隣の影(別題:あの木が邪魔で)の紹介:2017年アイスランド,デンマーク,ポーランド,ドイツ映画。北欧のテラスハウスを舞台に、些細なことで起こった隣人トラブルがとんでもない惨劇へと発展する様を描いたブラック・コメディ要素ありの不条理サスペンス作品です。監督・脚本は本作が長編映画2作目となる“北欧ニューウェーブ”の俊英ハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソンが勤め、アイスランドのアカデミー賞にあたるエッダ賞で作品賞や監督賞など主要7部門で受賞するなど高い評価を得ました。
監督:ハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン 出演者:ステインソウル・フロアル・ステインソウルソン(アトリ)、エッダ・ビヨルグヴィンズドッテル(インガ)、シグルヅル・シグルヨンソン(バルドウィン)、ソルステイン・バフマン(コンラウズ)、セルマ・ビヨルンズドッテル(エイビョルグ)、ラウラ・ヨハナ・ヨンズドッテル(アグネス)ほか
映画「隣の影」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「隣の影」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
隣の影の予告編 動画
映画「隣の影」解説
この解説記事には映画「隣の影」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
隣の影のネタバレあらすじ:起
短い夏が訪れたばかりのアイスランド・レイキャビク。この街に住むアトリ(ステインソウル・フロアル・ステインソウルソン)は妻アグネス(ラウラ・ヨハナ・ヨンズドッテル)や娘と共に共同住宅に住んでいましたが、この住宅は壁が薄く、夜は隣からする喘ぎ声のせいで寝付けませんでした。
眠れないアトリはこっそりと元恋人と以前に撮ったプライベートポルノを見て楽しんでいましたが、運悪くアグネスに見つかってしまい、彼女に浮気を疑われて家を追い出されてしまいました。
仕方なくアトリは、郊外の閑静な住宅街で暮らす老いた両親(父・バルドウィン(シグルヅル・シグルヨンソン)、母・インガ(エッダ・ビヨルグヴィンズドッテル))の住むテラスハウスに身を寄せることにしました。
バルドウィン・インガ夫妻の隣にはコンラウズ(ソルステイン・バフマン)とエイビョルグ(セルマ・ビヨルンズドッテル)夫妻が住んでいるのですが、このテラスハウスの庭には1本の大きな木があり、この木のせいでコンラウズ・エイビョルグ夫妻とは表面的には冷静さを取り繕っているものの、両者の関係は決して良好なものとはいえませんでした。
コンラウズとエイビョルグ夫妻は現在妊活中で、エイビョルグはテラスで日光浴をし、愛犬アスクルの散歩をしたりと健康に配慮しているのですが、庭の大木が二人の家に大きな影を落としているうえに、エイビョルグが日光浴の最中にバルドウィンが堂々と電動芝刈り機でこまめに庭の芝刈りをすることから、コンラウズ夫婦はその度にバルドウィン夫婦に抗議をしているのですが、全く聞き入れてもらえません。それどころか、勝気で口達者のインガはコンラウズ夫妻のことを快く思っておらず、事あるごとに嫌がらせをしていました。
隣の影のネタバレあらすじ:承
出戻りしたアトリですが、インガは彼を快く思ってはいませんでした。アトリよりも長らく消息不明になっているアトリの兄ウッギを寵愛していたインガは、家の鍵を変えてアトリを家から閉め出してしまいました。仕方なくアトリはアグネスの職場に乗り込み、強引に自宅の鍵を奪おうと試みましたが、失敗に終わりました。
ある日、バルドウィンの車が何者かにパンクさせられ、インガはコンラウズ夫妻の仕業だと決めつけました。元来温厚な性格のバルドウィンは、エイビョルグに不審者がいなかったかどうか確認するだけで事を穏便に済ませようと考えていましたが、結局インガとコンラウズが言い争いになったことをきっかけに両家の対立はより一層深刻化していきました。
どうしても娘に会いたい一心のアトリは娘が通う幼稚園に出向いて連れ出そうとしましたが、保育士からアグネスはアトリとの離婚を望んでおり、親権はアグネスがもらうことになっているとして拒否されてしまいます。アトリは強引に娘を外に連れ出し、束の間の楽しいひと時を過ごしましたが、なんとアグネスは警察まで呼んでしまっており、大騒動となってしまいました。
その頃、バルドウィンはインガに言われるがままに庭を監視するカメラを設置しました。一方、インガは愛猫クスクスを大切に飼っていましたが、そのクスクスが忽然と姿を消してしまい、インガはコンラウズ夫妻の仕業だと思い込んでしまいます。しかし、コンラウズは完全否定したばかりか、木を切り倒すためのチェーンソーを準備していました。
隣の影のネタバレあらすじ:転
アトリとアグネスの間は完全に決裂、バルドウィンがアグネスのもとを訪れても状況は変わりませんでした。アグネスは既にアトリを相手取って裁判の準備を進めており、アトリは元恋人のアドバイスを受けて法廷で反撃する準備をすることにしました。
コンラウズが木を切ろうとしていることに気付いたバルドウィンは庭にテントを張って見張ることにし、アトリが見張り役を買って出ました。バルドウィンとアトリはウッギはとっくに死んだものだと考えており、インガがいつまでもウッギを諦めきれないことを嘆きつつ、男同士で意気投合して酒を酌み交わしました。
しかし、いつまでもクスクスが戻ってこないことにしびれを切らしていたインガは、ある企みを思いついていました。
翌日、インガはコンラウズ夫妻の愛犬アスクルを肉で誘き寄せ、そのまま車で連れ去ると“エイビョルグ”名義でとある施設に預け入れました。アスクルがいなくなったことに気付いたコンラウドはインガに尋ねてみましたが、インガはしらを切るばかりでした。
インガに軽くあしらわれたことに腹を立てるコンラウズでしたが、エイビョルグは人工授精に踏み切る決意を固めており、コンラウズはエイビョルグのことを優先することにしました。ところが、人工授精を終えて帰宅したコンラウズ夫妻が目の当たりにしたのは、何と剥製にされたアスクルの姿でした。
隣の影の結末
エイビョルグは激しいショックを受け、コンラウドはアスクルの剥製を抱えてバルドウィン邸に怒鳴り込みました。バルドウィンとアトリはインガの仕業だと気付きましたが、インガは愛猫クスクスがいなくなったことに比べれば大したことはないと言い張るばかりでした。
その夜、アトリはテントでパソコンを開き、娘のためにも離婚しようという内容のアグネスからのメールを読みました。
深夜になり、コンラウズはバルドウィン家の監視カメラを破壊、チェーンソーで木を切り始めました。それに気づいたバルドウィンは慌ててコンラウズを止めようとしましたが、木は倒れてテントを押し潰し、中で寝ていたアトリの命を奪ってしまいました。
アトリの最期を看取り、呆然としたまま病院から帰宅したバルドウィンは、意を決してコンラウズ家に乗り込みました。バルドウィンとコンラウズは口論の末に激しい殺し合いとなり、最後は二人とも相打ちになって死亡しました。
夏が終わり、季節も冬が近づいていました。一人残ったインガは庭の木の切り株を見つめながら煙草を吸っていました。そこにはクスクスが何事もなかったかのようにふらりと戻ってきていました。
以上、映画「隣の影」のあらすじと結末でした。
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