ありがとう、トニ・エルドマンの紹介:2016年ドイツ,オーストリア映画。公開されるやいなや、世界各国で異例の大ヒットを記録した話題作。仕事ひとすじの人生を送る娘を心配するあまり、何かとちょっかいをかけてしまう父親。その暴走する愛情に、うんざりする娘だったが…。第29回ヨーロッパ映画賞において、作品賞、監督賞、脚本賞、男優賞、女優賞の5部門を制覇。淡々と描かれるストーリーの中に、独特のユーモアセンスが光るシリアス・コメディ。
監督:マーレン・アデ 出演者:ペーター・ジモニシェック(ヴィンフリート/トニ・エルドマン)、サンドラ・ヒュラー(イネス)、トリスタン・ビュッター(ティム)、トーマス・ロイブル(ゲラルロ)、イングリットテンビス(アンカ)、ハデヴィック・ミニス(タチアナ)、ルーシー・ラッセル(ステフ)、ヴラド・イヴァノフ(イリエスク)ほか
映画「ありがとう、トニ・エルドマン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ありがとう、トニ・エルドマン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ありがとう、トニ・エルドマンの予告編 動画
映画「ありがとう、トニ・エルドマン」解説
この解説記事には映画「ありがとう、トニ・エルドマン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ありがとう、トニ・エルドマンのネタバレあらすじ:起
ドイツに暮らす、ヴィンフリート。あり余るユーモア精神と茶目っ気で、いつも周囲をけむに巻く愛すべき中年男です。ヴィンフリートが人生でもっとも愛するもの、それは愛犬のウィリーと、一人娘のイネスでした。ある朝、年老いたウィリーが庭で冷たくなっている姿を見たヴィンフリート。悲しみを抱いたまま、イネスの働くブカレストへと旅立ちます。驚いたのは、いきなり父親に押しかけられたイネスです。イネスは、ブカレストの大手コンサルタント会社で働くキャリアウーマン。ヴィンフリートとは正反対の、実直でユーモアに欠ける性格です。仕事に追われ、慌ただしい日々を送る娘の身を心配するヴィンフリート。大使館のお偉方と契約交渉真っ最中のイネスのもとにいきなり現れます。怪しい父親の登場で契約の雲行きが怪しくなり、イネスは激怒。しかしヴィンフリートからウィリーの死を聞き、父親の悲しみを癒すべく気を配ります。それでも親子の仲はうまくいかず、ヴィンフリートは寂しくホテルへ帰って行きます。
ありがとう、トニ・エルドマンのネタバレあらすじ:承
イネスが任されたプレゼンの日。結果は振るわず、上司のゲラルロは渋い顔です。その夜、イネスが女友達のタチアナ、ステフとレストランにいると、黒髪のカツラと入れ歯で変装したヴィンフリートが現れます。驚くイネスをよそに、自分はトニ・エルドマンという名で、コーチングもしているビジネスマンだとステフ達に嘘をつくヴィンフリート。彼はその後もトニの姿でイネスの前に登場し、イネスの恋人ティムを厳しい目でチェックします。その行動はエスカレートし、ついにイネスの留守中に部屋に侵入。帰宅したイネスをカンカンに怒らせます。反撃したイネスは、ヴィンフリートを交渉相手のイリエスクのオフィスに同行させ、プロジェクトの協力者だと紹介します。イリエスクに案内されて2人が向かったのは、大勢の作業員が働く廃止予定の抗井。イリエスクは容赦なく作業員に解雇を言い渡し、ヴィンフリートは心を傷めて抗議します。そんな父親の姿を見たイネスは、世の中きれいごとでは合理化できないと、帰りの車の中で厳しい言葉を投げかけます。
ありがとう、トニ・エルドマンのネタバレあらすじ:転
ヴィンフリートは、一軒の家に車を走らせます。パーティで出会ったある婦人の家で、ヴィンフリートは彼女に、自分は大使館の人間だと嘘をついていたのです。家ではパーティの真っ最中。大勢の友人や家族が楽しんでいます。ヴィンフリートは、イネスのことを秘書だと紹介してパーティに参加。楽しんだお礼にピアノを演奏し、イネスにホイットニー・ヒューストンの「グレイテスト・ラブ・オブ・オール」を歌わせます。いやいや歌い出したイネスですが、次第に心が高揚して最後は熱唱。しかし歌い終わると家をとびだし、残されたヴィンフリートは座り込みます。ヴィンフリートが大使館の人間ではないと見抜いていた婦人に声をかけられ、ヴィンフリートは思わず娘を心配する父親の気持ちを吐露します。
ありがとう、トニ・エルドマンの結末
イネスの家で行われる誕生パーティの日。準備に追われるイネスは着る服も決まらず、最初に訪れたステフを全裸で迎えてしまいます。思わず今日は裸のパーティよと言ってしまうイネス。ステフは呆れて帰って行き、後から来たティムも自分をからかう冗談だと思って帰ってしまいます。しかし、イネスを尊敬する助手のアンカ、そしてゲラルロも全裸で参加します。気まずい雰囲気の中、新たな客が現れます。それは真っ黒な毛むくじゃらの被り物姿の大男。アンカとゲラルロはあっけにとられますが、イネスはすぐにヴィンフリートだとわかります。黙って出て行くヴィンフリートを追いかけたイネスは、パパ!と叫んで抱きしめ、帰っていきます。その後、父娘は祖母の葬式で再会します。イネスは転職し、シンガポールで新たな生活を始める予定です。ヴィンフリートはイネスに祖母の遺品を見せて話しかけます。娘の小さな頃を思い出すが、その瞬間はどれほど大切なことか気づかないものだと。イネスは父親の言葉をかみしめ、ヴィンフリートの入れ歯をはめておどけてみせるのでした。
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