スリング・ブレイドの紹介:1996年アメリカ映画。母と愛人を殺害した過去を持つ知的障害者の中年男性カール。数十年ぶりに退院を許されたカールは貧しい少年フランクやその母リンダと出会い心の交流を重ねていきますが、リンダの恋人ドイルの暴力に怯える二人を目の当たりにしているうちに、彼の心にある思いが芽生えていきます。ビリー・ボブ・ソーントンが主演・監督・脚本を務めた心揺さぶる感動の人間ドラマです。第69回のアカデミー脚色賞に輝きました。
監督:ビリー・ボブ・ソーントン 出演者:ビリー・ボブ・ソーントン(カール)、ロバート・デュヴァル(カールの父)、ドワイト・ヨーカム(ドイル)、J・T・ウォルシュ(チャールズ)、ジョン・リッター(ヴォーン)、ルーカス・ブラック(フランク)、ナタリー・キャナディ(リンダ)、ジェームズ・ハンプトン(ウールリッジ)、ほか
映画「スリング・ブレイド」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スリング・ブレイド」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
スリング・ブレイドの予告編 動画
映画「スリング・ブレイド」解説
この解説記事には映画「スリング・ブレイド」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スリング・ブレイドのネタバレあらすじ:起
新聞部に所属する女子大生が取材のためとある精神病院を訪ねてきます。インタビューの対象となるのは少年期に殺人を犯し、数十年もの間病院で生活している知的障害者のカールです。院長はカールの写真を撮らないこと、質問を浴びせないことを条件に彼を女子大生に対面させます。カールは誰に促されることもなく自分の生い立ちや犯した殺人について淡々と語り始めます。製材所に勤める貧しき両親のもとで育ったカールは、障害のため家に入れることが許されず、離れの小屋で一人寝起きするという劣悪な環境で育ちました。孤独なカールの唯一の楽しみは夕食を届けにきてくれる母と過ごすつかの間の時間だけ。ある日カールがいつものように母を待っていると、家のほうから母のうめき声が聞こえてくることに気づきます。母を心配し、家のポーチまで駆けつけたカールが目にしたのは母と製材所の社長の息子ジェシーの不倫現場でした。激昂したカールは咄嗟に草を苅るナイフ、スリング・ブレイドをジェシーの頭に降り下ろし殺害、カールをなじる母をも殺害してしまったのでした。責任能力なしと見なされたカールは事件以後数十年間を精神病院の中で過ごしてきましたが、長年に及んだ治療も終わり、いよいよ退院する日が近づいていました。女子大生は院長に禁じられていたにもかかわらず、カールにまた誰かを殺すと思うかと質問してしまいます。カールは戸惑うことなく他に誰も殺したいと思う者はいないと答えるのでした。
スリング・ブレイドのネタバレあらすじ:承
退院したカールは数冊の書物だけを手に生まれ故郷の町へと戻ってきます。行く当てもなく、コインランドリーの前で座っていると、沢山の洗濯物を抱えた少年フランクと遭遇します。フランクは父を早くに亡くし、母と二人暮らしをしている孤独な少年です。カールは洗濯物を運ぶのを手伝ってあげることにし、二人はフランクの家へと向かいます。カールが自分の犯した罪について告白すると、フランクは彼をじっと見て、殺人者には見えないと返し、全く恐がる様子も見せません。フランクはカールの落ち着いた物腰を気に入り、すっかり打ち解けた二人はは今度一緒に遊ぶ約束をします。誰一人として頼れる人がいないカールは寂しさからつい病院に舞い戻ってしまいますが、彼を心配した院長が修理工の仕事を紹介してくれます。カールは町の修理店に住み込みで働き始め、初めての給料を貰うとフランクの家まで遊びに行きます。フランクはカールを連れて母の勤めるスーパーを訪ね、母リンダとスーパーの店長ヴォーンにカールを紹介しますが、彼が数十年もの間精神病院に入院していたと知って二人は戸惑いを見せます。フランクはカールの人柄の良さをリンダに語って聞かせ、ガレージで寝泊まりさせてあげて欲しいと熱心に頼みこみます。普段から息子に寂しい思いをさせていることを引け目に感じてきたリンダはカールの同居を許可します。リンダの親友であるヴォーンもカールが決してリンダ親子に危害を加えるような男ではないことを理解していきます。こうしてカールはフランクと暮らせることになりましたが、家にはリンダの恋人で粗暴な男ドイルが頻繁に出入りしていました。
スリング・ブレイドのネタバレあらすじ:転
ドイルは障害のあるカールや同性愛者であるヴォーンを馬鹿にし、気に入らないことがあるとリンダやフランクにも暴力を振るう冷酷非道な男です。ドイルを心から嫌悪するフランクはカールの前で彼への不満をぶちまけますが、カールは子供が汚い言葉を使ってはいけないとフランクをたしなめます。ある夜ドイルはバンド仲間を集めてポーチで派手な演奏をして騒いだ挙句、泥酔してリンダに手を上げ、家の中で暴れまわります。耐えかねたリンダはドイルに家を出ていくように宣言、カールやヴォーンも応戦し、ドイルは家を追い出されました。翌日カールはリンダとフランク、ヴォーンとその恋人、そしてリンダの同僚の女性らと楽しいディナーを過ごしました。翌日カールは仕事を終えて帰ってきたフランクを川に誘います。フランクは夢中になっているフットボールについて熱く語り、今度一緒にプレイしようと誘います。一緒に遊べる兄弟はいなかったのかと尋ねられたカールは生後間もなく死んでしまった弟がいたことを明かします。苦しい生活を送る両親は未熟児で生まれてきた弟を育てる気がなく、カールは弟を捨ててくるよう父に命令されます。カールは小さく息をしている弟を捨てることなどできなかったものの、一人ではどうすることもできず、思案の末靴箱に入れて裏庭に埋めたのでした。カールとフランクが戻ってくると、家にはリンダとともにドイルが待っていました。ドイルはリンダの許しを請い、家族になるため一緒に暮らしたいと言い出します。カールは事件以来音信不通となっていた父に会いに実家を訪ねます。カールは病院で字をおぼえたことや聖書を読んだことを父に話しますが、認知症気味の父は息子などいないと言い張り、カールを拒絶します。カールは怒りと悲しみに震えながら弟の命を摘み取った父の行いを責めます。
スリング・ブレイドの結末
日曜日カールはフランクやリンダ達に見守られながら洗礼を受けます。三人が家に帰ってくるとドイルはリンダが外出した隙を見計らって、フランクに反抗的な態度は許さないと忠告し、カールには今すぐ家を出て行けと言い放ちます。納得できず家を飛び出したフランクにカールはガレージを出ていくことを告げます。カールは大切にしてきた本をすべてフランクに譲り、例え遠く離れていても二人の友情は変わらないとフランクを抱きしめます。カールが渡した本の中にはフランクの幸せを願うメッセージが挟まれていました。そしてカールは家に戻ってきたリンダにこれまで世話になったお礼を言い、今晩はフランクを連れヴォーンのところに泊まるよう約束させます。さらにヴォーンの家を訪ねたカールはドイルが荒れているからリンダ達を今晩匿ってあげてほしいと告げ、修理屋で得た給与のすべてをリンダに渡してほしいと頼みます。夜、カールは芝刈り機の刃を手にドイルのいる部屋にやってきます。カールが警察はどうやって呼んだらいいかと尋ねると、酩酊状態のドイルは苛立ちながらも警察の電話番号を教えます。何をしにきたと尋ねるドイルにカールは殺しに来たことを明かし、ドイルの頭に刃を振り下ろすのでした。カールは自分で警察に電話を掛け、ドイルを殺害したことを告げます。病棟の仲間が再び病院に戻ってきたカールに外の空気はどうだったか尋ねます。カールはある少年と仲良くなったことを淡々と話しますが、誰を殺したのかと尋ねられると、その話はしたくないのだと拒絶します。カールは穏やかな表情で窓の外を見つめ続けるのでした。
以上、映画「スリング・ブレイド」のあらすじと結末でした。
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