地球に優しくする方法の紹介:2016年アメリカ映画。イリノイ州で有機農法を手掛けるマーティー・トラヴィスの農場の1年が映画全体のベースとなっており、冬春夏秋に分けて紹介していく。その傍らで、米国の食のシステムの様々な問題点にもスポットライトを当てつつ、私たちがどのような食べ方をするのが地球を持続可能(原題は持続可能を意味する「SUSTAINABLE」)にするのかを、複数の専門家たちの意見を交えながら、視聴者に訴えていく。
監督:マット・ウェクスラー 出演:マーティ・トラヴィス、ウィル・トラヴィス、リック・ベイレス、ほか
映画「地球に優しくする方法」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「地球に優しくする方法」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「地球に優しくする方法」解説
この解説記事には映画「地球に優しくする方法」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
地球に優しくする方法のネタバレあらすじ:起
手前に広大な農地と、奥にはなだらかな山々。牧歌的な風景と希望を与えてくれるような穏やかだが明るい音楽とともに始まる。まずシェフのリック・ベイレスがインタビュアー(カメラ)に向かい、「私たちは食料を買うときに、どこの誰が作ったものかをもはや知らずに買い物をしている。食料は商品と化してしまったが、本来は私たちの命を養う糧であり、生産者とのギブアンドテイクの関係が互いを元気づけるものだ」と問題提起する。
そしてメインの出演者である農家のマーティー・トラヴィスに焦点が移される。マーティーはイリノイ州で有機農業を営み、周辺の約200件のレストランに毎週メールを送り、自分たちで注文の品を届けている。マーティーが経営する「スペンス農場」の「冬」の風景が映される。息子のウィルの提案でネイティブインディアンから4代前の曾祖父が教えてもらったメープルシロップ事業を再開。カエデの木の幹に金具を打ち込み、樹液を集めていく。マーティーはウィルを尊敬している、と語る。
4代前の曾祖父が始めたこの農場は、151年目の1981年、マーティーの祖母により別の農家に売却された。その後18年間、この農場では遺伝子組み換えで除草剤耐性のある大豆やトウモロコシが作られた。祖母は農場を買い戻し、マーティーが1999年からここで農業を始めた。土の改良から始めなければならなかった。
地球に優しくする方法のネタバレあらすじ:承
「春」のスペンス農場。蒔いた種が目を出し、木々も芽吹き、人々も明るい気持ちになる。ジャガイモを植えるトラヴィス親子は、食料体制に変化をもたらすことを願っている、と語る。春になると中西部の森に生える野生のネギを収穫し、ミシガンの販売業者に売っていたが、彼は仲介業者に過ぎないことに気づく。
その頃、友人がシカゴのシェフたちとの会合に招待してくれて、そこで著名なシェフたちがほかに何があるかと訊いてきたので、「あなたたちの欲しいものを育てますよ」と答えた、と言う。それがレストランと取引するきっかけとなり、シェフたちから送られてくる希望の作物リストに従って、世界中の様々な種類の野菜を作るようになった。
そのシェフの一人が冒頭のリック・ベイリスで、彼は農業全体に対して大きな支えとなっているという。スペンス農場は160エーカーで、周囲の一般的な農場は3000エーカーを有するが、おそらく彼らは160エーカーでは生計を立てられないだろう、とウィルは言う。高収穫を求める彼らは1エーカー400ドルほどの売上だが、品質にこだわるスペンス農場は1エーカー2200ドルだ。また、マーティーたちは有機農家25件と共同経営組織を設立した。
地球に優しくする方法のネタバレあらすじ:転
「夏」のスペンス農場。マーティーは、夏は進むのが早いと言う。マーティーの妻がインゲンを収穫している。マーティーは、自分たちだけのための農業ではない、人々が食料の出所に皆関心を持つようになる必要があると語る。以前に地元の販売店に作物を卸したとき、客の一人に「あなたのやっていることを続けて。私はガンになったの。無農薬で体にいいものを食べているの。おかげで生き続けられる」と言われたという。地元の小麦を使ってパンを焼くベーカリーのグレッグがスペンス農場を手伝いに来ることがある。今年は古代のヒトツブコムギを育てているという。
このコムギはグルテンアレルギーの人でも食べられるのだという。グレッグはスーパーに売られているパンの原材料は50種類ほどが使われていて、その大半は発音も難しいような有害なものだが、グレッグのベーカリーのパンは5種類の材料でできている。市販のパンは粉から塊になるまで4時間でできあがるが、グレッグのパンは60時間を要する。マーティーは、グレッグは今まであった中で最も素晴らしく、情熱的なパン屋だ、と語る。
スペンス農場では子牛や子豚が生まれている。家畜の糞は畑の良い肥やしとなる。2匹ずつ囲いに入れて、少しずつ囲いを移動させることで、農場全体を肥沃にする。豚に穀物ではなく藁を食べさせることで、性格も穏やかになるのだと言う。
地球に優しくする方法の結末
「秋」のスペンス農場。終わりが近いから早く仕事を終わらせなければいけない時期だという。気候も変わりやすいので、急いで収穫を行う。すべてが良い経験となる、とマーティーは語る。マーティーは息子のウィルを誇りに思うという。何よりも一緒に作業できることが嬉しいと。ウィルは子どもの頃は当時父親がしていた大工の仕事に着こうと思っていた。父親がやることは何でもやりたかった、と言う。父のように好きなことを仕事にするのが人生の過ごし方として素晴らしいと。
アドバンシング・エコという企業から専門家を招いて、土の状態を向上させ持続可能な農場にするためのアドバイスを受ける。会合にてシェフのベイリスが、スペンス農場のような農家の重要性を訴える。彼らはただの農家ではなくビジョンを持った人たちだ、と。持続可能であることは自分やその子供、孫のためだけではなく、7世代だけではなく70世代にも及ぶような持続可能性でなければならない。生活の質は農家にかかっている、とベイリスが締め括る。
以上、映画「地球に優しくする方法」のあらすじと結末でした。
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