恐怖ノ黒電話の紹介:2011年イギリス映画。暴力的な夫から逃れて独り暮らしをするメアリーに、知らない女性から間違い電話がかかる。彼女もメアリーと同じように、男性のことで悩みを抱えていた。2人はたびたび電話で会話するようになるが、ある日、彼女はメアリーに「自分は過去から電話している」と告白する。その日から、メアリーの周囲で不気味な出来事が起こり始める。主演は、テレビシリーズ『アンダー・ザ・ドーム』のレイチェル・レフィブレ。シッチェス映画祭で話題を呼んだサスペンス・ホラー映画。
監督:マシュー・パークヒル 出演:レイチェル・レフィブレ(メアリー)、スティーヴン・モイヤー(ジョン)、ルイス・ガスマン(ジョージ)、エド・クイン(スティーヴン)、ローナ・レイヴァ―(ローズ)、グラディス・ロドリゲス(グィディー夫人)ほか
映画「恐怖ノ黒電話」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「恐怖ノ黒電話」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
恐怖ノ黒電話の予告編 動画
映画「恐怖ノ黒電話」解説
この解説記事には映画「恐怖ノ黒電話」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
恐怖ノ黒電話のネタバレあらすじ:起
メアリーは、夫と離婚調停中の20代女性。新しい人生を始めるため、愛犬デクスターを連れて、とある古いアパートに引っ越して来ました。大家のジョージは親切な男で、メアリーはすぐに彼と打ち解けます。ある夜のこと。メアリーの部屋に、ローズと名乗る女性から電話がかかってきます。「ボビーはいる?」。ローズは、帰ってこない恋人ボビーを探していると言います。メアリーは、番号違いだと言って電話を切りました。しかし、その後もローズからの電話は続き、2人は次第に会話を交わすようになります。浮気者のボビーに悩まされているというローズは「私を愛してると言ったのに」と、受話器の向こうで泣きます。ある時ローズが、「今は1978年よ」と言います。冗談はよしてと言うメアリー。ローズは、「私が過去から電話しているという証拠を見せる。今から台所の収納庫の壁に絵を描くから、あなたはそれを確かめて」と奇妙なことを言います。半信半疑のローズが収納庫の扉を開けると、壁のすみに一輪のバラが描かれていました。ローズとメアリーは、時空をへだてて同じ部屋にいたのです。
恐怖ノ黒電話のネタバレあらすじ:承
ある日、大学の講座を受けたメアリーは、講師のジョンと知り合います。ジョンと親しくなったメアリーに、密かに彼女をつけ回していた夫のスティーヴンが詰め寄ります。スティーヴンは、たとえ脅してでも彼女と寄りを戻すつもりだったのです。憤慨したメアリーは、電話でローズに「あんな男、始末すればよかった」と口走ってしまいます。翌日、メアリーが収納庫の扉を開けると、今までなかったはずの煉瓦の厚い壁ができています。壁の向こうには、何かが隠されているようでした。驚くメアリーにローズから電話がかかります。ローズは嬉しそうに言いました。「ボビーを始末したわ。あなたの助言に従ったのよ」。恐怖のあまり電話を切るメアリー。収納庫の扉を釘で打ちつけて開かないようにし、ローズからの電話を無視する日々が続きます。数日後、ついにメアリーは受話器を取ります。「あなたとママを教会で見かけたわ」と言うローズ。過去にいる彼女は、近所に住んでいる幼いメアリーと母親を見つけたのです。「ママを守りたければ、私の電話に出なさい」。電話を切ったメアリーは、古いアルバムを引っ張り出してページをめくります。子供の頃の自分と母親が、一緒に教会で撮った写真。2人の背後に、今までいなかったはずのローズらしき中年女性の姿がぼんやり写っていました。後日、メアリーは、大家のジョージにローズのことを尋ねます。ジョージによると、恋人に捨てられたローズは、今のメアリーの部屋で首を吊って亡くなっていたといいます。しかし、ボビーはローズが殺したはずです。混乱したメアリーは、思い余ってジョンに相談します。ジョンの推理はこうでした。本当なら、ボビーが去ってローズが命を絶つはずだった。しかし、ローズの電話がなぜか現代のメアリーにつながってしまう。2人が友人になったことで、運命の流れが変わってしまったのではないか。そんな話は信じられないと怯えるメアリーを、ジョンは心から気づかいます。ジョンの優しさに触れ、幸せな時間を過ごしたメアリー。帰宅する彼女を、暗闇からじっと見つめる1人の女性。それは、過去から現在へとやって来たローズでした。
恐怖ノ黒電話のネタバレあらすじ:転
翌日、ローズから電話があります。ローズは、メアリーがジョンと会っていたことを知っていました。激高したメアリーは、とっさに「私も現在のあなたを見たわ。あなたは今、精神を病んで療養所にいるのよ」と嘘をつきます。そして、ジョージから聞いたローズの過去にも言及して電話を切ります。ところが、次の電話でローズは意外なことを言います。「療養所の話は嘘だわ。庭のヤシの木の根元を掘ってみなさい」。メアリーが掘ると、土中から紙に包まれた瓶が現れます。瓶の中には、切断されたローズの指が1本。悲鳴を上げるメアリー。ローズは「私の贈り物を見た?」と言い、さらに「誰が私の過去をばらしたかわかったわ」と笑います。その直後、ジョージの姿が忽然と消えます。メアリー以外は誰ひとり、ジョージの存在すら覚えていないのです。ローズが、過去にいるジョージを亡き者にしていたのでした。ショックを受けたメアリーは、ジョンに携帯で助けを求めます。しかし、いつまで待ってもジョンは現れません。メアリーは食堂を営むジョンの両親を訪ね、彼の居場所を尋ねます。両親は怪訝な顔で、息子は11才で亡くなっていると言います。ローズは、過去にいる少年のジョンの命まで奪っていたのです。メアリーは半狂乱になり、家の収納庫の煉瓦を取り崩します。中に見えたのは、ボビー、ジョージ、そしてまだ子供のジョンが骸骨となった姿でした。放心状態のメアリーに、ローズから電話です。ローズの横には今、子供のメアリーがいるというのです。驚いたメアリーは「その子に手を出さないで!」と叫びます。受話器の向こうで、幼い自分が悲鳴を上げました。ローズが鍋の油を浴びせたのです。その途端、メアリーの全身にみるみる火傷の跡が広がりました。絶叫し崩れ落ちるメアリー。
恐怖ノ黒電話の結末
どうすればローズが消えるのか。図書館で町の歴史を調べたメアリーは、過去に近所のボーリング場で大火災があったことを知ります。メアリーはローズに言います。「明日、ボーリング場で私の誕生パーティをするから来て」。ローズは喜んで承知します。翌日、ローズから電話があります。ローズはバスに乗り遅れ、火災現場にはいなかったのです。「私を殺そうとしたのね」。憎しみを燃やしたローズはまたもや、子供のメアリーを自分の家に誘い込んでいました。メアリーは、電話口で子供の自分に「逃げて!」と叫びます。その時、メアリーのアパートのドアを破って、過去からローズが現れました。メアリーは咄嗟に室内に逃げ込みます。電話の向こうで、自分の叫び声がします。過去の自分もまた、ローズに襲われて部屋に隠れていたのです。メアリーは、子供の自分に「勇気を出して。クロゼットの鏡を割って、その破片で彼女を刺すのよ」と指示しますが、泣きじゃくる声しか聞こえてきません。その瞬間、扉を肉切り包丁でずたずたにしてローズが部屋に入ってきました。脚を怪我したメアリーは動くことができません。ローズの包丁が振り上げられます。メアリーはきつく目を閉じました。と、気がつくとローズの姿は消えています。電話の向こうでは、自分の泣き声が。勇気をふりしぼった幼いメアリーが、ローズの命を絶ったのです。その途端、メアリーの体から火傷の跡がすーっと消えていきます。メアリーは、過去の自分に「家に帰りなさい」と言います。全てが終わり、抜け殻のようになったメアリーのもとに、何も知らないスティーヴンが訪れます。「出て行って」と言うメアリーに平手打ちをするスティーヴン。口から血を流したメアリーが手の平を見ると、過去の自分がローズを殺した時にできた傷跡が、生々しく残っていました。メアリーの目に、狂気が宿ります。その後。スティーヴンの姿はどこにもありません。収納庫の中、鼻歌を歌うメアリーが、セメントで塗り固めた煉瓦の壁を積み上げていきます。「素敵なボビー、ボビーと結婚するわ…」メアリーが楽しげに歌っています。煉瓦の向こうに、4人目の男が入れられたのです。
これが、本当にあったとしたら怖いよ。前の彼女が今でも恨んでるとしたら恐ろしい。未練が、今でもあるとしても、いいかげんに許してあげればいいのにね