ソフィーの選択の紹介:1982年アメリカ映画。ホロコーストを生き延びたソフィーが、収容所での悲しい選択の罪の意識にさいなまれながら、ニューヨークで順調とは言えない生活をしています。そして、また愛の選択を迫られます。
監督:アラン・J・パクラ 出演:メリル・ストリープ(ソフィー) 、ケヴィン・クライン(ネイサン) 、ピーター・マクニコル(スティンゴ) 、リタ・カリン(エッタ) 、スティーヴン・D・ニューマン(ラリー)ほか
映画「ソフィーの選択」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ソフィーの選択」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ソフィーの選択」解説
この解説記事には映画「ソフィーの選択」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ソフィーの選択のネタバレあらすじ:起
南部の青年スティンゴは、作家を夢見てニューヨークへとやってきます。ブルックリンでピンク・パレスという安アパートを見つけ、そこに住むことになります。隣室からネイサンの怒鳴り声と、ソフィーの泣き声が聞こえ、スティンゴはようすを見に行き、2人と出会います。翌朝ネイサンはスティンゴに昨夜のことを謝り、朝食に誘います。スティンゴは彼らの部屋で2人の話しを聞きます。ソフィーはアウシュビッツ強制収容所から解放された後、アメリカで暮らしていたがまだ衰弱している状態だったため、ブルックリン大学の図書館で貧血で倒れ、その場にいたネイサンに助けられ、その後一緒に住むようになったというのです。
ソフィーの選択のネタバレあらすじ:承
ネイサンはハーバード大学修士号を持つ生物学者で製薬会社の研究所勤務ということでした。
ソフィーはまだ英語が不得手で、たどたどしく、英単語も時々間違えます。スティンゴはソフィーに恋愛感情を持つようになる一方、自由闊達なネイサンにも惹かれます。3人は仲良く付き合いますが、時にネイサンが逆上することもありました。ある日、ソフィーとスティンゴは、ノーベル賞クラスの研究が成功したというネイサンを祝おうとしますが、またネイサンが逆上し、罵り出します。
ソフィーの選択のネタバレあらすじ:転
翌日ネイサンとソフィーは別々に出て行きました。ソフィーを探す中で、スティンゴは偶然、ソフィーの父は反ナチではなく、ナチの崇拝者だったことを知ります。その夜、荷物を取りに帰ったソフィーにスティンゴは詰め寄り真実を知ります。父もソフィーの夫も反ユダヤでしたが、ナチに捕らわれ抹殺され、ソフィーは子供2人と一緒にアウシュビッツに送られたのでした。ある日ネイサンの兄がスティンゴを訪問します。そしてネイサンは妄想性分裂症でハーバード大学卒業も生物学者であるというのも、妄想でしかなく、しかもコカインや麻薬を常用していると告げます。スティンゴはネイサンの兄に、時々電話で様子を知らせると約束します。
ソフィーの選択の結末
その夜ネイサンはスティンゴの前でソフィーにプロポーズします。ネイサンもソフィーも幸せそうでした。ところが、数日後ネイサンから「お前らを殺す」と電話があり、ソフィーとスティンゴは身を守るため列車でワシントンへ行きます。そこでスティンゴはソフィーに愛を打ち明け、求婚しますが、ソフィーは一緒に暮らしてもいいが結婚はしないと告げます。そして、収容所での出来事を話します。ドイツ兵に子供をどちらか1人だけ選べ、選べないなら2人とも殺すと言われ、ソフィーが咄嗟に息子を選んだため、娘は殺されたのでした。ソフィーとスティンゴは一夜をともにしますが、翌朝ソフィーの姿はありません。スティンゴがブルックリンのアパートに戻るとソフィーとネイサンは青酸カリで自殺していました。スティングはブルックリン橋を渡り、ブルックリンを去ります。
「ソフィーの選択」感想・レビュー
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このアラン・J・パクラ監督の「ソフィーの選択」の男女の主人公たちは、若き日に大きな心の傷を受けて、生涯その痛みに耐えて生き抜いた人たちだ。
ポーランド女性のメリル・ストリープが演じるソフィーは、ナチスの脅威を説いていた、大学教授の父親とその弟子の夫とを、ドイツ軍に連れ去られて、殺された過去を持つ女性だ。
彼女自身も、闇のハムを買った為に逮捕され、ユダヤ人でもないのに、難民収容所行きとなった。
その時、腕に刻みこまれた囚人ナンバーと、愛する者を奪っていった、キリストへの抗議から、自ら手首を切った傷あとは、彼女の身体から永久に消える事がなかった。
底知れぬ痛みに耐えて、戦後を生きるソフィーには、救いのない結末が待っている。
十字架を背負った女性の悲劇を描いて、アラン・J・パクラ監督は、観る者を深い思いにふけらせる。
ソフィーは子供を選んだ時点で死んでた、が、自分から「死」に立ち止まることが出来なかった。だから、「死」(ネイサン)がやさしく彼女ののために止まってくれた。
わたしは「死」のために止まれなかったのでーーー
「死」がやさしくわたしのために止まってくれたーーー
馬車に乗っているのはただわたしたちーーー
それと「不滅の生」だけだった。
わたしたちはゆっくり進んだーーー彼は急ぐことを知らないし
わたしはもう放棄していた
この世の仕事も余暇もまた、
彼の親切に答えるためにーーー
エミリ・ディキンソンの詩集を探してる時にソフィーはネイサンに出会い、また二人が死んでいるところで、スティンゴがディキンソンの詩を読み上げる。
最近、この映画に名前が出てた詩人と思って、観た映画 「静かなる情熱 エミリ・デキンソン」
https://youtu.be/H_0anOdq8Jg
生前10篇たらずしか世に出ておらず、全くの無名の人が死後、1800編あまりの詩が見つかり、それが大きな影響をあたえてるアメリカを代表する詩人のひとりであることを知りました。実際、この「ソフィーの選択」も彼女の詩から着想をウィリアム・スタイロンは得て、それがピューリッツァー賞を受賞する作品になるとは。もともと大好きな映画で、メリルの演技も素晴らしい。それと同時にディキンソンという天才詩人の偉大さに感服するばかりです。ホロコーストや戦争の悲惨さなど、いろいろ考えさせられる映画ですが、ディキンソンの詩を考えると更に別の見方もできるのかもしれません。