君がくれたグッドライフの紹介:2014年ドイツ映画。尊厳死という複雑なテーマを、時にはシリアスに、時にはユーモアを交えて描くロードムービー。ドイツに住む36歳のハンネスは、妻キキと友人4人の自転車旅行を計画する。それは毎年の恒例イベントだったが、今年はいつもと違った。ハンネスはALS(筋委縮性側索硬化症)を発症しており、行き先は「尊厳死」を認めているベルギーに決めていた。ハンネスは、旅の目的地で自らの命を終わらせようと考えていたのだった。彼から旅の本当の目的を聞かされ、驚きと悲しみを隠せない仲間達がとった行動とは…。トロントを始め世界各国の映画祭で絶賛された今作。主演は、ドイツのテレビドラマや映画で活躍する国民的俳優、フロリアン・ダーヴィト・フィッツ。
監督:クリスティアン・チューベルト 出演者:フロリアン・ディヴィッド・フィッツ(ハンネス)、ユリア・コーシッツ(キキ)、フォルカー・ブルッフ(フィン)、ヴィクトリア・マイヤー(マライケ)、ヨハネス・アルマイヤー(ドミ)、ユルゲン・フォーゲル(ミヒャエル)、ミリアム・シュタイン(ザビーネ)、ハンネローレ・エルスナー(イレーネ)ほか
映画「君がくれたグッドライフ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「君がくれたグッドライフ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
君がくれたグッドライフの予告編 動画
映画「君がくれたグッドライフ」解説
この解説記事には映画「君がくれたグッドライフ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
君がくれたグッドライフのネタバレあらすじ:起
ドイツに暮らすハンネスと妻のキキ。2人は毎年、自転車旅行に出掛けるのが恒例でした。共に出掛けるメンバーはいつも同じ。ハンネスの弟フィン、女性と見ればナンパする独身貴族のミヒャエル、そして優しいドミとしっかり者のマライケ夫婦の4人です。今年の行き先は、ハンネスとキキの意見でベルギーに決定。なんでベルギーへ?と不満をもらすメンバーもいましたが、皆が明るく出発します。休憩に入った店で、6人は“課題ゲーム”を始めます。皆が自分の右隣に座った者に“秘密の課題”を出し、出された者は旅行中に必ず実行しなければならないのです。ハンネスはキキへの課題に“スカイダイビング”と書きます。マライケがキキからもらった課題は“違法行為”で、ドミはフィンから“乱交パーティ”の課題を受け取ります。フィンは冗談のつもりだったものの、ドミからそれを聞いたマライケは呆れ返ります。ドミはセックスレスの夫婦関係に不満を抱いていましたが、マライケはいつもドミを冷たくあしらうのです。翌朝、6人はハンネスの母親と兄家族が住む家に立ち寄ります。そこでハンネスは自分がALS(筋委縮性側索硬化症)を発症したこと、そして余命3~5年だということを告白します。ハンネスとキキが行き先をベルギーに決めたのは、尊厳死が法的に認められている国だったからです。
君がくれたグッドライフのネタバレあらすじ:承
兄の告白にショックを受けたフィンは、自分にまで内緒にするなんてと怒りを見せます。母親もハンネスに考え直してほしいと言いますが、ハンネスの気持ちは変わりません。ハンネスの父親もまたALSで亡くなっていて、辛い思いをした母親を見てきたのです。仲間達も驚きのあまり黙り込みます。ハンネスは、もう誰もベルギーへ行こうとはしないだろうと考えます。しかし翌朝、旅支度を整えた仲間達がハンネスを待っていました。母親とベルギーで落ち合う約束をし、遅れてきたフィンも一緒に6人で自転車を走らせます。レストランで休憩していると、突然ミヒャエルが女装をして現れます。ミヒャエルの課題は“女になる”だったのです。皆は大笑いし、グラブで踊り盛り上がります。ザビーネという女性がミヒャエルに声をかけ、2人は一夜を共にします。翌朝、ミヒャエルはベルギー国境までザビーネを同行させると言い、皆を呆れさせます。ハンネスの容態は次第に悪化しますが病人扱いされることを嫌がり、キキは困惑します。テントで夜を過ごした翌朝、ザビーネの明るさが皆の心を溶かします。雨上がりのぬかるみでころんだハンネスでしたが、ふざけた仲間達も泥の中に飛び込み、全員が泥だらけになってふざけ合います。町に入ると、ミヒャエルがフィンに課題を強要します。フィンの課題は“エホバの証人を殴りたい”でした。ミヒャエルが連れてきたエホバ信者の男性を前にしてたじろぐフィンに、ハンネス達は大笑いします。
君がくれたグッドライフのネタバレあらすじ:転
キキはザビーネにハンネスを失う恐怖を打ち明け、ザビーネは涙ぐみます。その夜、ホテルでまたもやマライケに冷たくされて、ついに堪忍袋の緒が切れたドミ。ホテルを飛び出し、“乱交パーティ”の課題を叶えるために怪しいクラブを訪れます。ドミの後を追って店に入ったマライケは、下着姿の女性達といる夫の姿を見て愕然とします。そこで自分も見知らぬ男性に近づいていきます。全てが終わり、ドミとマライケは気まずい空気の中、互いに謝罪し抱き合うのでした。一方、キキはホテルの部屋で酔っぱらって泣いていました。国境に着くのが耐えられないと泣くキキを、ハンネスが抱きしめます。翌日フィンは、ドミに愚かな課題を出してしまったことをマライケに謝り、マライケも笑って許します。自転車で走る途中、マライケは課題の“違法行為”を実行します。たむろする若者グループに近づき、堂々とマリファナを手に入れたのです。大胆なマライケに仲間達はびっくり。ベルギー国境に着き、ザビーネは皆と別れを告げます。その夜、キャンプでフィンはハンネスに言います。ALSの検査を受けたが自分は違った。ごめんと泣き出すフィンを、ハンネスが強く抱きしめます。ハンネスは皆を集め、自分が死んだ後も自転車旅行は毎年続けてほしいと言います。しかしキキだけは承知せず泣き出します。全てを一人で決めた夫が許せないのです。怖くないの?と尋ねるキキに、怖いよとハンネスは涙をこらえて答えます。
君がくれたグッドライフの結末
翌朝、母親と合流し、ハンネス達はファン・デン・ベルフ医師のもとを訪れます。ところが出迎えた看護師は、医師が昨日事故にあったと言います。予想外の出来事に茫然となるハンネス。全員が浜辺に座り込み、しばらく海を眺めます。キキの電話が鳴り、もう一人の顧問医グロテクラスから連絡が入ります。実行は明日に決まりました。その夜、ホテルの部屋でハンネスとキキが抱き合います。マライケがハンネスに出した課題は“雨の中で踊る”でした。2人は笑い、雨の中でダンスします。翌日、ハンネスをはじめ、全員が約束の場所へやってきます。そこはベッドが置かれた、海の見える広い部屋。顧問医がやって来て、ハンネスに手順を説明します。その後、ハンネスに仲間達ひとりひとりが別れを告げます。最後にキキと見つめ合い、キスをして「愛してる」と言葉を交わします。ベッドに横たわるハンネスの肩をキキが抱きます。全員が見つめる中、医師はハンネスの腕に針を刺し、薬を注入します。ハンネスは静かに瞼を閉じました。そして1年後。キキが両手を広げて、バンジージャンプで谷底へ落ちて行きます。仲間達とハンネスの母親が、キキの勇姿を見守り歓声を上げました。その後彼らは、1年前にハンネスと座ったあの浜辺に並んで座ります。音楽をかけ、ハンネスに思いを馳せる彼ら。浜辺には大きな砂文字で〈ハンネス ここにあり〉と書かれていました。
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