ランボー/怒りの脱出の紹介:1985年アメリカ映画。ベトナム帰還兵の苦悩を描いた前作『ランボー』(1982年)から3年。シリーズ第2作となる本作は、実際のベトナム帰還兵からの大反響を受けた主演のシルヴェスター・スタローンがジェームズ・キャメロンと共に脚本を手掛け、前作の事件の恩赦と引き換えに再びベトナムに舞い戻り危険な任務に臨むランボーの壮絶な戦いを描いていきます。
監督:ジョージ・P・コスマトス 出演者:シルヴェスター・スタローン(ジョン・ランボー)、リチャード・クレンナ(サミュエル・トラウトマン大佐)、チャールズ・ネイピア(マーシャル・マードック司令官)、スティーヴン・バーコフ(ポドフスキー中佐)、ジュリア・ニクソン=ソウル(コー・バオ)、マーティン・コーヴ(エリクソン)、アンディ・ウッド(バンクス)、ジョージ・チェン(タイ軍曹)、ウィリアム・ジェント(ヴィン大尉)、ダナ・リー(キン大佐)、ボージョ・ゴーリク(ユーシン軍曹)、スティーブ・ウィリアムス(ライファー)、トニー・ミュナフォ(刑務官)ほか
映画「ランボー/怒りの脱出」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ランボー/怒りの脱出」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ランボー/怒りの脱出の予告編 動画
映画「ランボー/怒りの脱出」解説
この解説記事には映画「ランボー/怒りの脱出」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ランボー2/怒りの脱出のネタバレあらすじ:起
前作『ランボー』(1982年)の事件の後、有罪となったジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)は刑務所に入れられ、肉体労働に従事させられていました。
そんなある日、ランボーの元にベトナム時代の上官だったサミュエル・トラウトマン大佐(リチャード・クレンナ)が面会に訪れ、ランボーに極秘任務の話を持ちかけてきました。
それは、かつてランボーがベトナム戦争時に収監されて脱走したことのあるベトナムの捕虜収容所付近に潜入し、終戦から10年経ってもなお拘束されている戦争捕虜の証拠写真を撮影して帰ることでした。任務が成功すれば政府から恩赦されるとの条件を受け、ランボーは承諾して一時的に軍に復帰することになりました。
ランボーは作戦を指揮するCIAのマーシャル・マードック指揮官(チャールズ・ネピアー)から、作戦はただ捕虜の写真を撮るだけであり、いかなる場合でも戦闘行為は許されないというものでした。渋々了解したランボーは米軍基地から飛行機でベトナムへ飛び、目標地点に落下しようとしましたが、誤ってパラシュートを機体に引っかけてしまい、何とか地上には降り立ったもののカメラなどの装備を失い、手元に残ったのはナイトと弓矢しかありませんでした。
その頃、ランボーの生存の可能性は低いと判断したマードックは、トラウトマンに36時間で作戦を打ち切ることを通達していました。
ランボー2/怒りの脱出のネタバレあらすじ:承
ランボーは現地の協力者である女性連絡員コー・バオ(ジュリア・ニクソン=ソウル)と合流、彼女の手引きでボートで目的地に向かいました。道中でランボーは自分がベトナムからアメリカに帰還した時に受けた酷い仕打ちをバオに語りましたが、バオの夢はアメリカに亡命して静かに暮らすことでした。
捕虜収容所に到着したランボーは、そこで捕虜たちが虐待を受ける様を目の当たりにしました。マードックの命令を無視しての捕虜救出作戦に乗り出すことにしたランボーは、敵兵数名を弓矢で射殺し、捕虜の一人を連れて収容所を脱出しました。
ランボーらはバオと合流、敵の哨戒艇をロケット弾で撃破しながらボートで逃走しました。ランボーの要請を受けたトラウトマンは直ちにヘリコプターでランボーたちの救出に向かいましたが、ランボーが捕虜を救出したことを知ったマードックはヘリに救出を中止して帰還するよう命じました。
捕虜の存在が公になれば政府が多額の身代金を要求されるとの恐れを抱くマードックにとっては、ランボーの行動は非常に都合の悪いものだったのです。基地に戻ったトラウトマンはマードックを非難し、ランボーがもし生きていたら後悔することになると警告しました。
ランボー2/怒りの脱出のネタバレあらすじ:転
現地に置き去りにされてしまったランボーと捕虜は捕らえられ、収容所に監禁されました。やがてランボーの前に、極秘裏にベトナム軍を支援するソ連軍のポドフスキー中佐(スティーブン・バーコフ)が現れ、ランボーに拷問を加えてきました。ポドフスキーはランボーに米軍基地に連絡を入れさせ、捕らえられたことを告げるよう強要しました。
捕虜が痛めつけられそうになったのを見たランボーは条件をのんだフリをし、基地に連絡すると、自分を裏切ったマードックに復讐すると告げました。その直後、ランボーは娼婦に扮して収容所に潜り込んだバオに助けられて収容所から脱出、彼女に拷問で受けた傷の手当てをしてもらいました。
バオは自分をアメリカに連れて行ってくれるようランボーに頼み、ランボーも了解して二人はキスを交わしました。ところがその直後、二人はベトナム兵の攻撃を受け、バオは敵の銃弾を受けてしまいます。バオはランボーの腕の中で息を引き取り、怒り狂ったランボーはその場にいたベトナム兵全員を皆殺しにしました。
バオの遺体をジャングルに埋葬したランボーは、元グリーンベレーの精鋭として培ったゲリラ戦術を駆使し、ジャングルの地の利を生かして次々とベトナム兵やソ連兵を血祭りにあげていきました。
やがてランボーはソ連軍のヘリに発見され、爆弾を投下されました。川に飛び込んで難を逃れたランボーはヘリが高度を下げた隙を見計らって飛び乗り、ヘリの敵兵たちを一掃すると自らヘリを操縦して捕虜収容所に乗り込みました。
ランボー2/怒りの脱出の結末
収容所を制圧したランボーは捕虜たち全員を救出し、ヘリに乗せてタイの米軍基地に向かいました。ところが、ポドフスキー自ら操縦するヘリが攻撃を仕掛け、ランボーたちのヘリは川の浅瀬に不時着を余儀なくされました。
しかし、これはランボーの罠であり、ランボーはポドフスキーのヘリが自分の死を確認するため低空飛行を試みたのを見計らってロケット弾でヘリを撃墜しました。
タイの米軍基地に帰還したランボーは機関銃を手に暴れ回り、手あたり次第に指令室の機器などを破壊すると、マードックにナイフを突きつけ、未だにベトナム軍に捕らえられている全ての捕虜を救出するよう迫りました。
任務を果たしたランボーは約束通り恩赦されることとなり、トラウトマンからグリーンベレーに復帰しないかと誘われました。アメリカに戻らず、タイに留まる決意を固めていたランボーは申し出を断ると、「俺が望むのは、ベトナムで命をかけて戦ってきた彼ら捕虜たちが望むことです。俺たちが国を愛するように、国にも俺たちを愛してほしいんです」と、元帰還兵としての思いを述べ、いずこへと去っていきました。
以上、映画「ランボー/怒りの脱出」のあらすじと結末でした。
「ランボー/怒りの脱出」感想・レビュー
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ランボーシリーズ4部作の中で一番好きな映画です。ストーリーよし、カメラアングルよし、音楽よし。そして何より、シルヴェスター・スタローンの肉体が素晴らしい。筋肉のバランスが最高。本当に悪いところは何もない映画で、私は暇があれば何度も観返しています。
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軍隊や警察を相手に、たった一人で凄絶な戦いを展開した、あの「ランボー」の第二の戦いを描いた、ジョージ・P・コスマトス監督の「ランボー 怒りの脱出」。
ヴェトナムに米兵が、今も捕虜となっている証拠の写真を撮る為に、ランボーが派遣される。
ところが、これが軍の首脳部のトリックで、捕虜はもういないとの証拠を作り上げ、議会へ提出しようとしていたのだ。だから、ランボーが生き残りの捕虜を発見し、その中の一人を連れて帰ろうとした時、司令官は突然、作戦の中止命令を出すのだった。
捕虜が生き残っている事実を知られ、更にそれを知ったランボーが、生きている事はまずいというのだ。
ヴェトコン軍に捕らえられ、ソ連軍に拷問されたランボーは、脱出を図り、ヘリコプターを奪って、捕虜全員を連れて、基地へ帰ろうとするのだが——–。
この映画の見どころは、何と言っても、ランボーを演じるシルベスター・スタローンの超ハードなアクションだ。
文字通り、地に潜み、森を這い、一人また一人と殺していく格闘技の凄まじさは、目を見張るものがある。監督のジョージ・P・コスマトスは、イタリア映画界出身だが、イタリア人特有の粘っこさに、「カサンドラ・クロス」で見せた、素材を大きく掴んで語り上げる、ハイテンポな力量を重ねて、我々観る者を画面の中に引きずり込むのだ。
スタローンとしても、かなりの入れ込みようで、「ロッキー」でブレイクし、結局、「ロッキー」から脱皮できなかった彼が、遂に脱出に成功した作品である。
戦争は終わっているのに、ヴェトコンを殺したり、ソ連と交戦するあたりで、これをナショナリズムの右翼映画だと断じる人も多いようだ。
右翼映画だと断じるのはやさしいが、私はその奥にもっと屈折した光が見えるように思う。あの戦争をどう自己の心に位置付けるにしろ、アメリカ人にとって、ヴェトナム戦争は、決してまだ終わってはいないのだという事実。
ランボーたちは国を信じ、命を賭して戦って来たのに、仮面を被った国のオポチュニストたちは、侵略者の如く、つまはじきにする。
失われた自分たちの青春はどうなる。
国の一人一人の為に戦って来た自分たちを、もっと理解して欲しいという、ヴェトナム戦争の世代の訴えが、画面に溢れていると思う。ランボーを理解する、唯一人の上司が言う。「間違った戦争だったが、国を憎むなよ」
それに対して、ランボーが答える。「命を捧げます」もう一度、あの自由と、明るい夢と努力が唸る国アメリカを、作り直そうよ——–と。
それは単に、一国の意識の高揚を乗り越えて、人間の心自体へ訴えかけた言葉であったと私は思う。
今日は一人でバーボンでも飲みながら、悲しい映画でも観ようという硬派な方にはおすすめです。ランボーシリーズはどれも面白いのですが、この怒りの脱出は、数あるベトナム戦争を題材にした映画の中でもたった一言でベトナム戦争って、を表現したセリフが心に残ります。ランボーが大佐に言った「今度は勝手もいいですか?」。そんなベトナム戦争の背景と孤独な男の背中を重ね合わせて観てみると、戦争の馬鹿野郎と思う訳です。