クルーシブルの紹介:1996年アメリカ映画。アメリカ独立以前のマサチューセッツ州。偽善に満ちた村で、男をその妻から奪おうとする少女の行動が州を揺るがす悲劇を引き起こす。セイラム魔女裁判を描きながら赤狩りとマッカーシズムに対しての批判がこめられていると言われる、アーサー・ミラーの戯曲『るつぼ』を原作とする。映画の脚本もミラー自身が担当し、第69回アカデミー賞脚色賞にノミネートされた。ジョーン・アレンも助演女優賞にノミネートされている。
監督:ニコラス・ハイトナー 出演者:ダニエル・デイ=ルイス(ジョン・プロクター)、ウィノナ・ライダー(アビゲイル)、ジョーン・アレン(エリザベス・プロクター)、ブルース・デイヴィソン(パリス牧師)、ポール・スコフィールド(トマス・ダンフォース)、ほか
映画「クルーシブル」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「クルーシブル」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
クルーシブルの予告編 動画
映画「クルーシブル」解説
この解説記事には映画「クルーシブル」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
クルーシブルのネタバレあらすじ:早朝の少女たち
1692年、マサチューセッツ州セイラム。ある早朝、少女たちが森に集まり、パリス牧師の黒人奴隷ティテュバを囲み、口々に男の名前を言って、お湯の煮立った釜の中に貢ぎ物を入れ、興奮してダンスを始める。
バルバドス出身のティテュバが、好きな異性と結ばれる異教のおまじないをしてくれるというだけのことだったが、パリス牧師の姪のアビゲイルはティテュバの制止をふりきって貢ぎ物の鶏の血をすする。それはエリザベス・プロクターを呪い殺すためだった。
アビゲイルはプロクター家で召使をしていたが、ジョン・プロクターと関係をもったせいで妻のエリザベスに追い出された。だが、アビゲイルは彼女に肉の歓びを教えたジョンに執着し続けている。少女たちは牧師に見つかって逃げ出すが、幼い二人、牧師の娘ベティと村の有力者パトナムの娘ルースとがショックでこん睡状態のようになる。
悪魔に憑かれたという噂が広がる。パリス牧師は、噂を否定してくれるのを期待して、若いが悪魔研究の権威であるへイル牧師を招く。一方、魔女と思われることを恐れるアビゲイルは、いっしょに森にいた少女たちに、本当のことを話したら命はないと脅迫する。
クルーシブルのネタバレあらすじ:「魔女」の発覚
へイル牧師は迷信を諫める慎重な人物だが、少女たちが早朝に神を冒涜するはしたないダンスをしていたことを知り、彼女たちを厳しく問いただす。アビゲイルは嘘をつき、悪行の全責任をティテュバに押し付けようとする。ティテュバはパリス牧師に鞭打たれて悪魔と契約を結んだと言ってしまう。
さらにヘイル牧師にうながされて、悪魔といっしょにいた女の名を挙げる。村で立場の弱い女たちの名である。それを見ていたアビゲイルは自分の立場をよくしようと「私も悪魔と契約していました。サラ・オズボーンが悪魔といっしょにいました」と偽りの告白をし、他の少女たちもそれにならい「魔女」たちを告発する。
クルーシブルのネタバレあらすじ:告発が続く
告発された者たちは牢に入れられ、ボストンから副知事ダンフォースが来て裁判長となり魔女裁判が始まる。悪魔と契約したことを認めれば罪を軽くされ、認めなければ死刑になる。法廷でサラ・オズボーンがうそつきの少女たちに食って掛かるとアビゲイルたち皆が、魔術にかけられたという演技をする。
村ではささいな理由で隣人を悪魔と契約していると告発するようになる。目覚めたルース・パトナムも、おそらく隣人の土地を狙う父にそそのかされて、隣に住む足の悪い老人を悪魔に憑かれて自分をレイプしようとしたと告発する。一方、率先して魔女を告発したアビゲイルは聖女のように尊敬される。
ジョン・プロクターはパリス牧師が教会を私物化していることを批判し、強欲なパトナムとも仲が悪かったが、二人の息子がいる正直な農民だった。アビゲイルとの過ち以来妻が冷たいのを気に病んでいた。裁判からは身を遠ざけようとしていたが、アビゲイルの一味として裁判に参加している召使のメアリーがエリザベスの名も出たと報告したことにより、裁判を無視していることができなくなる。
アビゲイルに、妻を告発したらただではおかないと警告する。だが、アビゲイルは自らの腹を少し刺して血を流し、エリザベスに呪われたと告発する。エリザベスへの告発について疑いをいだいたヘイル牧師がプロクター家を訪れているときに家宅捜索があり、他の「魔女」と共にエリザベスが連行されていく。
クルーシブルのネタバレあらすじ:告白と偽証
ジョンやその隣人はメアリーを証人として魔女騒ぎが少女たちのペテンであると法廷で主張する。ダンフォース裁判長に問いただされたアビゲイルは自分の主張に信憑性を与えるために突然、悪魔に憑かれたふりを始める。たまりかねたジョンはついに、アビゲイルは売女で、家畜小屋で私は関係をもったと告白する。
だが、法廷に呼ばれたエリザベスは夫の名誉を考えて夫の姦淫の罪を否定してしまう。ヘイル牧師がジョンの告白を支持してアビゲイルを攻撃すると、アビゲイルたちはまたも悪魔がとりついた芝居を始める。メアリーも恐怖のせいで寝がえり、ジョンを悪魔の手先呼ばわりする。ジョンが悪魔と契約したとダンフォースが認定するという、アビゲイルにとって思わぬ結果になる。
クルーシブルの結末:処刑
悪魔と契約したことを否認する人たちが教会から破門され、順次絞首刑になる。人々は、最初は絞首刑を喜んで見物していたが、次第に嫌悪感を抱くようになり、アビゲイルは疫病神あつかいされ始める。ジョンが処刑される朝、アビゲイルは暗いうちにジョンの牢獄にしのびこみ、いっしょに船で南米に逃げようと言うが、ジョンは応じない。アビゲイルはパリス牧師の金を持ち逃げして村から姿を消した。
判事たちも処刑はもう終わりにしたいと望むが、そのためには悪魔との契約を自白(すなわち偽証)させなければならない。妊娠中のために刑が執行されていなかったエリザベスがジョンと最後の対面を許される。エリザベスは素直に愛情を表現できなかったことをジョンにわびる。
妻の愛がわかったジョンは生きたいと望み、偽りの供述書に署名までするが、結局それを破ってしまう。エリザベスは神も彼の誇りを奪うことができなかったと言う。ジョンが他の二人の「魔女」と共に処刑された後、ますます多くの人が偽証を拒否し、セイラム魔女狩りは19人の絞首刑で幕を閉じた。
以上、映画「クルーシブル」のあらすじと結末でした。
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