頭上の敵機の紹介:1949年アメリカ映画。第二次世界大戦中、イギリスに駐留し、ナチス・ドイツに空爆を展開していたアメリカ陸軍第8空軍の兵士たちを、指揮官として派遣された将校の使命と部下との信頼関係に苦悩し葛藤する姿も併せて描いた戦争ドラマです。アカデミー賞で助演男優賞(ディーン・ジャガー)と音響賞を受賞しています。
監督:ヘンリー・キング 出演者:グレゴリー・ペック(フランク・サヴェージ准将)、ヒュー・マーロウ(ベン・ゲートリー中佐)、ゲイリー・メリル(キース・ダベンポート大佐)、ミラード・ミッチェル(パトリック・プリチャード少将)、ディーン・ジャガー(ハーヴェイ・ストーヴァル少佐)、ポール・スチュワート(カイザー軍医)、ジョン・ケロッグ(ジョー・コッブ少佐)、ロバート・アーサー(マクレニー軍曹)ほか
映画「頭上の敵機」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「頭上の敵機」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
頭上の敵機の予告編 動画
映画「頭上の敵機」解説
この解説記事には映画「頭上の敵機」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
頭上の敵機のネタバレあらすじ:起
1949年、休暇のためロンドンを訪れたアメリカ人弁護士ハーヴェイ・ストーヴァル(ディーン・ジャガー)は、とある骨董屋でどこかで見たことのあるようなトビー・ジョッキ(老人の顔を象った陶器製のビアジョッキ)を見つけました。
店主からそのジョッキが第二次世界大戦の最中にイギリスに駐留していたアメリカ陸軍航空軍の飛行場があったアーチベリーで入手したことを知ったストーヴァルはこのジョッキを買い求め、今はすっかり荒れ果てて牧草地と化したアーチベリー飛行場跡へと向かいました。
かつて第二次世界大戦中にアメリカ陸軍航空軍第918航空群所属の軍人だったストーヴァルは、かつての激戦の日々に想いを馳せていました…。
頭上の敵機のネタバレあらすじ:承
時は1942年。アメリカ陸軍第918航空群はこのアーチベリー飛行場を拠点として連日ナチス・ドイツに対する無謀な白昼爆撃を敢行していましたが、ドイツ軍の猛反撃により極限の疲労に達した兵士たちの士気は低下するばかりでした。
航空司令キース・ダベンポート大佐(ゲイリー・メリル)は部下の身を案じるばかり士気低下の対策を取れず、またダベンポート自身もカイザー軍医(ポール・スチュワート)から休養が必要との診断を受けていました。
爆撃精度向上のため低空での作戦を命じられたダベンポートは司令部に駆け込み、上官で友人のフランク・サヴェージ准将(グレゴリー・ペック)に作戦は危険度が高いと抗議しました。サヴェージは第8空軍司令官パトリック・プリチャード少将(ミラード・ミッチェル)に第918航空群の相次ぐ作戦失敗を問われ、任務よりも部下を重視するダベンポートの人の良さが欠点になっているとして彼は指揮官に不適格だと進言しました。
プリチャードはダベンポートを解任、代わりにサヴェージを第918航空群の新指揮官に任命して部隊の大改革に乗り出しました。
サヴェージは当時副官だったストーヴァル少佐を伴って赴任、酒に酔っていた飛行司令のベン・ゲートリー少佐(ヒュー・マーロウ)をダベンポートの足を引っ張ったとして解任に追いやると代わりにジョー・コッブ少佐(ジョン・ケロッグ)を新たな飛行司令に据え、自分の意思に従わない者は基地を去れと言い放って早速厳しい訓練を課しました。
サヴェージはカイザー軍医の忠告を無視して断固とした厳しい態度を取り、第918航空群のパイロット全員が耐え兼ねて異動願を出す事態となりました。サヴェージの真意を知るストーヴァルは意図的に異動願の処理を引き延ばし、サヴェージは自ら出撃の陣頭指揮を執り続けました。
頭上の敵機のネタバレあらすじ:転
第918航空群はその後も異動希望者が減ることはありませんでしたが、厳しい訓練を経て戦列に復帰しました。サヴェージは自らB-17爆撃機に乗り、他の航空群が悪天候により帰還していくなか無線機の故障を口実に帰還命令を無視、1機も失うことなく敵の重要拠点を爆撃することに成功しました。
帰還したサヴェージはプリチャードから帰還命令無視を責められましたが、サヴェージは部下の奮闘を称えるよう直訴しました。サヴェージは解任を覚悟していましたが、サヴェージの真意を理解した兵士たち全員が異動願を取り下げ、サヴェージは引き続き指揮を執ることになりました。
第918航空群は本格的にドイツ本土爆撃に出撃し、作戦を成功させた航空群の兵士たちは徐々にプライドを取り戻していくと共にサヴェージとの絆を深めていきました。この作戦で負傷したゲートリーを見舞ったサヴェージは、カイザー軍医からゲートリーが以前の出撃で負った傷が癒えぬまま戦い続けていたことを知らされ、ゲートリーを大佐に昇進させることを決めました。これまでサヴェージに反発的だったゲートリーでしたが、サヴェージの真意を知って涙しました。第918航空群のバーの暖炉にはあのトビー・ジョッキがありました。
やがて第918航空群は最高司令部からの最重要指令としてドイツ空軍の軍需拠点の爆撃命令が下り、サヴェージは精鋭揃いで挑むことにしましたが、プリチャードは部下に情が移ったサヴェージがダベンポートと同じ過ちを犯さないか危惧するようになりました。
頭上の敵機の結末
ドイツ軍の迎撃が激しくなるなか、サヴェージ率いるB-17の編隊はコッブら犠牲者を出しながらも作戦を遂行していきました。プリチャードは翌日の作戦も指揮を執ろうとするサヴェージを第8空軍本部に戻そうと画策しますが、サヴェージは自分抜きでは第918飛行群は成り立たないとして異動に応じず、プリチャードもサヴェージの意思を尊重せざるを得ませんでした。
翌日、サヴェージはこれまでの作戦の中でも最も危険な任務に臨もうとしましたが、心身ともに疲労の限界に達していたサヴェージは出撃直前で錯乱状態に陥ってしまい、B-17編隊はゲートリーが代わりに指揮を執って出撃していきました。
基地に残ったサヴェージは統合失調状態に陥り、症状は一向に回復しませんでしたが、やがて第918飛行群が作戦を成功させて帰還したことをダベンポートから知らされたサヴェージはようやく落ち着きを取り戻しました。サヴェージはダベンポートに見守られながら眠りにつきました…。
それから時は流れて1949年。ストーヴァルは買い取ったトビー・ジョッキを元あった第918航空群のバーの暖炉の上に置き、想い出を振り返りながらその場を後にしました。
以上、映画「頭上の敵機」のあらすじと結末でした。
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