名前のない少年、脚のない少女の紹介:2009年ブラジル,フランス映画。退屈な日々をネットへの投稿で紛らわせていた少年は、ある動画に映されたされた女性が気になった。いつしか少年の現実の境界線は曖昧になっていく。
監督:エズミール・フィーリョ 出演:エンリケ・ラレー(ミスター・タンブリンマン)、イズマエル・カネッペレ(ジュリアン)、トゥアネ・エジェルス(ジングル・ジャングル)、サムエル・ヘジナット(ジエゴ)、アウレア・バチスタ(少年の母)、ほか
映画「名前のない少年、脚のない少女」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「名前のない少年、脚のない少女」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
名前のない少年、脚のない少女の予告編 動画
映画「名前のない少年、脚のない少女」解説
この解説記事には映画「名前のない少年、脚のない少女」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
名前のない少年、脚のない少女のネタバレあらすじ:動画の女性
ミスター・タンブリンマンと言うペンネームでインターネットに書き込みをしているブラジルのとある村の少年。ボブ・ディランのコンサートに行くのが夢な彼は、そのうち気になる動画の女性を見つけた。彼女はホームページでいくつも動画や写真をアップしていた。そんな少年の母は、犬に話しかけてばかり。夜まで遊ぶ友達は彼がネットにのめり込んでいくのをわかってはくれなかった。勉強も上の空で、いつしか彼の現実とネットの境界線は曖昧になっていき、彼女の白昼夢を見るようになる。
名前のない少年、脚のない少女のネタバレあらすじ:村祭りを控えて
村では六月祭りが行われると言うので、少年の友達や、母親、祖母はそれぞれに張り切っていた。しかし少年は、ボブ・ディランのコンサートに行くからと断った。同じ頃、村の鉄橋で飛び込み自殺騒ぎがあった。野次馬の集まる鉄橋で、少年は動画の彼女と一緒に映っていた青年に出会った。彼、ジュリアンはかつてここで恋人と飛び込み自殺を計り、自分だけ生き残り、この村に戻ってきたのだと言う。彼が彼女と撮った動画や写真はネットから消さず、今も残している。少年は祭りを前にした村に、自殺があったのにお祭りなんかやるのかと悪態をついた。
名前のない少年、脚のない少女の結末:遠くへ
六月祭りの当日、祖父母、母親、友達は、祭りの会場へ行った。少年は、外れの公園の遊具で遊んでいる所をジュリアンに誘われ、村の外へと向かった。お祭りの会場では、花嫁、花婿の衣装を着た男女が踊り、その中には少年の祖父母もいた。少年とジュリアンは誰もいない野外ライブ会場のような所で、死んだ彼女の幻影を見る。そして、村の電源が落ち、少年たちがいる場所も、お祭りの会場も真っ暗になった。そして、お祭り会場に電気がついた時、少年は涙を流しながら母親と踊っていた。そしてその一方で、鉄橋を一人で渡る少年の後ろ姿が映し出される。
以上、映画「名前のない少年、脚のない少女」のあらすじと結末でした。
主人公の少年の名前は最後まで明かされず、ただ彼の書き込む「ミスター・タンブリンマン」と言うペンネームだけが存在する。インターネットの中に自分のアイデンティティをを見出し、実生活の中では思春期の不安定な少年という主人公らしい設定だと思う。また現実に起こって行く事柄と並行して挿入される動画や、動画から少年の現実へ入り込んだように演出される女性の幻影は現実と非現実の曖昧な境界で悩み、その悩みを友人や母親と共有できない少年の孤独さをいっそう際立たせる。ブラジルと言うイメージに勝手に明るさを抱いていたが、青春期の繊細さや危うさは万国共通なのかもしれないと思わせてくれる作品。