偉大なるアンバーソン家の人々の紹介:1942年アメリカ映画。衝撃的なデビュー作『市民ケーン』に続く監督第2作の原作としてオーソン・ウェルズはブース・ターキントンの1918年発表の小説を選び、ナレーターも務めた。不幸にも撮影所によって大幅にカットされたうえにウェルズの意図しない追加撮影されたハッピーエンドが付加されてしまったが、監督自身のルーツである中西部の地方都市を舞台に富豪一家を翻弄し没落に導く時の流れ・時代の変化を、複雑な視覚的効果、精細なセット、そして監督の演劇・ラジオ時代からの仲間を中核とする俳優たちによってフィルムに刻み付けている。
監督:オーソン・ウェルズ 出演者:ティム・ホルト(ジョージ・アンバーソン・ミニファー)、ジョセフ・コットン(ユージン・モーガン)、ドロレス・コステロ(イザベル・アンバーソン)、アン・バクスター(ルーシー・モーガン)、アグネス・ムーアヘッド(ファニー・ミニファー)、レイ・コリンズ(ジャック・アンバーソン)、リチャード・ベネット(アンバーソン少佐)、ほか
映画「偉大なるアンバーソン家の人々」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「偉大なるアンバーソン家の人々」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「偉大なるアンバーソン家の人々」解説
この解説記事には映画「偉大なるアンバーソン家の人々」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
偉大なるアンバーソン家の人々のネタバレあらすじ:起・わがままな少年
19世紀末、アメリカ中西部の地方都市。ユージン・モーガンは町随一の富豪であるアンバーソン家の令嬢イザベルと相思相愛だった。だが彼女の部屋の窓の下でセレナーデを奏でるはずが酔っぱらっていたせいで転んで楽器を壊してしまう。恥をかかされた彼女の怒りを買う。訪ねても門前払いを繰り返された。そして彼女は愛していないウィルバー・ミニファーとの結婚を決める。
イザベルとウィルバーの間には一人息子のジョージが生まれる。母親の溺愛を一身に受けて育ったわがままな少年は、大学に行けば少しはましになるのではという町の人たちの期待も空しく、休暇に相変わらず傲慢な青年として町に戻ってきた。彼の祖父アンバーソン少佐が屋敷で開く盛大な舞踏会には、発明家として成功して一人娘のルーシーを連れて町に戻ってきたユージンも出席し、アンバーソン邸に住むイザベル、ウィルバー、ウィルバーの妹のファニー、イザベルの兄で下院議員のジャックと旧交をあたためる。
その日ジョージはジャックからファニーがユージンに恋していたという話を聞くが、ジャックはイザベルとユージンの関係は話さない。ジョージはルーシーとたちまち親しくなるが、ユージンのことが、彼が発明してルーシーと乗ってきた馬のない馬車――自動車――ともども気に入らなかった。でも翌日、ルーシーと馬橇で遊んでいて馬に橇から雪上に振り落とされ、ユージン、イザベル、ファニー、ジャックが遊ぶ自動車に乗せてもらうはめになる。
偉大なるアンバーソン家の人々のネタバレあらすじ:承・自動車の時代
ウィルバーが亡くなる。葬儀には東部からモーガン父娘もかけつける。ウィルバーは投資に失敗し財産をすっかりなくし妹にも何も残さなかった。
ユージンはイザベル、ファニー、ジョージを自分の自動車工場に招く。ユージンとイザベルは再婚の決意を固めていたが、イザベルはまだジョージにそのことを話すのをためらっていた。一方、ジョージはルーシーとの結婚を望んでいたが、ルーシーはジョージに好意を抱いていても、職業をもつ意思のない彼との結婚はありそうにないと言う。ルーシーのことばは父親の意思を反映していると考えたジョージはアンバーソン家にユージンが招かれたディナーで自動車など無意味だと発言して気まずい雰囲気に。しかし、ユージンはジョージが正しいのかもしれないと言う。自動車は世界や人間の精神生活に何の美ももたらさないかもしれない。でも自動車は既に存在していて、世界や人間を変えてしまうだろう。
偉大なるアンバーソン家の人々のネタバレあらすじ:転・イザベルとユージン
そのディナーの後、ジョージはファニーと話をしていてイザベルとユージンが恋仲だったこと、それが町中の人々の周知の事実であることを初めて知る。母が町のゴシップの種になることはジョージのプライドが許さなかった。ジョージはユージンと母とが会うことを妨げる。イザベルとユージンはジョージのために結婚をあきらめる。イザベルとジョージは無期限の外国旅行に旅立つことにする。ジョージはもう会うことはないつもりでルーシーに別れを告げる。笑顔でジョージと別れたルーシーだったがその直後に気絶してしまう。
ジョージのために帰国しなかったイザベルだったが、病気が重くなりとうとうジョージと共に、大きく変化した町に帰ってくる。しかし彼女の病状は見舞いに来たユージンにすら会えないほど悪くなっていた。間もなくイザベルは息を引き取る。そして父のアンバーソン少佐も娘を追うように死後の世界に旅立った。
偉大なるアンバーソン家の人々の結末:アンバーソン家の崩壊
アンバーソン家の資産はすべて失われていた。ジャックはジョージに駅で見送られ、新しい職を得た他の町に旅立つ。屋敷は人手に渡り、ガスも止められ、間もなく立ち退かなければならない。ジョージは、ファニーがみつけた、いい下宿人が住んでいてブリッジやおしゃべりができる下宿の代金が彼の経済力で手の届くものでないことを知る。ファニー自身も投資に失敗して無一文だった。母親代わりになろうと努めてきた叔母のためにジョージは、自分の下で法律を学べという祖父の友人に、最初から高給の得られる危険な仕事を紹介してもらう。
ルーシーとユージンは新聞で、ジョージが交通事故に遭ったことを知る。ユージンは少し躊躇したが、ルーシーについてジョージに会いに行く。ルーシーを残してジョージの病室を出たユージンは待っていたファニーに、ジョージがイザベルのことでユージンに謝罪したと話す。ユージンは病室にイザベルの魂がいるのを感じていた。
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