ウィンター・ウォー/厳寒の攻防戦の紹介:1990年フィンランド映画。日本では彩プロ30周年記念特集上映において公開された戦争映画。第二次世界大戦中、極寒のフィンランド・ソビエト連邦国境間で繰り広げられた領土拡大戦争『冬戦争』がモチーフとなっている。国境間に送り込まれたのはほとんどが戦争未経験の民間人で、フィンランド軍の兵力は圧倒的に不利であった。そんな中戦い抜いた男たちの数か月間が描かれる。監督は、冬戦争勃発時に生誕したフィンランド人監督:ペッカ・パリッカが務めた。当時の兵士の服装や装備、爆破にこだわり、リアリティを追求している。
監督:ペッカ・パリッカ 出演:タネリ・マケラ(マルティ)、ヴェサ・ヴィエリッコ(カントラ)、ティモ・トリッカ、ヘイキ・パーヴィライネン、アンティ・ライヴィオ、マルティ・スオサロ、マルク・フフタモ、ほか
映画「ウィンター・ウォー 厳寒の攻防戦」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ウィンター・ウォー 厳寒の攻防戦」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ウィンター・ウォー/厳寒の攻防戦の予告編 動画
映画「ウィンター・ウォー 厳寒の攻防戦」解説
この解説記事には映画「ウィンター・ウォー 厳寒の攻防戦」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ウィンターウォー厳寒の攻防戦のネタバレあらすじ:起
1939年、第二次世界大戦下のソビエト連邦はフィンランドに領地分割を要求します。ソビエト連邦の首都に近いカレリア地峡を、安全の為に譲渡して欲しい、代わりに他の領地を渡すという内容でした。しかしフィンランドには圧倒的に不利な内容です。フィンランドがこれを応じるとは思えず、民間人の中で戦争になるのではないかと噂されます。
フィンランドでは、国境防衛と称し男性が招集されました。とはいえ、当時のフィンランドは物資が不足しており兵士の装備もままなりません。集められた男性たちには、フィンランド軍の軍章と布のようなコートのみでした。男性たちは帽子が欲しい、ブーツが欲しいと口々に言いながら装備を身に着けます。
異母兄弟のマルティとパーヴォも集められます。マルティは弟を守ると母親と約束していたので、上官に頼んで同じ班にしてもらいました。そして、男性たちは汽車でフィンランド・ソビエト連邦の国境へ向かいます。
ウィンターウォー厳寒の攻防戦のネタバレあらすじ:承
国境に到着しますが、まだ戦争は始まっていない為に男性たちは暇を持て余します。しばらくの間は軍事演習をしながら近所の畑を耕す手伝いをしたり、現地の女性と関係を持ったりすることで時間をつぶします。ある朝、ついに戦争が始まったと叩き起こされます。慌てて銃を手に基地から出ると、物資を運搬してきた船の汽笛でした。ただの汽笛を勘違いにより叩き起こしてしまうほど彼らは戦争に対する経験がなく、常に緊張に晒されているのです。
フィンランドの独立記念日、ついに領地分割の交渉が決裂します。戦争の経験がない彼らはソビエト軍の容赦ない攻撃に次々と亡くなります。班に一人だけいた戦争経験のある者も、当時とはかけ離れた兵器には打ち勝てず臨終しました。マルティの弟・パーヴォも負傷し、休暇をとらされます。休暇を利用し一時帰宅したパーヴォは、母親に戦争のことについてあれこれ尋ねられます。凄惨な戦地のことを母親に伝える気にならず、「誰も生きて帰れない」と答えるのみで多くを語ろうとしません。
ウィンターウォー厳寒の攻防戦のネタバレあらすじ:転
休暇から戻ったパーヴォは見張りの役割を任されます。見張りをしていると敵の爆撃に遭い、パーヴォの体は木端微塵になりました。目の前で弟を亡くしたマルティですが、悲しみに暮れる時間もありません。マルティはパーヴォのように髪を短くすることで、彼なりに弔います。
戦争は激化します。班員が戦死したことで人手が減り、休みもろくに取れなくなります。肉体的に限界を迎えながらも戦いますが、ついには敵が塹壕にまで押し寄せフィンランド軍は痛手を受けます。ソビエト兵の多さに勝てないことを悟った班長は上官に人手不足を訴えますが、何度行っても無視されます。ついには塹壕に水が流れ込み、見張りのフィンランド兵は寒さに耐えかね逃亡します。その隙にソビエト兵は攻め込み、フィンランド軍の上層部は班長の責任だと激怒します。上層部に対する不信感が募り始めた頃、降伏を促すビラも爆弾と共にばら撒かれます。フィンランド兵は精神的にも苦痛を受けながら戦うことになります。
ウィンターウォー厳寒の攻防戦の結末
ソビエト兵は日増しに多くなり、戦車など兵器の面でもフィンランド兵に差をつけます。パーヴォが休暇中に言っていた「誰も生きて帰れない」という状況でも、軍人には戦う道しかありません。国境を守るために、銃剣を手に戦線に立ちます。
教会堂にソビエト兵が来るという情報が入り、フィンランド兵はそこを襲撃する計画を立てます。しかしいざとなると兵力の差は圧倒的で、指示を出す士官もまばらにしかいないフィンランド軍は苦戦します。マルティの班は戦車に手製の火炎瓶を投げ込むなどして応戦しますが、それでも微力です。ほとんどのフィンランド兵は逃げ回るのが精いっぱいで、ソビエト兵は領土を埋め尽くしていきました。
ソビエト兵が増えるにつれ、減っていくフィンランド兵。もう終わりだとフィンランド兵が諦めた時、停戦の知らせが戦地に入ります。ただただ喜ぶソビエト兵と、絶望に明け暮れるフィンランド兵。せめて戦いの前に停戦したなら、まだ仲間を殺さなくて済んだのです。
以上、映画「ウィンター・ウォー/厳寒の攻防戦」のあらすじと結末でした。
見終わって身動き取れない程「凄かった」の一言です。爆弾で、逃げ遅れた兵士の身体が真っ二つに裂けて死んだり、足が吹っ飛んだり、ここまでのリアルな戦争映画は今迄見た事ありませんでした。戦争の残虐さをリアルさは圧巻です。戦争以外のリアルな日常の場面でも細部のリアル感がタマラナク魅力的でした。フィンランド映画の質の高さに脱帽しました。ペッカ・パリッカ監督の作品、他にどんなのがあるのか?是非見てみたい!