り立会人のもと、この家を修理し土地を音楽クラブに寄付すると契約をした。条件は建築様式を変えずに修理することと、アニエラの永住だった。
誰もいなかった広い家には楽器が運び込まれ、ダニエラはラジオを消した。子供の声が溢れ、その中の一人が彼女に紅茶を入れてベランダへ持ってくると、アニエラは亡くなっていた。
木洩れ日の家でのレビュー・考察:アニエラの望み
91歳と高齢のアニエラが自分の人生の詰まった家をどうしようか、もちろん当初は息子にさっさと譲って息子家族との同居を望んでいた。けれどもそれは孫娘の無関心な態度や言葉尻から最良の決断ではなく、夜中に窓辺で聞いてしまった息子の言葉で諦めた。彼女はけして意固地なわけではなく、自分の人生の一部であるこの家を自分と同じように大切にしてくれると信頼できる人物に引き継ぎたかったのだと思う。
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