映画サンバの紹介:2014年/フランス作品。「最強のふたり」でスラム街の青年を演じたオマール・シー、今回は移民となりフランスの社会事情を浮き彫りにする。ビザ更新を忘れフランスから国外退去を命じられたアフリカ系青年とその窮地を救おうと奮闘する女性と仲間たちの姿を描く。
監督:エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ 出演:オマール・シー、シャルロット・ゲーンズブール、タハール・ラヒム、イジア・イジュランほか
映画「サンバ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「サンバ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
サンバの予告編 動画
映画「サンバ」解説
この解説記事には映画「サンバ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
サンバのネタバレあらすじ:国外退去?いいえ自由の身
ホテルのレストランで働いていたサンバは晴れて正式に雇ってもらう事になり、滞在許可書を申請しに行くが、すでにビザは切れていて国外退去通知を発送済みと断られてしまう。不法滞在者として収容されてしまったサンバの元へ移民に関するボランティアをしているマニュとアリスが釈放の裁判のための手助けにやってくる。話をするうちに、サンバはアリスに興味を持つ。ビジネスライクなマニュは、アリスにボランティアで接している相手に個人的な感情は持たないようにアリスに釘を刺す。ふたりの助力の結果、サンバは国外退去を言い渡され、収容所からは釈放された。サンバはパリで働く親戚の元に変えるが不法滞在生活が始まる。収容所で知り合ったジョナスという男に、パリで美容師をしているグラシューズという恋人を探してくれと言われていたので、美容室しらみつぶしにあたり、ついにそれらしい女性を見つけるが、彼女はジョナスの事はとっくに過去の事になっており、サンバと一夜を共にしてしまう。
サンバのネタバレあらすじ:情緒不安定なアリスの恋
アリスはいわゆる女性管理職なのだが、会社でひと悶着あり現在は休暇を取ってボランティアをしている。そんな事を、再会したサンバとコーヒーショップで話す。ある日、仕事中に鳴った男性社員の携帯電話を頭に来て折ってしまったのだと。アリスはサンバの笑顔に心を惹かれるが、自分の立場やマニュに釘を刺された事もあり、なかなか足を踏み出せない。
サンバのネタバレあらすじ:ウィルソンとサンバ、最強の二人パート2?
日雇いでの仕事を探していたサンバは、以前、役所で並んでいた時に知り合ったウィルソンに再会。ラテン系移民を称する彼は日雇いの仕事を確保するのもお手の物。乗りも明るく、サンバを相棒に高層ビルの窓清掃作業では女性社員のフロアとみるや、サンバが揺らすなと止めるも、清掃用のゴンドラの中から踊りを披露しガラス越しに大盛況。そんな彼も本当は偽造した滞在許可証で暮らしており、本当はアラブ系だった。少しでも職業斡旋所の印象がいいようにラテン系を装っているだけだった。そんな彼は、移民ボランティアの主催するパーティーでマニュに出会う。ちょうどよくサンバが流れるが皮肉にもサンバはサンバを踊れなかった。ある日、建設現場で塗装の仕事をしていると、不法滞在取締りの警察がやってくる。サンバとウィルソンはなんとか屋根まで逃げ仰せる。ウィルソンの家で一息ついていると、移民取締りの摘発があったと知ったマニュがやってくる。アリスに釘を刺していたにも関わらず、マニュはウィルソンと恋に落ちていた。一緒に来ていたアリスとサンバは二人を残し部屋を去る。二人の関係はなかなか進まないが、アリスは休暇を終え、元の職場へ戻ると言う。
サンバの結末:名前を変えながら
サンバはアリスにきちんと告白をしようと、食事の約束をする。しかしその夜、ジョナスに再会してしまう。彼は一杯ぐらいいいだろうとサンバを酒に誘い、断りきれないサンバは少しだけ付き合うことにする。ジョナスはサンバに自分が亡命者の滞在許可書を手に入れたと自慢する。そして、グラシューズの事を問い詰め、絡み酒の末、アリスとの食事用のジャケットを奪い、自分のジャンパーを着せる、挙句、早くアリスのもとへ行きたいサンバを追いかける。そこへ警察登場。自分の身分を証明するものが偽造の証明書しかないサンバは必死で逃げる、その間で、ジョナスは運河に落ちて死んでしまう。サンバは逃げおおせるが親戚ともに母国へ帰ることにする。バスの発着所でアリスに別れを告げるサンバ。バスの中でジャンパーのポケットを探っていると、ジョナスのジャンパーから亡命者の滞在許可証が出てくる。サンバはもう一度フランスで生きていこうと決める。
サンバの感想:アイデンティティと移民問題
移民問題とフランスと言う意味で、この作品はタイムリーだったかも知れない。ウィルソンが本当はアラブ系でありながらラテン系を称していたのも、その扱いの差は歴然としているからだろう。また、普通の滞在許可証と亡命者の許可証、帰る国の有無によってもその待遇はまったく違う。フランス、特にパリのモザイク状態の文化・人種という面が浮かんでくる。また、女性管理職のアリスと移民のサンバという組み合わせは、フランスの中の見えない階級を端的にあらわされているからこそ、それを越えて結びついていこうとする二人を応援したくなる。サンバもウィルソンも違法移民と片付けてしまう事も可能かも知れないが、笑顔のせいかなんだか憎めない、最強の二人だった。
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