二つの世界の男の紹介:1953年イギリス映画。未だ壁は立てられていないが、検問所で東西に分かたれた戦後ベルリン。イーヴォ・カーンは東西ベルリンを行き来し、心ならずも東側の謀略のために働いていた。彼の運命が、イギリスから旅行に来たナイーヴな若い娘との出会いで動き出す。監督は『第三の男』のキャロル・リード。『第三の男』の姉妹篇的サスペンス・スリラー映画。多くの撮影が戦禍の跡がまだ生々しい西ベルリンで行われた。
監督:キャロル・リード 出演者:ジェームズ・メイソン(イーヴォ・カーン)、クレア・ブルーム(スザンヌ・マリソン)、ヒルデガルド・ネフ(ベッティーナ・マリソン)、ジェフリー・トゥーン(マーテイン・マリソン)、アリベルト・ヴェッシャー(ハレンダー)ほか
映画「二つの世界の男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「二つの世界の男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
二つの世界の男の予告編 動画
映画「二つの世界の男」解説
この解説記事には映画「二つの世界の男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
二つの世界の男のネタバレあらすじ:起・西ベルリンの義姉
西ベルリンの空港に降り立ったスザンヌは、初めて会う義姉ベッティーナに迎えられる。まだ瓦礫の目立つ市街を抜けて、スザンヌが子供の頃から住んでいる家に自動車で送られるが、自転車の少年がずっとあとをつけていた。
スザンヌの兄マーティンは西ベルリン駐在のイギリス軍人で、東ドイツから押しよせる難民の世話で多忙だったが、その晩は軍服を脱ぎ、妻と妹とナイトクラブに遊びに行く。しかしそこでスザンヌは義姉の不安げな様子が気になる。そしてわざとお酒をこぼしてテーブルを離れて別の客に会っていることに、スザンヌは気づく。
そして深夜、眠れないスザンヌはベッティーナが玄関で手紙を受け取っているのを見る。外を見ると昼間の自転車の少年がいた。
翌日、ベッティーナはスザンヌをロシアが占領する東ベルリンに案内する。簡単に検問は通れるが、検問所の向こうはスターリンの巨大な肖像画が目立ち、別世界だった。カフェでスザンヌはベッティーナの旧友だと言うイーヴォ・カーンという男に紹介される。自転車の少年ホルストは、彼のためにベッティーナを見張っていた。
次の晩、前の日に約束したとおりイーヴォと晩餐を共にしたスザンヌは、彼とベッティーナの関係について探りを入れる。スザンヌは兄の妻であるベッティーナにかまわないでと言ってイーヴォと別れる。
翌日、イーヴォはホルスト少年を使ってスザンヌをカフェに呼び、ベルリンを去りベッティーナはあきらめるという決意を言い、スザンヌを安心させる。
二つの世界の男のネタバレあらすじ:承・東ベルリンの男
ベッティーナの心配をよそにスザンヌはイーヴォと親密になっていく。スケートに行こうとスザンヌを自動車で迎えに来たイーヴォは、マーティンの家から手をけがしている男が出て行くのに出くわす。
スケートリンクに、ベルリン暗黒街の男で今は東側の諜報組織のために働いているハレンダーがやってくる。イーヴォは、マーティンの友人だが東ベルリンでスパイ活動をしてハレンダーを悩ませているオーラフ・カストナーの正体をつかむために、ベッティーナに接触を続けていた。
イーヴォが西ベルリンで東側のために行ってきた不法行為のリストをもつハレンダーに、イーヴォは逆らえなかった。それが西側の当局に渡ればイーヴォは一生東ドイツを出られないだろうから。その日、カストナーが犬に手をかまれたという情報により、カストナーの顔がとうとうイーヴォの知るところとになる。
イーヴォは、顔の広いカストナーの助けを西ドイツ移住のために借りたいとスザンヌにほのめかす。帰宅したスザンヌの話を聞いたマーティンは、カストナーに電話連絡しようとするが、ベッティーナがやめさせる。彼女はイーヴォが西ベルリンで人を誘拐していると言い、彼女がイーヴォの妻であったことを告白した。
イーヴォはフランスで行方不明になり死んだとみなされ、ベッティーナはマーティンと結婚したが、3週間前にイーヴォが現れて彼女を脅迫し始めた。結婚が無効になり愛するマーティンを失うことを彼女は恐れていたのだ。
彼らは西ベルリンの警察にすべてを語る。カストナーに会わせると言ってマーティンの家にイーヴォを呼び寄せて逮捕することにし、スザンヌはためらいながらイーヴォに電話した。
だが約束の日、警察やカストナーがイーヴォを待つが、スザンヌはホルスト少年の自転車が走った跡を雪の上に見て、きっとイーヴォは来ないと皆に告げる。少年が家の不穏な様子を彼に教えたに違いない。傷心のスザンヌは帰りの飛行機のチケットを買うために家を出る。ところが男たちに誘拐されてしまう。
二つの世界の男のネタバレあらすじ:転・夜の逃亡
スザンヌはハレンダーの手下によってベッティーナと間違われ誘拐された。この失態をハレンダーは、スザンヌを使ってカストナーを捕らえることによってとりつくろおうと考える。
歌劇場の外へカストナーがスザンヌを引き取りに来るように連絡しろと、ハレンダーはガレージに幽閉したスザンヌに迫る。スザンヌは拒んだが、イーヴォがスザンヌに、罠であることを自分からカストナーに伝えるから、ハレンダーの言うとおりにするように言う。
歌劇場の外でスザンヌをカストナーが迎えに来るはずだった。しかしオペラが終わって劇場を出る観客たちに紛れてスザンヌとイーヴォは、警官に扮したイーヴォの二人の手下が乗り付けた一台の自動車で逃げる。
しかし、どの検問所も直ちに警戒が厳重になる。イーヴォは電車で西ベルリンに行くことにしてスザンヌと自動車を降りるが、電車の中で乗客が身分証の提示を求められているのをホームで見て、夜も作業中のビル工事現場に逃れる。そこではホルストの祖母がソーセージの屋台を出していた。
イーヴォの二人の手下がサイドカーつきのオートバイに乗り換えて逃げるのを、工事現場の電源を切って暗闇を作って助けてから、イーヴォとスザンヌは近くの高層アパートの屋上に逃れる。だが、そこにも追っ手が来る。
逃げ場を失った二人は最上階に住む見ず知らずの娼婦に金品を渡して助けてもらう。ハレンダーたちがその部屋にも捜索に来るが、イーヴォは窓の外に隠れ、スザンヌは服を替えて髪を下ろし、娼婦の友だちと偽って捜索を逃れる。
気をきかしたつもりで娼婦が友人の部屋に行った後、スザンヌはイーヴォの人生を話してもらう。法律家だったが、ナチが政権を取り法律が無意味な社会になってしまった。軍人になり命令に忠実に行動し、チェコの村人を虐殺した。戦後は生きるために悪事に手を染めた。でもスザンヌは命がけで彼女を守るイーヴォと共に生きたいと願う。二人は愛し合った。
二つの世界の男の結末:東西検問所の間
翌朝、ホルストに導かれてカストナーが洗濯物運搬車で二人を助けに来る。二人は洗濯物の間に身をひそめる。検問所をすんなり通れそうだったが、検問所で自動車のエンジンがなかなかかからない。
エンジンがかかったとき、検問所の兵士は心配してついてきたホルスト少年の自転車の動きをあやしく思い、荷物を調べようとする。イーヴォは自動車から飛び出し、敵を自分にひきつけてカストナーに先に出発させる。
イーヴォは兵士を振り払い、遅れて検問を突破するが東側検問所から撃たれる。スザンヌとカストナーが西側の検問所を通り抜けた時、二つの世界の中間地点のイーヴォの死体に、犬がまとわりついていた。
以上、映画「二つの世界の男」のあらすじと結末でした。
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