タンデムの紹介:1987年フランス映画。落ち目のラジオ司会者と、彼を支える相棒の苦悩と友情を描くドラマ作品。25年もの間、ラジオの人気クイズ番組で司会を務めてきたミシェル。しかし時代の流れと共に人気は落ち、ついに打ち切りが決定してしまう。ミシェルの身の回りの世話全てをこなす音響技師のリヴトは、番組終了をミシェルに伝えることが出来なかった。1台の車で毎日町から町へドサ回りを続けるミシェルとリヴト。体調不良と過去の栄光に縛り付けられたミシェルは、やがて真実を知ってしまう。監督を務めるのは、「仕立て屋の恋(1989年)」や「髪結いの亭主(1990年)」等で知られるパトリス・ルコント。
監督:パトリス・ルコント 出演者:ジャン・ロシュフォール(ミシェル・モルテス)、ジェラール・ジュニョー(リヴト)、ジャン=クロード・ドレフュス(市議会員)、シルヴィー・グラノティエ(本屋の女性)、ジュリー・ジェゼケル(駅前ホテルのメイド)ほか
映画「タンデム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「タンデム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「タンデム」解説
この解説記事には映画「タンデム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
タンデムのネタバレあらすじ:打ち切り宣告
1980年代のフランス。25年間続くラジオの人気クイズ番組「ギブアップ」の収録のため、司会者のミシェル・モルテスは音響技師リヴトと共に車でフランス各地を回っていました。
ミシェルは初老を迎えたベテランのタレントで、行く先々でサインや写真を求められます。しかし時代の流れと共に彼も彼の番組も人気が落ち始め、現在はリヴトと2人きりでドサ回りをやっているところでした。
2人は車に機材を詰め込み、毎日毎日違う町でラジオを収録しています。リヴトはミシェルの少々見栄っ張りでギャンブル好きな性格に困っていましたが、彼を相棒として友人として慕っていました。
そんなある日、ラジオの本番直前にリヴトはパリのラジオ局から思いもよらない通達を受けます。「ギブアップ」の打ち切りが決定したらしいのです。放送はあと数週間と言われ、ショックを受けるリヴト。すぐにミシェルに伝えようと思いましたが、仕事に誇りを持つ彼に言い出すことが出来ません。
更にミシェルはここ最近体調が悪く、酷く疲労していました。そんな彼に追い討ちをかけることは出来ず、リヴトはどうにかして隠してしまおうと考えます。ラジオ局の上司ゴーチエから何度も手紙が来ますが、リヴトは全て握り潰してしまいました。
タンデムのネタバレあらすじ:疲れていく心
番組の打ち切り決定を知らないまま、ミシェルはリヴトとドサ回りを続けます。長時間の移動とどんどん悪くなる体調に、ミシェルの心は疲弊していきました。
ある夜、ファンとの晩餐会を終えたミシェルは参加者の女性にホテルまで送って貰います。三流の安ホテルに泊まっているとは言い出せず、口ごもるミシェル。しかし女性は何もかもお見通しでした。ミシェルの生活の質は落ち続け、派手な暮らしは過去の栄光です。
女性はミシェルが以前執筆した本を読んでいました。彼女はもう1冊書いてはどうかと勧め、ミシェルには才能があるのでラジオのドサ回りで終わる人ではないと言います。しかしその言葉は、ラジオと共に生きてきたミシェルの誇りを傷つけるものでした。ミシェルは哀れむのはやめろと静かに呟き、女性の前から去ります。
タンデムのネタバレあらすじ:非情な決定
翌日。次の収録に向けて車を走らせていると、前々から調子が悪かった車が故障して動かなくなってしまいました。25年間1度も収録を休んだことのないミシェルは、何とかして番組を成り立たせようとします。
そこで道路脇で食事をしていた男性に急遽ゲストとして出て貰い、音声のみ収録会場に流すことにしました。ミシェルが得意の話術で盛り上げようとしますが、会場からは続々と人が去っていきます。何とか本番を終わらせたミシェルとリヴトはホテルに到着しました。
フロントからゴーチエに連絡するよう言われ、リヴトは仕方なく電話をします。手紙を無視され続けたゴーチエは激怒しており、今日限りで「ギブアップ」は打ち切ると言い出しました。リヴトはあんまりだと言いますが、決定は覆りません。
肩を落としてミシェルと合流するリヴト。ミシェルは今日の失敗を前向きに考えており、新しい企画としてゴーチエに提案しようと言います。リヴトはついに打ち切りを伝えることが出来ませんでした。
タンデムのネタバレあらすじ:露見
翌日。ミシェルに番組打ち切りを言い出せないリヴトは、放送されることのない収録を行おうとします。会場を借り、近所の老人ホームから聴衆を集め、本番さながらに機材の準備を整えました。
やがて本番の時間になり、ミシェルがリヴトの前にやって来ます。そして「なぜ こんなマネをする?」と静かに尋ねました。狼狽えるリヴトに、ミシェルはゴーチエからの手紙を差し出します。ミシェルは番組の打ち切りを知っていました。
しかしミシェルは存外落ち着いており、リヴトに努力は無駄にしないと伝えます。そしてラジオで流れることのない番組をしっかりとやり遂げました。
後日、ミシェルはゴーチエから1日おきの放送で年末まで雇うと言われます。ミシェルの口数は極端に減り、リヴトが一生懸命話しかけてもろくに返事をしません。
それでも収録現場へ到着し、ファンに囲まれるといつも通りの笑顔を見せました。機材の準備をするリヴトと目が合うと、ミシェルは真顔になります。そしてリヴトがほんの少し視線を外した隙に姿を消してしまいました。リヴトがどんなに探しても見つからず、ミシェルはそのまま行方をくらませてしまいます。
タンデムの結末:再出発
しばらくして、ラジオ局を解雇されたリヴトは孤独で味気ない生活を送っていました。ある日スーパーに向かった彼は、出来心で万引きしてしまいます。すると聞き慣れた声が聞こえてきました。ミシェルが得意の話術で客に問題を出しながら、店の特売品を売っていたのです。
リヴトが思わず声を上げると、直後に万引きに気付いた店員の手で裏へ引きずられてしまいました。店員から厳しく叱責された後、リヴトはミシェルと話します。彼は現在も町から町へのドサ回りを続けていました。
新製品の宣伝、見本市、スーパーの特売等、様々な場所で雇われては得意の話術を披露しています。体調不良も過労とストレスによるものだったらしく、今はずいぶん調子が良い様子でした。
明るく笑うミシェルは、リヴトの現状を知り、以前のように一緒にドサ回りをしないかと誘います。リヴトは夢のようだと弾けるように笑いました。笑い合う2人が勢いよく車を発進させ、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「タンデム」のあらすじと結末でした。
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