1973年公開イギリス映画。
会計士チャールズは妻のベリンダの行動に不信感をもっていた。チャールズは私立探偵のクリストフォローに妻の行動を調査するよう依頼した。ベリンダは日頃のうっぷんを散歩によって紛らわせていただけだったのだが、探偵の尾行に気づき次第にその探偵自身に好意を抱いていくのである。ちょっとした疑惑からはじまった夫婦間の危機を描いていく。爽やかな幕切れがとても心地の良い後味となる。ロマンティックなラブロマンス映画。
映画「フォロー・ミー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「フォロー・ミー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「フォロー・ミー」解説
この解説記事には映画「フォロー・ミー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
【米国タイトルは”The Public Eye”】
これはもうドップリ雰囲気に浸かれる、爽やかで心地良いマコロンの香りのする映画である。場所はロンドン、ミア・ファロー扮するウエイトレスのべリンダは典型的なアメリカ娘、会計士の夫チャールズは格式ばった典型的なイギリスのジェントルマン。当然のごとく環境、性格の不一致による夫婦仲に溝が出来る。
【私立探偵 Private Eye】
べリンダはただ単に日常の倦怠を散歩で紛らわせていただけなのに浮気しているのではないかとチャールズは疑い、最近とみに留守がちになった妻の素行調査を私立探偵クリストフォルーに依頼する。これがあの「屋根の上のバイオリン弾き」のトポルで、ここでも実に巧い演技(眼技とでも言うべきか)を見せる。彼はハデハデの白いレインコートを着てポケットにマコロンを入れて毎日彼女を尾行し(ここからがぜん面白くなる)付かず離れずを繰り返し、最初は気味悪がっていた彼女もクリストフォルーの温かい眼差しで見守ってくれる姿にいつしか口こそ交わさないがお互い指差すものを見つめ同じものに感動し合い、目ですべてを解り合う。一方、夫は実際教養もあるのだが教師と生徒の関係みたいに色々質問したり難しいことを教えようとする。だから彼女はますます面白くない。しかしなんとかヨリを戻したい夫はクリストフォルーに嘆願するのだが・・・。
【調査の結果】
クリストフォルーは彼女にやましい所はない、だが恋人がいるかもしれないと報告する。チャールズは彼女にきつく迫ると自分は潔白の一点張りだが、ただいつも見知らぬ男が尾けてきて最初は気味悪かったが次第に心惹かれるようになったのは事実と告げる。それ以降彼女は家に帰らなくなり二人して必死に捜すが見つからない。そこでクリストフォルーは一計を案じ自分とベリンダが歩いた同じ道のりを付かず離れず式で同じことをチャールズにやらせる。とある晴れた日、少し離れた所からじっとベリンダを見つめているポケットにマコロンを入れ白いレインコートを着たチャールズが立っていた・・・。
【珠玉の佳品】
知性派のキャロル・リード監督に相応しく機知に富んだ会話もぎっしり詰まっていてラストの爽快感も最高!濡れたようなロンドンの街も美しい。あのジョン・バリーの『フォーロー~ フォーロー~』のメロディが聴こえてくるようだ。トポルとミア・ファローがあまりに素晴らしくこの映画は自分だけの宝物したかったのにTSUTAYAの発掘良品としてDVDリリースされたのは残念と言うか何と言うか・・・。(笑)
この映画「フォロー・ミー」は、「第三の男」や「オリバー!」などの名匠キャロル・リード監督が、ピーター・シェーファーのひと幕ものの舞台劇を映画化した作品で、テーマ曲も大ヒットし、ロンドンの穴場的なスポットを回るロケーションも楽しい、ロマンティックな恋愛劇の佳作です。
映画自体は小粒ですが、さすがにキャロル・リード監督の素晴らしさを堪能できる作品だと思う。
権威主義に凝り固まっているイギリスの上流階級の青年が、野育ちであまり教養もないアメリカ娘をお嫁さんに貰ったのはいいが、花嫁はこの固苦しいばかりで退屈な上流社会の生活が気づまりで、毎日外出してぼんやりとロンドンの街中を歩き回る。
夫はてっきり、妻が浮気をしているのだと思って探偵をつける。
するとこの探偵が尾行しながら、すっかり彼女を愛してしまう。
というストーリーそのものは、古風なお茶の間喜劇程度の材料で、特別新鮮味があるとも思えない。
1930年代、1940年代の風俗喜劇じゃないかとさえ思えてきます。
ただ、それが、花嫁にミア・ファローを配すると、ぐっと新鮮になって現代の空気感に満たされてくるし、探偵に「屋根の上のバイオリン弾き」で主役のテビエを演じたトポルを配すると、これがうまいのなんの、古いとか新しいとかいうことを抜きにして、心が和み、実に爽やかな気分にさせられてしまうんですね。
ミア・ファローは、何かあどけない子供のまんま大人になったような女優で、バッチリとその大きな瞳を、いつも何かおねだりするような眼差しにしている。
相手役はそこで、きっとイイ子だね、何をあげようか? という顔をすることになるんですね。
かつて彼女が出演した「ジョンとメリー」で彼女の相手役をしたダスティン・ホフマンもこういう表情がぴったりだったが、この映画でのトポルは、その点、申し分のない人の好さそうなところを、実に自然に見せてくれる。
トポルが、無言のまま、ゼスチャーでミア・ファローをロンドン中を案内する、お伽噺のような味わいのあるシークエンスが、その意味で、観ていて、実にいい気持ちになるんですね。