スパイナル・タップの紹介:1984年アメリカ映画。架空のロック・バンド「スパイナル・タップ」。彼らの全米ツアーの模様を撮影したという“フェイク・ドキュメンタリー”形式で作られた作品。60年代に結成され、時代の流行に合わせて演奏スタイルも変えるという、ポリシー皆無のバンド、スパイナル・タップ。メンバー全員がやることなすこと支離滅裂なロック・バカのため、ツアー先ではトラブル続出。米ローリングストーン誌の「最も素晴らしい映画の架空バンド」で1位に輝いた、伝説のUKバンドのドタバタ・ロック・コメディ。
監督:ロブ・ライナー 出演者:クリストファー・ゲスト(ナイジェル)、マイケル・マッキーン(デヴィッド)、ハリー・シェアラー(デレク)、ロブ・ライナー(マーティ)、トニー・ヘンドラ(イアン)、ジューン・チャドウィック(ジャニーン)ほか
映画「スパイナル・タップ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スパイナル・タップ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「スパイナル・タップ」解説
この解説記事には映画「スパイナル・タップ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スパイナル・タップのネタバレあらすじ:起
「英国ロック史上、最も騒がしいバンド」と呼ばれた伝説のグループ、スパイナル・タップ。彼らのドキュメンタリー映画を撮影する監督マーティは、全米ツアーに同行しながら、彼らのとんでもないロック魂を目の当たりにすることになります。まずは中心メンバーのナイジェル、デヴィッド、デレクの3人が、インタビューでバンドの経緯を語ります。64年の結成時、スーツにマッシュルームカットという、ビートルズの模倣スタイルで「Give Me Some Money(金をくれ)」と明るく歌う彼ら。その後ヒッピー・ムーブメントが来ると、バンドのコンセプトを“フラワー・チルドレン”にあっさり転向。サイケなファッションで「聞いてフラワー・ピープル」と歌う姿はまるっきり別人。バンド名も、オリジナルズ、ニュー・オリジナルズ、レギュラーズと変更につぐ変更で、ひたすら迷走を繰り返します。その間、なぜかドラマーだけが、家庭園芸中の事故やステージ上の自然発火で次々怪死していくという負の連鎖も経験。そんな混乱の時代を乗り越え、ついに80年代へ。スパイナル・タップはバリバリのハード・ロック・バンドと化し、長髪にスパッツ姿で、悪魔だ地獄だと絶叫するヘヴィ―なスタイルに定着。年齢的にはすでにオッサンの老舗バンドが、ニューアルバムを引っ提げて全米ツアーへと出発します。
スパイナル・タップのネタバレあらすじ:承
ツアーは快調にスタート。観客の歓声を浴びて、デヴィッドは「オレの彼女はデカい尻」とシャウトします。しかしニューアルバムは、ジャケットの絵柄が卑猥すぎるとレコード会社からクレームが入り、まさかの発売中止に。一方、楽屋ではナイジェルが、監督マーティに自慢のギターコレクションを披露します。ナイジェルが「これ最高」と大絶賛するアンプを見ると、最大音量目盛が「11」。「普通は10までしかないが、オレには音が小さすぎるから11まで作った。すごいだろ」とドヤ顔のナイジェルに、「目盛は10のままで、機械の音さえ大きくすればいいのでは」と冷静に突っ込む監督。その後、広告予算不足がたたって、大きな会場は次々とキャンセルに。激怒したイアンは、イギリス人らしくクリケットのバットを振り回して暴れます。そんな中、デヴィッドの恋人ジャニーンが、ツアーに同行するためイギリスからやって来ます。バンドの仕事にいちいち口を挟むジャニーンに、ナイジェルは内心、怒り気味。メンフィスでは、敬愛するエルヴィス・プレスリーの墓参りに訪れるメンバー。しんみりと「ハート・ブレイク・ホテル」をハモろうとしますが、何度やってもキーが合わずに墓石の前で揉めた挙句、ぐだぐだに歌って「インド調だな」。数日後、新しいデザインに変更されたニューアルバムがバンドのもとに届きますが、手に取ったナイジェルとデヴィッドはびっくり。なんとビートルズの「ホワイトアルバム」に対抗したのか、全面まっ黒。イアンは言います。「今こそ、イメチェンのターニングポイントだ」。
スパイナル・タップのネタバレあらすじ:転
会場は小さくなったものの、順調にライブをこなしていくスパイナル・タップ。「女もいらない名声もいらない」と歌うデヴィッド。ドラム担当も「今のところ生きながらえてるよ」と前向きです。しかし、レコード店で開いたサイン会にやって来たファンの数はゼロ。気をとりなおし、ライブ前に全員で「ロックンロール!」と叫んでステージに向かうも、迷路のような楽屋の通路で迷子に。いつまでたってもステージにたどりつけず、ぐるぐる歩きまわるメンバーを待って客席がダレるという状況に。東洋思想や星占いに傾倒するジャニーンは、メンバーの星座をあしらったコスチュームを勝手にデザイン。怒りが爆発したナイジェルは、負けじと斬新なライブ演出を計画。ステージ上に巨大なストーン・ヘンジを鎮座させようと提案します。これには全員が大賛成しますが、完成したストーン・ヘンジを見て驚愕。フィートとインチの区別がつかないナイジェルが注文サイズを間違え、できあがったストーン・ヘンジはお子様用の椅子サイズ。黒魔術風なおどろおどろしいステージの上にちょこんと置かれて、見事に浮きまくります。さらに、ストーン・ヘンジの周りを小人が踊り出すという演出のため、まるでメルヘンのようなステージに。またもや大ゲンカになる一同ですが、今度はイアンがブチ切れます。「バンドを守っているのはオレなのに、なんでオレだけドラッグも女もないんだよ!」。イアンはマネージャーを辞めました。ジャニーンは「私がバンドの面倒をみる」と高らかに宣言。本格的にバンドを仕切り出したジャニーンに、堪忍袋の緒が切れたナイジェル。ついにバンドを脱退します。
スパイナル・タップの結末
ナイジェル不在で人気は急降下。ライブ会場はどんどん小規模になります。空軍基地のダンスパーティで演奏すればうるさがられ、遊園地では人形劇と共演という目もあてられない状況に。ジャニーンは言います。「大丈夫。人形よりも私達の控え室のほうが大きいから」。ナイジェル脱退は、想像以上のダメージでした。激しいパートは全てナイジェル担当だったため、今や演奏もジャズなのかプログレなのか判別不明という有り様。追い打ちをかけるようにタンバリンを叩き出すジャニーン。観客は完全にドン引きです。ステージの上、ヤケになったデヴィッドは言います。「バンド名を変えました。スパイナル・タップ・マーク2です」。そして、ツアー最終日。「ガキの前で演奏するのはもう嫌だ。オレはロック・オペラをやりたい」と言い出すデレクに、デヴィッドも「ロンドン音響楽団とやろう」と答え、完全に方向性を失うスパイナル・タップ。そんな時、楽屋にナイジェルが姿を現しました。「オレらの曲が日本でチャートインしてる。再結成してジャパン・ツアーをやらないか」。ナイジェルを睨みつけるジャニーン。ナイジェルへの怒りがくすぶっているデヴィッドも全くとりあわず、そのままステージに上がります。ステージ横で、バンドを見守るナイジェル。ついにデヴィッドは、ギターを弾きながらナイジェルに「来いよ」と合図します。ナイジェルの顔が輝き、ステージに飛び出すと、熱いギター・プレイでデヴィッドに応えます。そして、ライブの場所は日本に。東京のステージで、大喝采を浴びるスパイナル・タップ。客席ではマネージャーに復帰したイアンがニコニコ顔です。スパイナル・タップは、見事に復活を遂げたのです。
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