無頼の群の紹介:1958年アメリカ映画。グレゴリー・ペック主演の西部劇。シネスコ、カラーという大作だが、内容はかなり陰々滅々とした復讐劇になっている。脚本は「北京の55日」「ローマ帝国の滅亡」などの大作で知られるフィリップ・ヨーダンが担当。
監督:ヘンリー・キング 出演:グレゴリー・ペック(ジム・ダグラス)、ジョーン・コリンズ(ホセファ・ベラルデ)、ヘンリー・シルヴァ(ルーファン)、スティーブン・ボイド(ザッカリー)、リー・ヴァン・クリーフ(パラル)、ハーバート・ラッドレー(保安官)、ほか
映画「無頼の群」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「無頼の群」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
無頼の群の予告編 動画
映画「無頼の群」解説
この解説記事には映画「無頼の群」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
無頼の群のネタバレあらすじ:起
暗い表情をした男が1人でリオ・アリバにやってきます。この小さな町では翌朝6時、パラル、ザッカリー、テイラー、ルーファンという4人の男が、殺人罪で絞首刑にかけられようとしていました。
ジム・ダグラスという名のその男は、刑の執行を見届けるためにウィンスロップから100マイルもの道を馬で駆けてきたのです。ダグラスにはこの町に知り合いが2人います。ホセファ・ベラルデはその1人で、かつて彼の恋人でした。
ホテルのチェックインの時、久しぶりに彼女に会ったダグラスは、自分は結婚したが今は寡夫で、娘が1人いることを告げます。やがてシムズという男が到着。リオ・アリバでは今まで死刑が行われたことがないため、近郊の町シルバーシティからわざわざ呼ばれた処刑執行人でした。
無頼の群のネタバレあらすじ:承
処刑執行人は保安官に翌朝の準備を促されますが、驚いたことに町の人々が礼拝に集まったスキを見て見張りの保安官を殺し、囚人を全員留置場から逃がしてしまいます。実は彼はここへやってくる途中の処刑執行人を殺し、その身分を偽っていた囚人の仲間でした。
偽執行人は見張りが相撃ちで殺したものの、死刑囚4人はエマという若い女性を人質にして町から逃亡します。保安官はもちろん、町の男たちも一緒になって彼らを追跡。その中にはダグラスも混じっていました。
実は彼の妻は殺されたのですが、近くに住む友人バトラーの証言でルーファンたちが犯人だと知り、4人をずっと追ってきたのです。銀行強盗により彼らが逮捕、処刑されることを聞き、半ば落胆しながらリオ・アリバに来たのですが、逃げ出したのなら自分の手で堂々と復讐できます。
無頼の群のネタバレあらすじ:転
ダグラスは保安官や町民たちよりも熱心に4人を追いかけ、パラル、テイラーを次々と血祭りに上げます。残りのザッカリーとルーファンは偶然バトラーの家に押し入り、逃げようとしたバトラーを射殺。そしてザッカリーがエマを強姦している間に、ルーファンはバトラーが隠していたカネを持ってさらに逃亡を続けます。
ダグラスは粘り強く2人を追跡し、まずザッカリーを片付けます。さらにルーファンを追いかけますが、彼は妻と幼い子供の待つ自宅に帰っていました。
ダグラスはその家に無理矢理入り込んでルーファンを待ち伏せしようとしますが、ルーファンの妻によって壺を頭に叩きつけられ、気絶してしまいます。
無頼の群の結末
気がつくとルーファンが目の前にいて銃を構えています。もはやこれまでと観念したダグラスですが、ルーファンは意外にも理性的な家庭人で、ダグラスになぜ自分を執念深く追いかけるのか聞いてきます。
ダグラスは理由を話しますが、ルーファンは殺人を否定。そして話を交わすうちに、実は証言者であるバトラー自身が妻を殺し、カネを奪ったことが分かります。もはやバトラーは殺されているため、復讐も叶いません。しかもダグラスは自分には無関係な男たちを殺したことになります。
彼は呆然としながらリオ・アリバに戻り、知合いだった神父に罪を懺悔します。そして囚人たちを処刑したことで英雄だと喝采を浴びせる街の人々に苦々しい顔を見せながら、町を去ってゆくのです。
以上、映画「無頼の群」のあらすじと結末でした。
「無頼の群」感想・レビュー
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キャスリーン・ギャラントさん可愛いですよね! 演じるエマが可哀想過ぎだと思いました 可憐なドレス姿のままロープで縛られ4人もの男たちに囲まれて連れて行かれた時の恐怖は想像を絶する物だったと思います 川辺では這いつくばって水面から水を飲んだせいで可愛らしいドレスは泥で汚れてしまい、小屋の中で襲われてる時の凄まじい叫び声にはどんな酷いことが行われてたかと思うと胸が痛みます ドレスも引き裂かれたりして台無しにされてそう
最後は生きていたような感じなので、心にも傷を負ったかもしれませんが、この後エマには幸せになってもらいたいです。 -
「頭上の敵機」や「拳銃王」などで、グレゴリー・ペック主演の作品を手掛けてきたヘンリー・キング監督が、5度目のコンビを組んだ、追跡型西部劇が「無頼の群れ」だ。
フランク・オルーク原作「The Bravades」をフィリップ・ヨーダンが脚色。
メキシコの壮大な景色を撮影したレオン・シャムロイ、音楽はアルフレッドの弟・ライオネル・ニューマンが担当している。アメリカ南西部のリオ・アリバ村で、銀行強盗を働いた四人の死刑執行が行なわれる前日、処刑を見届けにやってきた一人の男。
100マイルも離れたウィンスロップから来たのは、半年前に妻を四人組の暴漢に殺されたためだった。
絞首刑になるはずだった四人が脱走することで、追跡劇が始まり、復讐の鬼と化した彼は、男たちを一人づつ殺して行く。四人組に扮したのは「ベン・ハー」で敵役として名を売ったスティーヴン・ボイドを始め、アルバート・サラミ、後にマカロニ・ウエスタンで大活躍するリー・ヴァン・クリーフ、そしてヘンリー・シルヴァの個性的な面々。
妻を殺されたジム・ダグラスを演じたグレゴリー・ペックは、終始思い詰めた表情を崩さず、5年ぶりに再会した、かつての恋人ジョセファ(ジョーン・コリンズ)との会話も素っ気ない。
「大いなる西部」や「アラバマ物語」のフィンチ弁護士に代表される理性溢れる正義の人のイメージが強い彼にとって、勧善懲悪を体現する男の役は、チョッピリ不似合いな感がありましたね。
伏線は幾つかあったが、四人目のルーファン(ヘンリー・シルヴァ)を追って国境を単身渡ったメキシコで、真相が明らかになる。
終盤では、怨恨のための殺人に思い悩むヒーローらしくない、心の葛藤が描かれ、思わぬ終盤を迎える。
ヨーダンのシナリオは、破綻も随所に見られるが、私怨による殺人者と町のために尽くしたヒーローという両面を持たされ、悩みを抱えた人間を描くことで、勧善懲悪型西部劇とはひと違う持ち味を強調した作りになっている。
後に、このパターンはスティーヴ・マックィーン主演の「ネバダ・スミス」でも踏襲されていましたね。
当時の王道の西部劇にはあり得ない、意外な結末を迎えるこの作品は、その後、クリント・イーストウッドに引き継がれ、後には定番となっていくが、1950年代では異色の存在だったと思う。
女優のジョーン・コリンズさんが好きで、彼女がこの映画に出ていたので、拝見しました。相変わらず、美しくて、幸福な時間を過ごさせてもらいました。セクシーさは物足りなかったですが、優しい雰囲気がとても良かったです。