ミス・ブロディの青春の紹介:1968年イギリス映画。全体主義が世界に影を落としている時代、スコットランドの古都を舞台として、美しく情熱に満ち芸術を愛しおしゃれで、しかし危険な女性教師ジーン・ブロディと女生徒たちとの交流と別れが描かれる。
監督:ロナルド・ニーム 出演者:マギー・スミス(ジーン・ブロディ)、パメラ・フランクリン(サンディ)、シリア・ジョンソン(マッケイ校長)、ゴードン・ジャクソン(ゴードン・ラウザー)、ロバート・スティーブンス(テディ・ロイド)
映画「ミス・ブロディの青春」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ミス・ブロディの青春」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ミス・ブロディの青春」解説
この解説記事には映画「ミス・ブロディの青春」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ミスブロディの青春のネタバレあらすじ:起・1932年、エディンバラ
自転車に乗って家を出るジーン・ブロディ。彼女はマーシア・ブレインという女子校の歴史教師だ。イタリアで過ごした夏休みが終わって、今日は新学期の始まりの日。ジーンの担当するクラスには二人の転校生が来る。そのうちの一人、吃音のあるメアリー・マクレガーは何に関心を持っているかたずねられて何にも関心がありませんと答える。そういう人に関心を与えるのが私の仕事だとジーンは言う。彼女はたとえどんな人が結婚を申し込んでも断る、私は青春の真っ盛りであり、それを皆さんのためにささげると宣言する。彼女はマーシア・ブレイン校の保守的な校風を馬鹿にする。善・真実・美が最も大事であり、青春――人生で一番素敵な時期――がそれらへの洞察をもたらしてくれる。あなたたちにもその時が来る。その時を余すところなく生きるようにとジーンは話す。そして彼女の青春、第一次世界大戦で戦死した自分の恋人の話をする。
ミスブロディの青春のネタバレあらすじ:承・ブロディの少女たち
ジェニー、モニカ、サンディというジーンのお気に入りグループに裕福な孤児であるメアリーが仲間入りする。四人は昼休みや週末もジーンといっしょに過ごした。とりわけ、音楽教師ゴードン・ラウザーが母親から相続した、郊外の村の広大な屋敷で週末を過ごすようになった。少女たちはジーンとゴードンがベッドを共にする間柄であることに気づいていた。一方、美術教師テディ・ロイドも街中にあるアトリエでジーンと不倫をしていたことがあり、復縁を願っていた。ある日、教室で二人がキスをしているのをメアリーが目撃する。彼女は口止めされるが他の三人がメアリーをいじめて隠し事をしゃべらせ、テディとジーンの関係も四人組の知るところとなる。校風に反するジーンを嫌うマッケイ校長は彼女を首にできる理由をさがしていたが、ジーンは私をやめさせるには私を暗殺する以外にないとゴードンや四人組に断言するのだった。
ミスブロディの青春のネタバレあらすじ:転・危険なブロディ
3年が経った。四人組は上級生になり、ジーンの担当をはずれていたが、しばしばジーンと集っていた。ジェニーはジーンが期待した通りテディの絵のモデルをするようになり、四人組はテディの街中のアトリエにも出入りしだした。ある日、雨に濡れたサンディが一人だけアトリエに長居をする。彼女は絵を見せてもらう。ジェニーの絵もテディの子供たちの絵も顔がジーンに似ていた。それを指摘するサンディの魅力に気づいてテディは彼女にキスする。サンディはあわててアトリエを飛び出す。四人は成熟した大人の女性になりつつあった。サンディからジェニーがテディのモデルを始めたことをきいたジーンはジェニーを自分の代わりにテディの愛人にしたてる夢を実現しようと考え、サンディにそれへの協力を依頼する。ジーンの見立てではジェニーが情熱的な恋にふさわしく、知的で洞察力に長けたサンディはそうではないのだ。ある日、ジーンが授業をしている教室にゴードンが飛び込んでくる。校長がジーンを呼んでいる。昔サンディとジェニーが図書館でいたずらをして書いたジーンからゴードン宛の偽手紙が本の間に挟まっていたのが発見されて校長に届けられたのだ。内容は求婚への断り。理由は生徒への献身とテディの存在だった。校長も手紙が偽物なのはわかっているが、ジーンの教え子が偽手紙でふくらませるセックスについて妄想が気に入らず、彼女に辞職を要求する。しかし、自分の仕事に誇りをもつジーンは証拠能力のない文書に基づく辞職を断固拒否し、自分の生徒への感化力を嫉妬しているのだと校長をやり込めて校長室を出る。ジーンの態度に感動したゴードンは何度目かの求婚をするが夢を絶たれる。教室でジーンは彼女のイタリア旅行のスライドを生徒たちに見せる。ムッソリーニへの彼女の崇拝を語り、うっとりとしてダンテとベアトリーチェの出会いを語るのだった。
ミスブロディの青春の結末:ブロディの暗殺者
サンディは全裸でテディのアトリエでモデルをしていた。彼女はジーンの政治的立場を批判する。ファシストのジーンはスペイン内戦の反乱側であるフランコ将軍のための基金を募ろうとしていた。だが、サンディが自分を描いた絵を見るとそこに描かれているのはまたしてもジーンだった。ジーンを愛することをやめられないというテディにあなたにモデルは必要ない、あなたは凡庸な画家よと言ってサンディは去っていく。兄が義勇兵として既に内戦に参加しているメアリーは、ジーンの影響でとうとうフランコ将軍側に参加すべくスペインに行ってしまう。ある日、新聞をもってサンディはジーンのアパートに急ぐ。ドアを叩くが、髪を洗っていたジーンは現れず、サンディはしかたなく帰ってしまう。ドアを開けたジーンはそこに落ちていた新聞にメアリーの顔写真を見る。放課後、ジーンは生徒たちを前にしてメアリーの追悼スピーチをする。列車でスペイン国内に入ったとたんに殺されたメアリーを大義のために死んだヒロインとして物語る。後ろで聞いていたサンディは決意を固めて校長室のドアをたたく。校長はジーンに、生徒に政治宣伝をしたという理由で彼女の解雇が決まったことを告げる。ジーンは不服を申し立てる、生徒たちは私に忠実だと言うが校長はそうかしらと言う。他の教員たちはゴードンと化学の先生の婚約を祝っていたが、彼女は教室へ行く。そこにはただ一人サンディがいた。自分の青春は去ったみたいだというジーン。ジェニーがテディの愛人になるという期待をいまだにもっているジーンに「自分がテディの愛人だ」とサンディは明かす。そしてメアリーの兄はフランコ将軍でなく共和国側でスペイン内戦を戦っていること、メアリーの死が無意味であることを言い、ジーンの虚栄心を批判する。ジーンはサンディが裏切ったことを知る。教室を出て去っていくサンディの背中に「暗殺者」とののしるのだった。学期が終わり、サンディ、ジェニー、モニカらは卒業する。校門を出たサンディの顔には涙が光っていた。そしてジーン・ブロディのことばがよみがえっていた。「…私の生徒たちは皆えり抜きの生徒です。感受性の強い年代の少女を私に任せれば、その少女は一生私のものです」。
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