親切なクムジャさんの紹介:2005年韓国映画。「宮廷料理人チャングムの誓い」でお馴染みの、イ・ヨンエが哀しく美しく復讐に燃える服役囚のシングルマザーを園演じた。彼女の美しさと我が子の人生をつぶさない為、暴走する母の切ない選択肢とは・・・?!
監督:パク・チャヌク 出演者:イ・ヨンエ(イ・クムジャ)、チェ・ミンシク(ぺク・ハンサン先生)クォン・イェヨン(ジェニー)クンシク(キム・シフ)オ・ダルス(チャン氏)、キム・ビョンオク(伝道師)ナム・イル(チェ刑事)、ほか
映画「親切なクムジャさん」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「親切なクムジャさん」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
親切なクムジャさんの予告編 動画
映画「親切なクムジャさん」解説
この解説記事には映画「親切なクムジャさん」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
親切なクムジャさんのネタバレあらすじ:起
イ・クムジャは当時二十歳で6歳だったお少年、ウォンジュを誘拐し、殺害した罪を真犯人に被せられ、13年間も服役していました。清純潔白さを漂わせるオーラと並外れた美貌を持った彼女が6歳の少年を手にかけたニュースは当時とても話題となり、メディアの恰好のターゲットとしてクムジャは有名な容疑者だったのです。クムジャは服役中も苛められている受刑者仲間を助ける為に彼女を苛めていた先輩受刑者を親切に看病するふりをして毒殺したりと「模範囚」を装った天使のような悪魔の人でした。それでも周囲の受刑者仲間達からは「親切なクムジャさん」と慕われ、一目を置かれる存在でありました。クムジャの出所日、韓国の風習で豆腐を食べて身も心も綺麗になる儀式の際、伝道師が差し出した豆腐をクムジャは「余計なお世話だ」とあしらい、刑務所を後にします。クムジャはウォンジュの両親の元へ謝罪に行き、御詫びとケジメをつけるために自分の指を自ら切断して許しを請います。その後、指に包帯を常時しながら刑務所にいた際に自分にケーキ作りを教えてくれたチャン氏の紹介で彼が店長をしているパン屋に就職します。刑務所にいた頃、あり合わせ材料で作ったケーキはチャン氏を驚愕させるほどの絶品でした。受刑者仲間だったヤンヒには部屋を借り、ソヨン夫妻には元スパイだった受刑者の中で年長の女に貰った改造銃の設計図を基に銃を作らせます。彫アーティストに転身したスヒには銃の飾りを頼みます。「すべてを美しく終わらせるために」。彼女は「ある人物」への復讐への準備をしていたのです。パン屋にて、年下のスタッフ、クンシクはクムジャに一目惚れします。淡々と無感情に自分の犯罪歴を騙るクムジャに驚愕しながらも胸の内に淡い好意を抱きます。その後、クンシクを誘惑して関係をもってしまったクムジャ。
親切なクムジャさんのネタバレあらすじ:承
数日後に、当時クムジャの事件を担当していたチェ刑事がクムジャの勤務先のパン屋を妻と共に訪れます。
彼は最後まで見つからないウォン少年が大切にしていたビー玉の玩具について何も知らないクムジャに違和感を感じていたのです。チェ刑事の妻は「人殺しの作ったケーキなんて!」とクムジャの美貌に対する嫉妬心からケーキを地面に叩きつけます。クムジャはクンシクに「あなたが6歳の頃は二十歳だった私は6歳の子供を殺したわ。刑務所にいたときも人を殺した」と平然と言い放ち、クンシクは戸惑いを隠せずに泣き出してしまいました。回想シーンの現場検証日にて、クムジャはマスコミやウォンモの両親、刑事達に囲まれてウォンモを殺害した時の状況を人形を使って再現するように強要されます。そして、大勢の人達が見守る中、残酷にも人形を痛めつけて殺害した状況を再現していると、人だかりの中に赤ちゃんだった実の娘、ジェニーを抱いたぺク先生を見つけます。実はクムジャは18歳の時に教育実習でやってきたぺク先生との間に娘、ジェニーを身籠っていたのです。クムジャに誘拐犯の罪を被せたぺクは、自分の誘拐事件の共犯をすることをクムジャに強要させ、「娘の命が惜しければお前が俺の身代わりに刑務所へ行け」と命じられていました。そして、娘のジェニーはクムジャが収監中にぺクによって里子に出されていたのでした。クムジャは養子縁組の事務所にジェニーの居所を教えてくれるよう頼みますが、事務所の職員は明かすことを拒みました。そこでクムジャは深夜に事務所に侵入して娘のファイルを盗むことに成功。チャン氏に給料を前借して我が子、ジェニーに会いに行きます。ジェニーは温かな愛情を持つオーストラリアに住む里親の元で元気に暮らしていて、13歳になっていました。娘には一目会って帰る予定でしたが、ジェニーはクムジャに自分も一緒にソウルへ連れて行ってほしいと駄々をこねて叫びます。英語しか知らない娘はクムジャに「お母さんは韓国語でなんていうの?」と尋ねられ。「クムジャさん」と答えます。その後、自分を捨てた理由を娘に問われ、わざと寝ぼけたふりをして敢えてはぐらかし、「明日はピクニックへ行こうね」と娘に言って眠ります。ジェニーはその夜、亡くなったウォンジュの亡霊を見ました。ジェニークンシクと共に「ピクニック」と称して雪山へやってきたクムジャは途中の露店で買った犬を犯人射殺の練習に利用します。黒幕のぺクは子ども英語の先生をしながら妻と暮らしていました。出所していたクムジャの仲間の元受刑者達が彼が努める英会話教室にスタッフとして侵入し、パク・イジョンが詐欺師として彼を欺いて結婚しました。クムジャのかつての受刑者仲間で服役中いじめを受けていたところ、クムジャに助けられたイジョン。ぺクは彼女に執着する伝道師を利用して寄付金で尾行を頼み、出所後のクムジャの私生活を把握すると、手下の男を2人雇って、雪道を微笑ましく歩くクムジャとジェニーの拉致を試みます。クムジャは必死に抵抗して2人の男を射殺し、娘を守り抜いてぺクの家に向かいます。イジョンは夫の食事に睡眠薬を盛ってぺクは気絶していました。クムジャはイジョンと協力してぺクを縛り上げている時、ジェニーが自分に当てた手紙を読みます。「私をどうして捨てたのか教えてほしいし3回以上の謝罪を求めている」とその手紙に書いてあり、クムジャは胸を詰まらせます。拉致寸前の際に睡眠薬で眠らされたジェニーを連れてイジョンの運転で廃校となった小学校へ向かいます。
親切なクムジャさんのネタバレあらすじ:転
ぺクは椅子に縛り付けられ、猿轡を噛まされてクムジャから暴行を受け、銃を突き付けられます。そして、英語教師をしている彼に自分が娘を手放さなければならなかった理由と娘が発した言葉を彼に通訳させます。「妊娠は嬉しかったがあなたが1歳になる前に私は収監された。あなたはよく笑う可愛い子だったからどこに行っても愛されると思った。ペクとの用事が済んだらあなたをオーストラリアへ帰す。罪を背負った自分には可愛い娘を持つ資格はない」と。「この人を殺すの?なぜ」と娘ジェニーはあどけない表情でクムジャに問います。「ママを罪人にしたのよ、この人が幼い子を殺す時にママは手伝ったの」「私がその子のママに謝ろうか?」我が子の純粋すぎる自分を想う気持ちにクムジャは泣き崩れ、ジェニーを抱き締め、「ごめんね」と四回英語で謝りました。そして、娘とイジョンを帰し、廃校でペクと2人きりになったクムジャの彼への拷問は続きます。ふと、ぺクの携帯電話が鳴り、そのストラップには子どものものと思われるアクセサリーと一緒にウォンモのビー玉があったのです。クムジャはウォンモの他に被害に遭っていた子どもがいる事を悟り、怒りをぶちまけて暴行を続けます。クムジャはチェ刑事に会い、あの時、ぺクを捕まえていなければこんなにも犠牲者は出なかったとぺクの携帯電話を見せつけます。そして、ぺクの自宅をイジョンと探して被害者の子ども達が命を奪われる瞬間を残したビデオを発見。子ども達の遺族を廃校に呼び出してそのビデオテープを流します。目を覆いたくなる光景と泣き叫ぶ我が子の声を聞いた親達は取り乱して泣き叫びます。そんな彼らにクムジャは言いました。「ぺクは英語塾の教師で犯行を犯す度に別の英語教室へ転職。自分の教え子以外の子供を狙い、彼が当時脅迫の為に貴方達に電話をかけていた頃、子どもは殺されていた」と冷淡に話し伝えるのでした。また、「選択肢は2つ。法的な処罰を望むならチェ刑事に彼の身柄を引き渡す。でも、個人的に罰したいのなら今すぐここで彼を成敗できる」「ぺクには子どもがいるのか?」と遺族の一人に問われたクムジャは「彼は子どもが作れない体だから身代金はヨットを買う為に貯金していた。皆さんに返してくれるそうよ」と答えました。遺族達は口論を繰り返しながら「クムジャさんに任せる。やりたい奴がやればいい。もし手を下さなかった奴が密告したら」と揉めている時。「私は刑務所でも人を殺しました。これ以上は言いません」と、密告した裏切り者は殺すことを遺族達に悟らせます。殺人では素人の彼らにチェ刑事が怪我をしない刺し方を伝授します。遺族達はありとあらゆる手段でぺクを刺し、バケツに流れ出たぺクの大量の血を片付け、証拠の集合写真を撮ります。ぺクの遺体を遺族と共に裏山に埋め、クムジャの勤め先のケーキ屋に一行は向かい、クムジャが作ったチョコケーキを食べます。遺族達は身代金の返還の為、自身の銀行口座をクムジャに教えます。途中で黙り込む一同に一人が「黙り込むと天使が通り過ぎているそうだ」と言い、ぺクの携帯につけられていたそれぞれの子ども達の形見を握りしめ、遺族達は子ども達への思いをはせるのでした。やがて、クンシクが現れて、一行は解散。
親切なクムジャさんの結末
クムジャが洗面所で顔を洗っていると6歳のままのウォンモの亡霊が彼女の前に現れます。思わず跪いて声を掛けようとしたクムジャですが、急に大人の姿になったウォンモは彼女に猿轡を噛ませて切ない笑みを浮かべて消えていきます。その頃、ジェニーはオーストラリアから迎えに来てくれた養父母と共にクムジャのベッドで寝ていましたが、異様な気配を感じて咳込んで目を覚まします。降りしきる雪の中をケーキの箱を持って歩くクムジャを追いかけるクンシク。クムジャは無視して歩き続けます。クムジャはパジャマ姿の娘を発見し、駆け寄って抱き締めると、我が子に真っ白なケーキを差し出します。「白い心で白く生きて。」母が娘に伝えたメッセージでした。娘は無邪気にケーキを指ですくって舐め、「あなたも」と言いますが、クムジャはクリームを舐めません。クムジャは泣きながらケーキに顔を埋め、貪りながら動きを静止します。そんな母に背後から手を回して抱きついたジェニーは言います「さようなら、クムジャさん・・・」
以上、映画「親切なクムジャさん」のあらすじと結末でした。
「親切なクムジャさん」感想・レビュー
-
目には目を歯には歯を分かりやすい 最期にお父さんがお母さんだけに制裁を加えさせたところもいい 一人だけ復讐を実行させなかった演出
ポスターが綺麗だっただけに鑑賞後の何とも言えない気分。テンポよくストーリーは展開していってとても見やすかったけどまた見たいとは思わない。孫の形見の工作用の切れ味の鈍い先が丸いハサミを犯人に突き刺したのは衝撃でした。実際、我が子が同じような目に遭って犯人を殺せるチャンスがあるならみんな同じことをするんじゃないのかな