一番美しくの紹介:1944年日本映画。世界の巨匠黒澤明の作品。第二次世界大戦下に制作された作品でプロパガンダ作品としても有名。しかし劇中にはアメリカの音楽も使用されており、黒澤明監督の反骨精神も垣間みえる。主演を務めた矢口陽子は後の黒澤明の妻。郷里を離れて工場で寮生活をしながら兵器の増産に努める少女たちの姿をドキュメンタリータッチで描く作品。
監督:黒澤明 出演:志村喬(石田五郎)、清川荘司(吉川荘一)、菅井一郎(真田健)、入江たか子(水島徳子)、矢口陽子(渡辺つる)、谷間小百合(谷村百合子)、尾崎幸子(山崎幸子)、西垣シズ子(西岡房枝)、ほか
映画「一番美しく」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「一番美しく」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「一番美しく」解説
この解説記事には映画「一番美しく」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
一番美しくのネタバレあらすじ:起
第二次世界大戦中の日本。光学機器を生産している東亜光学平塚製作所では、戦時非常態勢の大増産計画として男子には通常の9割増、女子には通常の5割増の生産目標が割り当てられた。しかし、女子工員たちは作業中も集中力を欠き、噂話をしながら仕事の手を休めている姿が多くみられる。彼女たちの様子に工場長の石田五郎(志村喬)は女子組長の渡辺ツル(矢口陽子)に、過酷な生産目標ではあるが国の為に頑張って欲しいと説く。しかし、渡辺は女子工員の気持ちは仕事が辛いという事ではなく、女子への割り当てが低すぎることが情けなくて辛いと皆は思っていると訴える。そこで彼女たちにも男子の3分の2にあたる6割増の目標が与えられる。女子工員たちは喜びはしゃぐが渡辺はこれからが勝負であると言い周囲の気を引き締める。
一番美しくのネタバレあらすじ:承
やる気を出して職務に励む女子工員達だが目標達成は生易しくはなく、なかなか生産が伸びてはいかない、そんな中、工員の一人である鈴村(鈴村あさ子)が突如体調を壊す。鈴村は郷里には知らせない様に寮母の水島(入江たか子)に懇願するが、彼女たちの責任者である責任上、親元にすでに届を出しており、心配した両親に鈴村は引き取られていく。また陽気な性格で周りを元気にさせていた山崎(尾崎幸子)は、不注意から屋根から転落して入院する。彼女たちの穴を埋めるように残りの工員たちも努力するが、疲労が募り生産数は落ちていく。事態を心配した渡辺は石田の助言もあり、バレーボールを行ってみんなを元気づけようとする。
一番美しくのネタバレあらすじ:転
再び生産力は持ち直したかのように見せたが、やはり激務の連続により女子工員たちの疲労は蓄積されており、彼女たちの職務への意識もまた薄らいでしまっていった。そんな中ケガで入院していた山崎が退院して、職場に戻ってきたことにより工員たちはまた意欲を取り戻す。そうした姿をみた寮母水島は先に郷里に戻された鈴村が回復したことを知り、鈴村が帰ってくればさらに工員たちの励みになるだろうと彼女を連れ戻すために鈴村の実家へ訪問しようと留守を渡辺に任せて旅立つ。しかしその間に工員たちの不満が爆発して工員同士のケンカが起こる。原因はある病弱の工員を渡辺が彼女の病気を周囲に隠してかばい続けたことにあったが、病弱の工員が全てを告白したことで自体は収まる。しかし渡辺は自分たちがこうしていがみ合っている現状を嘆きます。
一番美しくの結末
そんな中で、寮母と鈴村が帰ってくると工員たちは就寝時刻を過ぎているのにも関わらず集まって暗い顔を寄せ合っている。寮母が事情をただすと渡辺が自分のミスで調整が出来ていないレンズがあることを思い出し、深夜にもかかわらず残業しているという。疲労がたまる中でケンカの仲裁などの負担が大きく調整をしないままの製品を完成品としてしまっていたのだった。工員たちはみんなで彼女の仕事の無事を祈る。一人で深夜まで作業をつづけた渡辺はとうとう未調整の部品を探し当て、作業を終える。帰宅しようと彼女が作業室から出ると工場長たちが彼女を心配して待っていたことに気づく、礼をいいかける渡辺を制して石田は励ましの言葉をかけ、彼らは帰途につく。彼女たちは生産目標の達成に向けて再び一丸となり職務に励むが、今度は渡辺の父が病に倒れたとの知らせが来る。会社の為にも彼女に帰省するようにうながす石田達であったが、渡辺は母の言いつけであり仕事をさせてもらいたいという。寮母は彼女の姿に感動する。ラストシーンそこには涙を流しながらも黙々と仕事に励む渡辺の姿があった。
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