セッション9の紹介:2001年アメリカ映画。廃墟となった精神病棟に、アスベスト除去作業のためやってきた5人の男達。過去の患者が残した“セッション”のテープが流れ始めた途端、謎の狂気が彼らに憑りついていく。実在する廃墟の病院を撮影場所に選んだという、臨場感たっぷりのサイコ・ホラー。海外ドラマ「CSI」シリーズでお馴染みの俳優、デヴィッド・カルーソとポール・ギルフォイルが共演しているのも見どころ。
監督:ブラッド・アンダーソン 出演:デヴィッド・カルーソ(フィル)、ピーター・マラン(ゴードン)、スティーヴン・ジェヴェドン(マイク)、ジョシュ・ルーカス(ハンク)、ブレンダン・セクストン三世(ジェフ)、ポール・ギルフォイル(ビル)ほか
映画「セッション9」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「セッション9」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「セッション9」解説
この解説記事には映画「セッション9」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
セッション9のネタバレあらすじ:起
アメリカ・マサチューセッツ州。1985年に閉鎖され、今は廃墟となっているダンバース州立病院にやって来たフィルとゴードン。彼らはアスベスト除去作業に雇われた職人で、現場の下見が目的でした。かつては2400人もの患者が収容され、ロボトミー手術や人体実験まがいの治療が行われていたという院内。その不気味な雰囲気の名残りを感じとったゴードンはゾッとします。ここに来る前から、彼の気分は落ち込んでいました。生まれたばかりの娘エマが耳の感染症を患い、妻も疲れきっていたからです。重症者が隔離されていた通称“地獄”と呼ばれる病棟に足を踏み入れた時、ゴードンは不思議な感覚にとらわれます。廊下の向こうに置かれた車椅子を見た途端、誰かに名前を呼びかけられた気がしたのです。さらに、壁一面に写真や切抜きが貼られた部屋に迷い込み、魅入られたようにそれらを見つめます。下見を終え、作業期間を2週間と見積もるフィルに対し、絶対に入札に勝ちたいゴードンが1週間で仕上げると宣言。フィルは当惑しますが、しぶしぶ同意し、月曜から作業開始と決まります。
セッション9のネタバレあらすじ:承
月曜日。フィルとゴードンの他に、3人の職人がやって来ます。フィルの彼女エイミーを奪ったハンク、弁護士になる夢を諦めきれないマイク、ゴードンの甥っ子のジェフです。午前中の作業を終え、昼食を取る5人。マイクは、病院が閉鎖に追い込まれる原因となった84年の“パトリシア事件”の話を始めます。黒魔術信仰の親族に虐待されたという少女の事件です。作業が再開し、地下へおりたマイクは資料室を見つけます。「証拠品」と書かれた箱の中には、メアリー・ホッブスという患者と医者との“セッション”記録テープが9巻。好奇心に駆られ、1巻目のテープに耳を傾けるマイク。そこには、多重人格だというメアリーの生々しい声が記録されていました。その日の作業終了後。マイクは1人病院に残り、テープを聞き続けます。メアリーの中には、“王女様”、“ビリー”、“サイモン”などの人格が存在しているようです。一方、ゴードンは帰宅したものの車から降りず、車内から悲しそうに妻子のいる家を見つめていました。脚がひどく痛むのか、顔をひきつらせて堪えています。火曜日。地下にいたハンクは、煉瓦の壁から大量のコインを掘り出し大喜びします。マイクは、皆の目を盗んでセッションのテープに没頭します。メアリーの中にいるビリーという人格は、なぜかサイモンを恐れているようです。テープを聞いた後のマイクはまるで別人のように攻撃的な態度になり、フィル達は面食らいます。ゴードンは妻に電話をかけますが、なぜか途中で切られてしまいます。
セッション9のネタバレあらすじ:転
その夜。こっそり仕事場に戻ったハンク。昼間に隠したコインや眼鏡、医療用のアイスピックなどの骨董品を持ち出そうと袋へ入れます。暗闇の中、外へ出ようとしたハンクの目の前に何かが現れます。水曜日。仕事に来ないハンクに激怒したフィルが、エイミーに電話します。彼女によると、ハンクは臨時収入を得てマイアミへギャンブルに出掛けたとのこと。呆れ返ったフィルは、代わりに職人のクレイグを呼べと言います。しかし、ゴードンは何かが変だと感じます。自分の手を見ると、なぜか血がついています。昼食時。マイクはひたすらテープを聞き続けています。メアリーの中のビリーは相変わらず、サイモンについて話しません。ゴードンは妻に電話をし、泣きながら「許してくれ」と訴えています。実はこの仕事が決まった日、妻が倒した鍋の熱湯がゴードンの脚にかかり、カッとなって殴ってしまったのです。それ以来家には帰れず、モーテルで寝泊まりしているというゴードン。その夜、車内で火傷の痛さに呻いている彼に、謎の声が「ゴードン、誰だかわかるか?」と呼びかけます。木曜日。地下におりたジェフは驚きます。ハンクが背を向けて立っているのです。呼びかけても動かず、手から流血しています。その話を聞いたフィル達は、半信半疑で地下へ行きますが誰もいません。突然、誰かの走る音が上階から聞こえます。4人は、フィルとジェフ、ゴードンとマイクに分かれて足音を追いかけます。途中、マイクは我慢できずに資料室へ入り、再びテープを聞き始めます。ところが発動機が停止し、建物内の照明が消えます。地下を歩いていたジェフは暗闇に驚いて走り出し、イラついたマイクは発動機を動かしに外へ出ます。誰もいない部屋で再びテープが回り始め、ついにサイモンが喋り出します。
セッション9の結末
それは、ゴードンが聞いたのと同じ声でした。サイモンは、自分がメアリーに両親を殺せと言ったと語ります。その頃ゴードンは、あの車椅子がある部屋へと導かれていました。壁一面、なぜか自分と妻子が微笑んでいる写真が貼られています。そこにフィルが現れ、2人は睨みあいます。発動機のスイッチを入れ、再び資料室に戻ろうとしたマイクの背後に何者かが近づきます。さらに、暗闇から逃げ出してきたジェフは、目の前から来た何者かに襲われます。そして金曜日。車の中で茫然としていたゴードンに「戻るんだ」と声がします。「見つけたぞ。責めを負うべき人間を」。ゴードンは建物内に入ります。そこには、アイスピックで目を突かれて半死のハンクが横たわっていました。突然、フィルが現れ「こいつが邪魔だったんだ」と明るく言います。ゴードンは愕然としますが、次の瞬間、フィルは消えています。そこにいたのは、ハンクの代わりにやって来たクレイグでした。「誰と喋ってるんだ?」と不思議がるクレイグの目に、ゴードンがアイスピックを突き立てます。クレイグは息絶えました。たった1人になったゴードン。我に返って辺りを見渡すと、そこにはハンクとクレイグだけでなく、フィル、マイク、ジェフの3人も血まみれで亡くなっています。彼の脳裏に、この数日間の記憶が蘇ります。全ては自分がしたことでした。始まりは妻と娘。下見をしたあの日、鍋の湯で火傷を負ったゴードンは、妻を殴り殺し、さらにエマまで手にかけていたのです。全て思い出し、壁に貼られた家族写真の前で、もういない妻に向かって泣きながら電話をするゴードン。「独りで寂しい、許してくれ」。ひっそりとした院内、セッション9のテープが回り続けています。「君はどこにいるんだ」と問いかける医者に、サイモンの声が答えます。「弱い心や傷ついた心、そこに潜んでいるのさ」。
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