ティエリー・トグルドーの憂鬱の紹介:2015年フランス映画。「ベティ・ブルー/愛と激情の日々」(1986)で好演、「母の身終い」(2012)で二度目のセザール賞主演男優賞ノミネートを果たしたフランスの名優、ヴァンサン・ランドン主演作。現代のフランスが抱える深刻な失業問題を、真正面からとらえたシリアス・ドラマ。フランス国内で大ヒットを記録した。50才を過ぎて突然会社を解雇されたティエリー。1年半の無職生活の末、ようやくありついた仕事はスーパーマーケットの監視員だった。毎日毎日、万引き犯を見つけ出すという仕事に彼の心はすり減っていく。
監督:ステファヌ・ブリゼ 出演者:ヴァンサン・ランドン(ティエリー・トグルドー)、カトリーヌ・ドゥ・ミルベック(ティエリーの妻)、マチュー・シャレール(マチュー)、イヴ・オリィ(カウンセラー)、グザビエ・マチュー(同僚)、カトリーヌ・サン=ボネ(銀行融資係)ほか
映画「ティエリー・トグルドーの憂鬱」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ティエリー・トグルドーの憂鬱」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ティエリー・トグルドーの憂鬱の予告編 動画
映画「ティエリー・トグルドーの憂鬱」解説
この解説記事には映画「ティエリー・トグルドーの憂鬱」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ティエリー・トグルドーの憂鬱のネタバレあらすじ:起
憂鬱な面持ちで、職業安定所の職員と向かい合う男ティエリー・トグルドー。長年エンジニアとして働いてきた会社を集団解雇され、1年半経った今もまだ再就職先が決まりません。ともに解雇された同僚達は皆、裁判を起こそうと闘志を燃やしています。妻と障害のある息子と3人暮らしのティエリーにそんな時間も余裕もなく、とにかく職探しが最優先です。職安から言われるままクレーン運転士の研修も受けましたが、結果は不採用。自宅で受けたスカイプ面接でも、面接官から「採用される可能性は低い」とはっきり言われてしまいます。アパートを売れば少しは楽になるものの、あと5年でローン返済が終わるので手放すこともできません。ティエリーと妻は相談の上、トレーラーハウスを売りに出すことに決め購入希望者を募ります。しかし見学に訪れた夫婦は「高すぎる」と言い出し、値段交渉で争った末にティエリーは「売るのはやめだ」と断ってしまいます。
ティエリー・トグルドーの憂鬱のネタバレあらすじ:承
面接での好感度を少しでも上げるため、就活セミナーの模擬面接に参加したティエリー。彼の受け答えを見た若い受講者達は、「姿勢が悪い」「愛想がない」とさんざんな言いようです。そんな落ち込む日々を過ごしていた彼に、ようやく新しい仕事が見つかります。勤務先はスーパーマーケット。スーツを着て店内を見回り、万引き犯を見つける監視員です。ティエリーはここで、さまざまな万引き犯と対面することになります。携帯の充電器を盗んで、「知らない男にやれと言われた」とうそぶく青年。生鮮食品のパックを万引きし、代金を払おうにも一銭も持っていないと言う孤独な老人。先輩社員からは、監視カメラの効率よい見方を伝授されます。鞄が開いている客は怪しい、年寄りも若者も関係ない、カップルも疑え、レジ係の手元もチェックしろ…。ティエリーの毎日は気が滅入ることばかりです。
ティエリー・トグルドーの憂鬱のネタバレあらすじ:転
ティエリーの心配事は、仕事だけではありません。息子のマチューのことで学校から呼び出されたのです。テストの点数が悪く、このままでは希望校に入学できないと言う教師に、ティエリーと妻は落ち込みます。その後、スーパーマーケットでの試用期間が過ぎ、無事に本雇用となったティエリー。中古車を3年ローンで購入する融資も可能になりました。彼の心は少しだけ明るくなったようです。しかしある日のこと、スーパーマーケットで従業員の不正が発覚します。長年レジ係として働いてきた女性、アンセルミが警備室に連れてこられます。明るく働き者の彼女は、社内でも慕われている存在。ティエリーは一体何事かと驚きます。アンセルミは、割引クーポンを捨てずに集めるという不正を行っていました。今回が初めてですと主張する彼女に、店長は解雇を言い渡します。
ティエリー・トグルドーの憂鬱の結末
ある日、スーパーマーケットに本社の人事部長がやって来ます。解雇されたアンセルミが店内で自殺したのです。人事部長は、アンセルミの息子が麻薬中毒者だったことに触れ、彼女が自殺した本当の原因は誰にもわからないと言います。自殺をしたのが社内でも、社員が罪悪感を持つ必要はないのだと。ティエリーは前を見つめ、無表情で話を聞いています。アンセルミの葬儀が行われ、社員達が棺に花を供えます。ティエリーの疲労はひどくなっていきます。店内でぼんやり頬杖をつくこともありました。ある時、また社員の不正が発覚します。レジ係の女性が、自分のポイントカードをスキャンしたのです。「ただのポイントよ、万引きとは違うわ」と開き直る女性。彼女はティエリーに「あなたも上司に報告するの?」と尋ねます。ティエリーは「わからない」と答えると、意を決したように部屋を飛び出します。ロッカーから自分の荷物を取ると、そのまま車に乗り込み走り去って行くのでした。
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