関心領域の紹介:2023年イギリス, ポーランド, アメリカ映画。第二次世界大戦下のアウシュビッツ強制収容所所長ルドルフ・ヘスとその家族を描いた、マーティン・エイミスの小説『The Zone of Interest』を映画化した歴史ドラマです。収容所の隣で穏やかに暮らすヘス所長一家と対照的な収容所の惨劇を交互に描き出していきます。
監督:ジョナサン・グレイザー 出演者:クリスティアン・フリーデル(ルドルフ・ヘス)、ザンドラ・ヒュラー(ヘートヴィヒ・ヘス)、ヨハン・カルトハウス(クラウス・ヘス)、ルイス・ノア・ヴィッテ(ハンス・ヘス)、ネレ・アーレンスマイヤー(インゲブリギット・ヘス)、リリー・フォーク(ハイデトラウト・ヘス)、ラルフ・ハーフォース(オズヴァルト・ポール)、ダニエル・ホルツバーグ(ゲルハルト・マウラー)、サッシャ・マーズ(アルトゥール・リーベヘンシェル)、フレイア・クロイツカム(エレオノーア・ポール)、イモゲン・コッゲ(リンナ・ヘンセル)ほか
映画「関心領域」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「関心領域」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「関心領域」解説
この解説記事には映画「関心領域」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
関心領域のネタバレあらすじ:起
第二次世界大戦下の1943年、ポーランド・オシフィエンチム郊外。ルドルフ・ヘスは妻のヘドウィグ、5人の子と穏やかな暮らしを送っていました。ルドルフはヘドウィグや子どもたちを湖畔に連れてピクニックを楽しみ、その翌日のルドルフの誕生日には家族全員でカヤックをプレゼントしました。
ルドルフの職場は自宅のすぐ隣にある、ユダヤ人を収容しては虐殺するアウシュビッツ強制収容所。ルドルフの職業はこの収容所の署長でした。収容所からは絶え間なく叫び声や怒号、銃声が鳴り響いていました。ルドルフを送り出したヘドウィグは銃声を全く気にすることなく子供たちと過ごしていました。ヘドウィグは家事全般は全て使用人に任せ、ユダヤ人の囚人から奪った衣服を子供たちや使用人に分け与え、自らは毛皮のコートをまとうなど優雅な暮らしを送っていました。
ルドルフは設計士を自宅に招き、彼が設計した焼却炉の設計図に目を通しました。それはユダヤ人の遺体を燃やすための火葬炉でした。その後、ルドルフは収容所の看守たちに誕生日を祝ってもらいました。その傍らではユダヤ人労働者が衛兵に怒鳴りつけられていました。
関心領域のネタバレあらすじ:承
夜、ポーランド人の少女が畑からリンゴを盗み、どこかのぬかるんだ土の中に埋めていました。
ヘスは子供たちと共に湖に出かけ、カヤック遊びに興じていました。すると湖の水が灰色に変わり始めました。それは収容所から湖に垂れ流されたユダヤ人たちの遺灰でした。
ナチス本部はルドルフがユダヤ人を“効率的に減らしている”として高く評価し、ルドルフにドイツの首都ベルリン北部のオラニエンブルクへの異動を命じました。オラニエンブルクにはヨーロッパ中のナチス強制収容所の管理を担うナチス親衛隊(SS)髑髏部隊の本部があり、ルドルフにとっては栄転でした。
ある日、ヘドウィグの母がルドルフ宅を訪れました。ユダヤ人嫌いであるヘドウィグの母は娘や孫との再会を喜び、ヘドウィグが玉の輿に乗ったことを讃えると、ヘドウィグは自分は“アウシュビッツの女王”だと自慢げに語りました。一家が穏やかに過ごしている間も、隣の収容所では絶え間なく銃声や悲鳴が鳴り響いていました。
ルドルフはヘドウィグに昇進と転属を告げ、一家全員でオラニエンブルクに引っ越すことになったと告げましたが、ヘドウィグはここの優雅な暮らしを手放したくないために猛反発しました。ヘドウィグは自分たち一家はアウシュビッツに残るからルドルフは単身赴任するよう言いました。
その夜、ヘドウィグの母は窓の外の収容所から立ち上る煙を目の当たりにし、収容所で何が起きているのか悟りました。娘一家の優雅な暮らしがユダヤ人の犠牲の上に成り立っていることに気づいたヘドウィグの母は何も告げずにルドルフ宅から去っていきました。
関心領域のネタバレあらすじ:転
盗んだリンゴを土の中に隠していた少女はこっそり収容所に忍び込み、ユダヤの囚人たちのためにとこっそりリンゴなどの果物を置いていきました。
翌朝、母の書置きを見たヘドウィグは怒り出し、使用人にきつく当たり散らしました。家の外では昨晩少女が置いていったリンゴを巡って言い争いが勃発、兵士の怒号や銃声が鳴り響いていました。ルドルフ宅の庭ではユダヤ人の遺灰が肥料として撒かれていました。
ルドルフは単身オラニエンブルクに到着しました。ルドルフは各地の収容所の長が集う会議で自分がどれだけユダヤ人を処分してきたかをアピールし、アウシュビッツ収容所を拡大してハンガリーのユダヤ人70万人を移送する計画を提案しました。ルドルフの働きは高く評価され、ユダヤ人移送局長官アドルフ・アイヒマンに報告するとまで言われましたが、その一方でルドルフは健康診断では正常と判断されるも精神的に気分が優れず、眠れない日々を送るようになっていきました。ルドルフにとってはオラニエンブルクはどうしても馴染める土地ではありませんでした。
関心領域の結末
ルドルフの後任の所長となったアルトゥール・リーベヘンシェルが解任され、ルドルフは再び所長としてアウシュビッツに返り咲くこととなりました。ルドルフはヘドウィグに電話をかけ、アウシュビッツに戻れることになったことを告げましたが、彼の様子がどこかおかしいことに気づいたヘドウィグは早々と電話を切りました。本部を出たルドルフは階段を下り始めましたが途中で吐き気に襲われ、真っ暗な廊下を見つめていました―――。
―――そして現代。アウシュビッツ強制収容所は今では博物館となり、展示コーナーが設けられていました。そこには収容されたユダヤ人たちの遺品の数々、そして犠牲者たちの写真が飾られていました。―――。
―――時はルドルフの時代に戻り、吐き気が収まったルドルフは再び真っ暗な階段を下りていきました。
以上、映画「関心領域」のあらすじと結末でした。
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