レイズ・ザ・タイタニックの紹介:1980年アメリカ,イギリス映画。クライブ・カッスラーの同名ベストセラー小説を原作に映画化、アメリカの防衛システムの鍵を握る鉱石ビザニウムがあの有名なタイタニック号の中に眠ることを知った主人公達がタイタニック号を引き揚げることになる。タイタニック号の引き揚げシーンの迫力は見物。
監督:ジェリー・ジェームソン 出演:ジェイソン・ロバーズ(ジェームズ・サンデッカー提督)、リチャード・ジョーダン(ダーク・ピット)、アン・アーチャー(ダナ・アーチボルド)、アレック・ギネス(ジョン・ビガロウ)、デヴィッド・セルビー(ジーン・シーグラム)、J・D・キャノン(ジョー・バーク)、ボー・ブランディン(プレフロフ船長)、M・エメット・ウォルシュ(ヴィニー・ウォーカー)、ノーマン・バートールド(ケンパー提督)、ほか
映画「レイズ・ザ・タイタニック」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「レイズ・ザ・タイタニック」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
レイズ・ザ・タイタニックの予告編 動画
映画「レイズ・ザ・タイタニック」解説
この解説記事には映画「レイズ・ザ・タイタニック」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
レイズ・ザ・タイタニックのネタバレあらすじ:起
海洋研究機関に属するサンデッカー提督(ジェイソン・ロバーズ)とシーグラム博士(デヴィッド・セルビー)は、ダーク・ピット(リチャード・ジョーダン)という男からある報告を受けていました。
元海軍大佐で現在はフリーのエージェントをしているピットは、シーグラムの依頼でソ連のとある島を調査中に行方不明だったアメリカ人鉱物学者を救出します。
救出した鉱物学者から、70年近く前に沈んだ豪華客船タイタニック号に、アメリカが極秘に進めていた防衛システムを完成させるのに必要な希少鉱物ビザニウムを積んでいた事を知ります。
レイズ・ザ・タイタニックのネタバレあらすじ:承
当時の技術ではビザニウムだけを引き揚げる事は不可能でした。ならばタイタニック号ごと引き揚げてしまおうという計画が進められていったのです。
ソ連にバレないよう極秘に計画は進みますが、計画はソ連の将校によりマスコミの明るみに出てしまいます。
一方でピット達の潜水艇は幾度もの失敗を繰り返しながら4000メートルもの深い海底亀裂の中に沈んでしまったタイタニック号を発見しました。
早速沈没したタイタニック号の調査に向かうピット達、しかしジーン博士(デヴィッド・セルビー)が乗る潜水艇が船内に引っ掛かってしまい、身動きがとれなくなってしまいます。
レイズ・ザ・タイタニックのネタバレあらすじ:転
その後、ピットがジーン博士を救うために考えたのは引っ掛かった潜水艇ごと、つまりタイタニック号自体を浮上させようというものでした。
少しでも軽くするために爆弾を爆破して船体を削っていきます。船体に空気を送り込みタイタニック号を浮上させていきます。そして見事、巨大豪華客船タイタニック号を海上に浮上させることが出来たのです。
ジーン博士達の潜水艇も無事脱出、そこから船内の探索に入ります。あの優雅な姿だったタイタニック号の面影はもはやなく、錆びつくした船内を探索し始めます。そしてビザニウムが入っているであろう積荷を見つけます。
レイズ・ザ・タイタニックの結末
すると、ビザニウムの所有権をソ連が訴えてきます。渡さなければ魚雷を発射すると脅してきましたが、アメリカ軍もそれに対する対抗策を見せると、ソ連側は引き下がりました。
いよいよビザニウムと対面する瞬間がやってきます。しかし、そこにはビザニウムを発見したとされていたブルータスという男の遺体と、ビザニウムとは似ても似つかない砂利が発見されただけでした。
今までの苦労が水の泡となったことにジーン博士はさすがにショックが隠せません。しかし、今は国の防衛のために使用されるビザニウムですが、使い方次第では兵器にもなりえる事を考えると、見つからなくて良かったのではと考えることにしたのです。
ブルータスの資料を見ていたピットが何かに気づき、ジーン博士を連れてブルータスの墓にやってきました。ピットの指示でブルータスの墓に探知機をかざすと、なんとビザニウムの反応がありました。
ブルータスも彼ら同様にビザニウムの危険性を察知し、それを自分の墓に隠すことにしたのです。ピット達はそんなブルータスの思いを汲み取り、何もなかったように墓を後にするのでした。
以上、映画「レイズ・ザ・タイタニック」のあらすじと結末でした。
この映画「レイズ・ザ・タイタニック」は、異色のスペクタクル映画の傑作だ。
人間というものは、常に”夢と冒険”を追い求める存在だと思う。
かつてのタイタニック号引き揚げのニュースなどは、そんな夢を追う人間の挑戦の一つでもあるのだ。
このタイタニック号と言えば、1912年4月14日、処女航海で氷山とぶつかり、北大西洋の底に沈んでしまった超豪華客船で、その存在自体がまことにドラマチックである上に、この船には様々な人々が乗り合わせていて、人の世の定めを思わせるところから、それまでにも数多くの小説や映画の素材になって来たのは、衆知の事実だ。
だが、沈んでいくタイタニック号を描いた映画は多くても、再び浮上する姿を描いた映画はなかったと思う。
人々の夢であるだけに、映像化が難しかったのだろうし、CGの発達していなかった当時としては、巨体が浮き上がる瞬間の撮影が出来なかったからだと思う。
この「レイズ・ザ・タイタニック」と言う作品は、その”夢”に挑戦した映画なのだ。
当時、現実にタイタニック号の引き揚げの計画が話題になり、製作の進行と重なったのは偶然のようだが、アメリカやイギリスの人たちにとっては、いかに大きな”夢”であったのかがよくわかる。
それだけに、この映画のポイントは、タイタニック号浮上の瞬間と、再びニューヨーク港に入るシーンだ。
リシャの客船アテナイ号を改造して使用したのだそうだが、特撮とロケを合わせたその成果は、やはり息をのむスペクタクルだ。
それは、特撮のうまさという以上に、実は映画の作り方自体に巧みなトリックが絡んでいるからだと思う。
映画は北極海のソ連領からワシントンの政治の極点を結ぶドラマ・ラインを、あたかもニュース・ドキュメンタリーのように冷たく抑えて撮っていくのだ。
観ている者は、いつの間にか、これが現実の再現のように思えてしまうのだ。
だからこそ、引き揚げの瞬間と、ニューヨークの帰りのシーンは、強烈な現実感で感動してしまうのだ。
そして、この映画はこの後、”もう一つの謎の解明”を見せるのだが、夢を追う人間の心理を見事に読み取って、”虚構のスペクタクル”に現実的な感動を与えたジェリー・ジェームソン監督は、なかなかの切れ者だと思う。