パリ空港の人々の紹介:1993年フランス映画。パスポートを盗まれたアルチュロはフランスへ入国できず、トランジット待合室へ。そこで彼は様々な事情を抱えた人々に出会う。
監督:フィリップ・リオレ 出演:ジャン・ロシュフォール、ティッキー・オルガド、マリサ・パレデス、ラウラ・デル・ソル、イスマイラ・メイテ、ソティギ・クヤテ、ジャン=ルイ・リシャール、ほか
映画「パリ空港の人々」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パリ空港の人々」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「パリ空港の人々」解説
この解説記事には映画「パリ空港の人々」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パリ空港の人々のネタバレあらすじ:起・入国に必要なもの
カナダからフランスへ帰って来たアルチュロ。しかしカナダの空港でで貴重品ごとをパスポートを盗まれた彼は、入国審査のゲートをくぐれない。アルチュロは自分がカナダとフランスの二重国籍、現在はイタリア在住で、妻はスペイン人だった。彼が自分の出身地や住所等を言うと、コンピューターにデータは出てくるが、顔写真がなく本人確認が取れない。日曜の夜に大使館などやっておらず、そちらでの確認も取れず、アルチュロは写真が送られてくるまでロビーの長椅子で待っているように言われた。外では彼の妻が、夫の鞄がターンテーブルに回っているのを見つける出てこないアルチュロを探していた。長椅子で寝ていると、少年に新入りかと声をかけられた。父親の迎えを待っていると言う少年について、アルチュロは立入禁止区域にあるトランジット客待合室に入った。そこにはすでに先客が住み着いていて、その中の女性に出て行けと言われるが、セルジュと名乗る男性にこっそり肉料理を出してもらった。
パリ空港の人々のネタバレあらすじ:承・待合室の面々の事情
夜の空港の中を少年と散歩していると、入管の柵越しに妻に会った。そこで、パスポートがなく、写真の確認ができずフランスに入国ができないと言う事を話した。アルチュロはゾラと名乗った少年に連れられ待合室に戻って眠ることにした。一方、妻は警備員に案内されて空港内のカプセルホテルに泊まった。 翌朝、朝食の準備中、セルジュは戦争の兵役の回想録を描いていること、夜中から機械いじりをしている男性は8、9年前にドイツにいたこと、出て行けと言った女性はコロンビアで国籍を剥奪されて国外追放され、ヨーロッパに飛んだはいいが、国籍がない以上どこの国にも入国ができずここに返されていことが分かった。昼になり、アルチュロが出て行こうとすると、フランスの旅券は若いころのもので今の顔とは判別がつかず、カナダ大使館に問い合わせようとするが、明日は元旦なので返事は期待できなかった。ゾラに飛行機を見に行こうと誘われるままに、他の乗客と同じように昼間は歩いた。飛行機を見ながらゾラはパイロットになりたいと語った。
パリ空港の人々のネタバレあらすじ:転・それぞれの生きる方法
望遠鏡をのぞいていると、待合室の二人が滑走路にいるのを見つけた。そして、警察に見つかったアルチュロは、貨物車に乗り空港の裏側へ。外で見つけた二人と合流し、調理場に兎を売りに行った。これが彼らの収入源だった。アルチュロはシャワー室でコロンビアのアンジェラに政治亡命を勧めたけれど、今の彼女には自分の身分を合法的に証明できず不可能だった。裏道を使えば彼らは税関も乗り超え、実質フランスに入ることもできた。けれども見つかれば不法入国で即逮捕が待っている。 セルジュは、キオスクにキオスクの人に原稿を持って行ったが。アルチュロが古株の男性について口を挟んだせいで返されてしまった。夕飯の材料を買い込み談笑しながらエスカレーターに乗っている所を彼の妻は見ていた。 ゾラの父親は10日前にギニアに強制送還され、ゾラも明日の飛行機でギニアへ帰ることになったと待合室に連絡が来る。帰ったらパイロットになれないとゾラは駄々をこねた。料理中、奥さんから待合に掛かって来た電話で、アルチュロはアンジェラを巡って夫婦喧嘩をしてしまう。
パリ空港の人々の結末:パリの街で大晦日を
アルチュロは、ゾラのために机にあるものでパリの地図を机に描いた。そして大晦日で警官も税関もいないから、遊覧船に乗りに行こうとみんなを誘った。バスからパリの街並みを眺める面々だったが、到着すると最終の船が出た後だった。それでも、故障して停泊している船に乗せてもらい、そこからエッフェル塔を眺めた。新年祝い合い、パリは星が見えないと故郷を懐かしむアンジェラに、ローマで会おうとアルチュロは言った。そして、夢破れて気がめいったと言うセルジュを連れて空港へ帰って来た。 翌朝、妻は出発ロビーで彼を探そうと朝一で開いた空港会社のチケットを買い、出発ロビーに入った。 空港事務所には顔写真が届き、即刻出るように言われた彼は、アンジェラとゾラのために電話番号を残して待合室を出た。しかし今度は妻が空港から出られなくなっていた。 空港を出たアルチュロの後ろにゾラが付いてきた。大人になってから来なさいとと一度は行ってみるものの、二人は徒歩でパリに向かうことにした。
以上、映画のあらすじと結末でした。
パリ空港の人々のレビュー・考察:何者でもない者が集う場所
空港のロビーというのは、出国してから次の国へ入国するまで、どこの国にも属さない特殊な空間である。そんな空間であるからこそ、自分たちが何者であるか法的に証明できない彼らがまるで吹き溜まりのように集まっている。当人からすれば、自分が何処の誰かなど説明ではできても、それを他者に説明するにはどうしたらいいのだろうと言う点で、この作品は「自分とは何者なのか」という事をもう一度考える機会を与えてくれる。
トラブルで空港で夜を過ごすことになった男の話と、その空港に暮らす人々との一日のお話です。いろんな人がいろんな理由で、空港に留まることになっています。不安の中で空港に留まらざるを得ない人々・・・。そんな人々との交流は温かいものもあり、攻撃的なものもあります。映画をあまり見ない母がとても気に入っている作品なので、またDVDをレンタルしていつか母と見たいと思っています。