詩人の恋の紹介:2017年韓国映画。韓国・済州島を舞台に、冴えない詩人とその妻、そしてドーナツ店員の若い美男子との三角関係を描いた異色のラブストーリーです。監督・脚本・製作は本作が長編デビュー作となるキム・ヤンヒが手掛け、『息もできない』『あゝ、荒野』のヤン・イクチュンが主演を務めています。
監督:キム・ヤンヒ 出演者:ヤン・イクチュン(テッキ)、チョン・ヘジン(ガンスン)、チョン・ガラム(セユン)、キム・ソンギュン(ボンヨン)、パン・ウニ(セユンの母)、ソン・イナン(セユンの父)、ペク・ジウォン(深緑の森同人会の女性)、キム・ジョンス(深緑の森同人会会長)ほか
映画「詩人の恋」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「詩人の恋」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
詩人の恋の予告編 動画
映画「詩人の恋」解説
この解説記事には映画「詩人の恋」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
詩人の恋のネタバレあらすじ:起
韓国・済州島。自然豊かなこの島で生まれ育った詩人のテッキ(ヤン・イクチュン)は、ここ数年すっかりスランプに陥っていました。年齢も30代後半に差し掛かっているテッキは、生活費を稼ぐため小学校で子供たちに詩の授業を教えていましたが給料は安く、妻のガンスン(チョン・ヘジン)が一家の家計を支えていました。
平凡な日々を過ごしていたテッキは、ある時ガンスンから子供が欲しいと言われました。「結婚していない時は早く結婚さえできればいいと思っていたのに、欲張りだよね」と言うガンスンに対し、あまり乗り気ではないテッキでしたが、それでも妻のために一緒に妊活を開始することにしました。
その矢先、ガンスンと共に病院に行ったテッキは乏精子症との診断を受けました。詩の創作もスランプから一行に脱することもできず、ガンスンからは精をつけるようにプレッシャーをかけられたテッキは精神的に追い詰められていきました。
詩人の恋のネタバレあらすじ:承
思い悩むテッキは、ガンスンが買ってきてくれたドーナツを食べたことから、そのドーナツ店に通い詰めるようになっていきました。そしてある日、ドーナツ店で詩を書いていたテッキは、若い店員のセユン(チョン・ガラム)がふと呟いた言葉がきっかけで一篇の詩が思い浮かびました。
このことから、テッキは次第にセユンのことを気にするようになりました。そんなある夜、テッキは泥酔して外で寝込んでいたセユンを見かけ、家まで送ることにしました。セユンは寝たきりの父(ソン・イナン)と働き詰めで文句ばかり言う母(パン・ウニ)と同居しており、貧しい生活を送っていました。テッキは自分がセユンに対し抱いている感情は同情なのか、それとも恋心なのか、自分でも分からずに戸惑いました。
ガンスンもまたそんな夫の様子の変化に気づいていました。ある時、テッキの手帳を見てしまったガンスンは、帰宅したテッキに好きな女性でもできたのかと問い詰めました。テッキは動揺しながらも素直にセユンのことを話し、これは決して浮気などではなくセユンは年下の男の子であり可哀想だから助けているだけだと主張しましたが、激怒したガンスンはテッキを変態扱いし、自分に養ってもらっている立場で若い男と浮気なんかできるのかと詰め寄ると、自分は妊娠していることを伝えました。
詩人の恋のネタバレあらすじ:転
散々ガンスンに当たり散らされたテッキは彼女に不満を抱く一方でどうしてもセユンのことが気になって仕方ありませんでした。テッキは父と母との間で板挟みになっているセユンの気持ちに寄り添ってあげたいとの思いが強まっていきました。
ところが、そんなテッキの一方的な想いに気付かないセユンはテッキに対して同情してくれとも助けてくれとも頼んでいないと怒りを露にしました。深く落ち込んだテッキはそれからというものすっかりセユンとは会わなくなりました。
テッキはセユンに会えない辛さや彼への想いを詩にしたためていました。そんなある日、セユンの父が亡くなったことを知ったテッキは意を決して葬式に参列しました。テッキは哀しみに暮れるセユンに「君のような人に必要なのは、何があってもそばにいてくれる人だ。そういう人がいれば人は壊れない」と慰めました。
セユンがテッキの言葉に思わず泣き出したところにガンスンが現れました。セユンが帰路についたのち、ガンスンはテッキに対して「あの子の特別になれると思っているの? あなたは優しいからそれを恋だと錯覚しているだけだ」責めました。テッキは「君は非難するだけだ。こんな夫婦関係はおかしい。こんなのは愛じゃない」と反論しました。
そしてテッキは意を決してガンスンとの別居を決意、自分と生まれ来る子供のためにも残って欲しいと懇願するガンスンを振り切って家を飛び出していきました。
詩人の恋の結末
テッキはまともな職に就いてセユンを養いながら共に生きて行こうと決心していました。一方、ガンスンは単身でセユンに会いに行き、テッキは自分にとって必要な存在でありセユンは特別な存在でも何でもないと言い放ちました。セユンもまた自分にもそのような存在が必要だと一歩も引きませんでした。
そんなある日、テッキはセユンが電話に出ないことにしびれを切らし、自らセユンの元に向かいました。しかし、セユンは仲間たちと一緒におり、テッキを相手にしようとしませんでした。
怒りと嫉妬に駆られたテッキはたちまちセユンと殴り合いの喧嘩になりましたが、セユンはテッキを押さえ込むと堪えきれず涙を流しました。この日を最後にテッキとセユンは決別することとなり、テッキはガンスンの元に戻っていきました。
それから時は流れ、テッキはようやく詩集が売れ、人気詩人の仲間入りを果たしました。ガンスンとの間には子供も生まれ、テッキは幸せな日々を送っていました。そんなある日、テッキは偶然にもバイク便に転職したセユンと再会を果たしました。
セユンはあの時のことを振り返り、当時の態度を詫びたうえでこれからガンスンの元に生まれ来る子供が不憫だから、わざとあのような態度を取ったことを打ち明けました。今となってはもはやテッキとセユンは再び一緒になることはなく、一人残されたテッキは涙を流しました。
以上、映画「詩人の恋」のあらすじと結末でした。
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