SEOBOK/ソボクの紹介:2021年韓国映画。秦の始皇帝の時代に不老の霊薬を探し求めたとされる古代中国の人物・徐福(ソボク)の伝説をモチーフにした韓国発のSFサスペンス映画です。不治の病に侵された元国家情報院諜報員と不死身の肉体を持つクローン人間の物語を描きます。
監督:イ・ヨンジュ 出演者:コン・ユ(ミン・ギホン)、パク・ボゴム(ソボク)、チョ・ウジン(アン部長)、チャン・ヨンナム(イム・セウン)、パク・ビョンウン(シン・ハクソン)、キム・ジェゴン(キム・チョノ)、ヨン・ジェウク(ホ課長)、キム・ホンパ(ペ局長)、イ・オンジョン(ユン・ヒョンス)ほか
映画「SEOBOK/ソボク」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「SEOBOK/ソボク」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
SEOBOK/ソボクの予告編 動画
映画「SEOBOK/ソボク」解説
この解説記事には映画「SEOBOK/ソボク」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
SEOBOK/ソボクのネタバレあらすじ:起
韓国・ソイン研究所。ここでは人類初のクローン人間・ソボク(パク・ボゴム)の研究が極秘裏に進められていました。韓国に潜入していたアメリカの研究者は韓国国家のトップシークレットであるiPS細胞の情報を入手、本国にその情報を報告した直後に滞在先のホテルの部屋ごと爆破されました。
その頃、元国家情報院諜報員のミン・ギホン(コン・ユ)は不治の病である悪性の膠芽腫に侵されていました。余命はもって半年から1年といわれているギホンは慢性的な頭痛に悩まされており、痛みを薬で紛らわせていました。
そんな時、ギホンは国家情報院時代の上司だったアン部長(チョ・ウジン)に呼び出され、ソイン研究所のシン・ハクソン理事(パク・ビョンウン)とイム・セウン博士(チャン・ヨンナム)を紹介されました。
ギホンはセウン博士からクローン人間の説明を受けました。韓国の国家プロジェクトとして生み出されたソボクは不老不死の身体を持ち、その骨髄液から採取されるiPS細胞には人間の疾患を治癒する力がありました。さらにソボクには、念じれば周囲の物体に圧力をかけることができる超能力も備わっていました。
しかしその反面、ソボクは常人よりも細胞分裂が速く、それを抑制するために24時間に1回は抑制剤を打たないと死んでしまうという弱点も併せ持っていました。
ギホンが依頼された任務とは、ソボクを狙う者たちから守るべく彼を安全な場所に移送する際の護衛というものでした。ギホンはソボクから採取したiPS細胞で膠芽腫を治療することを条件に依頼を引き受けました。
ギホンはソボクと対面し、早速護衛車に乗り込みましたが、護衛者は何者かに襲撃され、ギホンとソボクは催涙ガスを嗅がされて拉致されてしまいました。とある施設に監禁されたギホンはソボクを助け出し、トラックを奪って施設から脱出しました。
二人は研究所の指示に従って長岩里に向かうことにしましたが、途中でトラックは故障してしまい、二人はやむを得ず徒歩で移動することにしました。
ソボクは自分がなぜ狙われるのか、自分という存在は一体何者なのか理解できていない様子でした。それでもギホンはソボクを守り抜くと決心し、途中の街でソボクの服を買ってあげました。
SEOBOK/ソボクのネタバレあらすじ:承
長岩里の指定場所に到着したギホンはソボクにカップラーメンを作ってあげましたが、ソボクは今までセウン博士に食事を食べさせてもらっていたので自力で食べることができないことが判明しました。それでもソボクはカップラーメンを食べ始めましたが、何杯も何杯もおかわりしても食べ足りなさそうでした。
ギホンは食事をしながらソボクに日常生活について質問してみました。ソボクはセウン博士を実の母のように思っており、ただ食事を採って本を読んで検査を受けるだけの毎日を過ごしていました。ギホンは“実験体”であるソボクがただ“生かされている”だけの存在であることに衝撃を受けました。
その時、ギホンとソボクの前に二人組の男が現れました。二人組は国家情報院から差し向けられた刺客であり、ソボク射殺の指令を受けていました。ギホンはソボクを守るべく刺客たちと戦い、ソボクも超能力で刺客の銃弾をかわすと天井を崩落させて刺客を倒しました。ギホンは刺客の携帯電話にアン部長から連絡があったことから、ソボクは国家情報院に狙われる身となったことを知りました。
ギホンは研究所に連絡を入れると、ソイン研究所の会長キム・チョノ(キム・ジェゴン)がソボクを研究所へ連れ戻すよう命じてきました。キム会長は高齢で持病も抱えており、自身の治療のためにソボクを欲していたのです。
ギホンはソボクを連れてソイン研究所に戻ることにしましたが、ソボクはその前に蔚山へ行きたいと言い出しました。ソボクは理由を答えず、ギホンの説得にも応じようとしませんでしたが、前回抑制剤を打ってから既に24時間以上が経過しているソボクは苦しみ出し、吐血してしまいました。
その頃、ソボクの情報を知ったアメリカ側もソボクを始末する命令が出されていました。ソボク抹殺を提言した学者は、人類は地球上の生物のなかで唯一“死”に恐怖を抱く生物であり、死への恐怖が人間性を豊かにしているとしながらも、人類がもし不老不死を手に入れると欲望ばかりを追い求めるようになり、人類にとって生命を維持するためのものである“死”がなくなれば人類は滅亡すると警鐘しました。韓国の国家情報院も同様の判断を下していました。
SEOBOK/ソボクのネタバレあらすじ:転
ギホンはソボクを連れ、至る所に設置されている防犯カメラを気にしながら慎重に移動していました。ところが、途中の雑貨店に入ったソボクは高校生たちにからかわれ、つい超能力を発動して騒動を起こしてしまいました。ソボクの居場所を知ったアン部長はソボクとギホンをテロリスト扱いで緊急指名手配しました。
ギホンはソボクに研究所に戻って抑制剤を打とうと説得しましたが、ソボクは研究所に戻れば自由が奪われるとして拒絶、ギホンの命は助けるだけの価値はあるのかとまで言い放ってしまいました。ギホンは頭痛に襲われ、そのまま意識を失いました。ソボクは倒れたギホンを見つめながら、セウン博士がなぜ自分を創り上げたのか過去を振り返っていました。
一方、ギホンは夢の中で2年前の忘れ得ぬ出来事を振り返っていました。ギホンが優秀な諜報員だった頃、ギホンの同僚で恋人だった女性諜報員ユン・ヒョンス(イ・オンジョン)が国家情報院にとって不都合な情報を掴んでしまったのです。
このことを知ったアン部長はギホンに命じ、ヒョンスに酒を飲ませて泥酔させたうえで情報を取り上げたのですが、アン部長はそればかりか酔ったままのヒョンスを車ごと海に沈めて殺害してしまったのです。その様子を黙って見ていることしかできなかったギホンは今でも深く後悔していました。
ギホンが意識を取り戻すと、ソボクは海岸で超能力を使って石を引き寄せ、墓のようなものを作りました。そしてソボクは改めて自分を蔚山に連れて行ってほしいと懇願しました。
蔚山にあるイミョン聖堂には、交通事故死したセウン博士の夫と息子が葬られていました。当時まだ10歳だった息子を失ったセウン博士は自らの遺伝子を使ってソボクを創り上げたのです。死ぬのも怖いが永遠に生きるのも怖いと言うソボクに、ギホンは辛ければ泣けと声をかけました。
SEOBOK/ソボクの結末
ギホンとソボクは途中で警察に追われながらもソイン研究所に向かいましたが、突如現れた傭兵集団が警察と銃撃戦を繰り広げている間に二人はスタンガンで気絶させられてしまいました。
一方、研究所では研究の在り方に疑問を抱いたセウン博士が反旗を翻していました。セウン博士はキム会長に銃を向けましたが、護衛の者に射殺されました。
ギホンとソボクが連れて行かれたのはソイン研究所でした。ソボクと引き離されたギホンが目を覚ますと、ソボクはハクソン理事の元で骨髄液の抽出実験をさせられそうになっていました。ギホンはソボクを家畜同然としかみなしていないハクソン理事のやり方に憤り、ハクソン理事を殴ってソボクを救い出しました。
ギホンはソボクを連れて研究所から脱出しようとしましたが、アン部長も手下を率いて研究所に乗り込もうとしていました。セウン博士の死を知ったソボクは怒りを爆発させ、全能力を解放させるとキム会長を殺し、研究所を破壊しました。アン部長も能力に巻き込まれて命を落としました。
ギホンは車を奪い、ソボクを連れて逃げようとしましたが、ソボクは自分がいるだけでも争いは止まらないと覚悟を決めていました。ソボクはギホンに自分を殺してほしいと懇願し、ギホンは葛藤しながらもソボクを射殺しました。その後、ギホンはソボクが作った海岸の墓に向かい、小石を1個置いてその場を去りました。
以上、映画「SEOBOK/ソボク」のあらすじと結末でした。
王道的な近未来SF映画ではありますが、そこプラス国家絡みの陰謀・アクション・ウエット感と一大エンタメと言うべき様々な要素を取り入れているところはこの映画ならではの醍醐味ではないでしょうか。韓国映画らしい作りです。海辺のシーン・ラストのシーンが特に感動的でした。