シッコの紹介:2007年アメリカ映画。医療保険未加入者が約5,000万人を超えるアメリカ。アポなし取材など独自の手法で知られるマイケル・ムーア監督が、他国の医療制度と比較しながらアメリカの医療制度の闇を炙り出していくドキュメンタリーです。
監督:マイケル・ムーア 出演者:マイケル・ムーアほか
映画「シッコ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シッコ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「シッコ」解説
この解説記事には映画「シッコ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シッコのネタバレあらすじ:起
“オバマケア”導入以前の2007年当時のアメリカ合衆国では、多くの国で施行されている国民の誰もが加入できる健康保険制度が整備されておらず、人々は民間の医療保険会社に加入するのが一般的となっています。高額な保険料や持病の問題などにより、保険未加入者は全米で約5,000万人にも及び、未加入者は怪我や病気をしても高額な医療費を支払えず、泣く泣く治療を断念する人々が後を絶ちません。マイケル・ムーア監督は、事故で2本の指を切断しながらも1本しか治療できなかった人や、妻の腰痛の治療薬を買うために老骨に鞭打って働く老労働者などを取材して回りました。
シッコのネタバレあらすじ:承
映画は更に、保険に加入しても保険会社は何かしら難癖をつけて保険金を支払わないケースが続発していることも取り上げます。手術費用が下りずにガン治療を受けられず死んでいく患者、保険会社の系列病院に行くよう命じられ、最寄りの病院にも行けずに死んでいく人、事前許可のない救急車には保険が適用されないなどの事例が紹介されました。保険会社は契約者の個人情報を徹底的に洗いざらいし、些細なミスを見つけては契約を破棄したり保険金を支払わなかったりしているのです。また、医師も保険会社とつるんで利益優先に走り、政治家も保険会社と癒着して国民皆保険制度の導入を拒み続けていました。
シッコのネタバレあらすじ:転
ムーア監督は、アメリカと世界各国の医療制度の違いを指摘していきます。イギリス、カナダ、フランス、キューバなどは医療費が無料であり、イギリスでは全ての国民が収入や年齢に関わらず無料の医療が受けられ、保険も原則審査不要で、薬も種類問わず安価で提供されているのです。フランスの医療制度は世界第1位といわれており、24時間無料の往診システムが用意されているほか、労働条件も他国にくらべて優遇されていました。一方のアメリカでは、こういった医療の無料制度などは社会主義的だといわれて批判にさらされてきましたが、ムーア監督はアメリカでは警察や消防、公立学校の授業料などは無料なのに、なぜ医療だけ無料にできないのか、他国にできることがなぜアメリカではできないのか疑問を投げかけます。
シッコの結末
ムーア監督は、2001年の同時多発テロの際に救命作業に携わり、その影響で健康を害したが救命隊員たちをキューバに連れて行くことにしました。キューバの南に位置するグアンタナモ海軍米基地ではアメリカで唯一の無償治療が受けられ、そこに収監されているアルカイダのテロリストたちはその恩恵に授かっているのです。ムーア監督は「9.11の英雄にも容疑者たちと同じ治療を受けさせてくれ」と基地に向かって叫ぶも何の反応はなく、続いてムーア監督は救命隊員をキューバの病院へ連れて行き、無償の治療を受けさせました。ムーア監督は取材を振り返り、利益最優先の保険会社が全てを牛耳るアメリカの医療システムへの疑問、そして我々一般市民は発想を考え直して“私”ではなく“私たち”を大切にすることから始めてみよう。決して権力者の思う壺になってはならないと締めくくります。
社会医療制度がないアメリカの現実といった感じ。日本に生まれてよかったと思うと同時に手厚い福利厚生制度のある国に移住したくなる。病院に行く交通費も国が補償してくれるとかどんだけっすかって話ですよね。アメリカの社会医療制度問題ってERなどの医療ドラマ見るとわかりやすいですよね。無料診療所が必要な所とか特に。最後の隣国のキューバに渡って薬を処方されたり診療受けたりするところで薬の価格が余りにも違いすぎて、監督と一緒に来た一般の人がちょっと可哀そうでした。