ブックセラーズの紹介:2019年アメリカ映画。古代より人間社会に親しまれ、私たちの歴史・文化を伝えてきたのは書籍でした。中世の高額な書籍は数億円単位で取引されます。しかしインターネットの普及による書籍と書店の衰退は激しいものがあります。そんなデジタル化の流れにもかかわらず、本に夢や希望を持つブックセラーズがいます。本作『ブックセラーズ』は、古本ビジネスと収集家の世界を描いた作品です。インターネットとスマホの普及で本や雑誌も読まず書店や図書館にも行かなくなったという人たちも、もう一度本の持つ素晴らしさを感じさせてくれる内容になっています。
監督:D・W・ヤング 出演:パーカー・ポーシー(ナレーター)、ディヴ、ジュディス、ナオミ、アディナ、ジム、アーサー、スティーヴン、ビビ、ヘザー、レベッカ、ジャスティン、アダム、ヘンリー、ほか
映画「ブックセラーズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ブックセラーズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ブックセラーズの予告編 動画
映画「ブックセラーズ」解説
この解説記事には映画「ブックセラーズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ブックセラーズのネタバレあらすじ:起・ニューヨーク・ブック・フェアと古書店
(パーカー・ポーシーのナレーション)人々は本に魅了されます。ある人は現実逃避のためと言いますが、本は私たちが人間であるために必要なものです。
ニューヨークの世界最大のブックフェア、そこには世界中から本を売る人と買う人たち、ブックセラーズが集まります。ニューヨークは古本のイベントを開催するのに最高の場所と参加者は語ります。ブックセラーズは本に関する夢を語ります。
ブックフェアでは1611年のドンキホーテなど、高額な本が売られます。また、作家のフランは高額な古本の上に飲み物を置くのは、高額な物品をぶち壊すようなものであり、そんな人は死刑だと語ります。
映画は、本がいかに大衆に密着しているかを示すため、本を取り上げた多くの映画が紹介されます。
20世紀における、古本ビジネスに多大な貢献をした人物として、多くの人はA.S.W.ローゼンバークの名前を挙げます。彼はそれまでヨーロッパの古書にしか興味のなかった業界と人々に、アメリカの古書の素晴らしさを広めた人物といいます。
映画はニューヨークのブックセラーであるディヴを紹介します。彼は1998年に現在の場所に古本屋を開業し、1907年のマンモスの本などを紹介します。
映画はストランドなどニューヨークにある老舗の古書店を紹介します。アーゴシーもその中の一つです。同書店は1925年に創業され、創業者の3人の娘(ジュディス、ナオミ、アディナ)が創業以来の歴史を語ります。同書店は本だけでなく野球のサインボールなども扱います。
1950年代には368店あったというニューヨークの書店も、今では79店まで減ったと言います。その一方で小さなスペースを利用し、地元に密着した書店も開業していると言います。
ブックセラーズのネタバレあらすじ:承・本とインターネット
業界関係者はここ15年の変化は、過去150年の変化よりも激しいと語ります。
マーティン・ストーンはミュージシャンですが、同時に古本収集家でもありました。彼は特にフランスの古い詩集を集めるのが得意でした。しかし、ブックスカウトと呼ばれる、貴重な本を見つける仕事は減りつつあると言います。
業界関係者は古書ビジネスとインターネットについて語ります。かつて古書店で高く売れた本も、インターネットで安く売られていると言います。
インターネットの登場により、一般人でも手軽に古本が見つけられるようになり、収集家の仕事は減ったと言う関係者がいます。また、Kindleなどの電子書籍の登場により、紙で本を読む人が減り、紙の本の価値の将来性はわからないと不安を語る関係者もいます。
映画はユニークなブックセラーを紹介していきます。
ニューヨーク公共図書館ショーンバーグ黒人文化研究センター所長のケヴィン・ヤングは、アフリカ系アメリカ人で黒人社会と書籍について語ります。ビビは若い頃の業界での思い出話を語り、現在は革製の高級書籍を扱います。そして彼女は高額な本を丁重に扱います。
ジャスティンは子供向けの本の専門家で、昔「オズの魔法使い」を買ったときの思い出話をします。アジア系のある男性は毛沢東関係のグッズを取り扱います。
映画は業界の裏話を語ります。F・スコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」はよく保存されたブックカバー無しより、ブックカバーがついた本の方が値段が高くなるといい、収集家はカバーに価値を見出すと言います。
本の作者から著名人へのサイン入りなら価値は高くなるといいます。長年取引されてきた本には、所有者たちの書き込みもあり、本の歴史を表しているといいます。
ブックセラーズのネタバレあらすじ:転・本のオークションと個性的な取集家たち
ジムは自らの古本ビジネスの倉庫を見せます。その倉庫には30万冊を超える本があり、図書館そして本の博物館のようにも見えます。
映画は本のオークションを紹介します。以前は会場での参加者のみで取引されていたオークションも、今では電話やインターネットでのオークションもあります。しかし、会場でのオークションは他の参加者の顔の表情を読み取りながら金額を提示する心理ゲームのようだと語ります。
スティーヴンはイギリスで始まった自らの古書ビジネスとオークションの思い出を語ります。彼はクリスティーズの書籍部門の創始者です。グーデンベルグ聖書やレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿などの取引について語ります。
収集家たちは絵画と本の取引の違いを語ります。絵画は他人が描いた絵を買って眺める感覚だが、本は他人の書いた本を自分の物として所有して愛するのだと語ります。
映画は個性的な収集家たちを紹介します。ヘンリーはSF小説を収集していますが、森の中を歩き自然の中で科学について考えるのが好きだと語ります。
ジェイは豪華な個人図書館「ウォーカー人類想像史図書館」のオーナーです。キャロラインは1960年代の女性解放運動時代より、女性作家の世界的な収集家です。
ブックセラーズの結末:インターネットと紙の本の将来は?
レベッカは『アメリカお宝鑑定団ポーンスターズ』という人気テレビ番組で古書を鑑定する専門家です。ラスベガスの質屋を舞台にしたその人気番組には多くの視聴者がいます。
ヘザーは、古書業界は85%は男性で占められるといいます。しかし、その傾向も変わりつつあり、ニューヨークの本の収集家クラブのメンバーは男性のみでしたが、その女性会員になったと言います。
業界の変化は、人種や文化の多様性にも表れているといいます。アーサーはアフガニスタン関係の本を扱い、その他にも20世紀カルチャーのスペシャリストです。シリータはヒップホップミュージックに関する雑誌を収集しています。
業界関係者は、昔は本は娯楽や文化の中心であり、人気作家は神のような存在であったと語ります。しかし、インターネットの普及により、紙で書かれた本は昔ほど重要でないと心境を語ります。ブックフェアなども、本を売る参加者は高齢者が多いという現実もあります。
関係者は本の将来を語ります。地下鉄で20代の若者がスマホでなく、紙の本を読んでいる姿をよく見かけるのは明るい兆候であるといいます。アーゴシーの三人の女性経営者には後継者がいるといいます。関係者は一様に、本が死ぬことはないと語ります。
映画はニューヨークのブックフェアに戻ります。参加者のなかには40回以上参加している人もいます。
映画はブックセラーたちがワインを飲みながら楽しそうに思い出を語り合うシーンを映します。
以上、映画「ブックセラーズ」のあらすじと結末でした。
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