美しい小さな浜辺の紹介:1948年フランス映画。海辺の小さな町のホテルを舞台に、運命に翻弄され苦悩する青年の姿を、永遠の貴公子と呼ばれ、若くしてこの世を去ったG・フィリップが演じた作品。降り続く雨の中を歩き続ける彼の姿が印象的。
監督:イヴ・アレグレ 出演:ジェラール・フィリップ、ジャン・セルヴェ、マドレーヌ・ロバンソン、ジュリアン・カレット、モナ・ドール、ほか
映画「美しい小さな浜辺」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「美しい小さな浜辺」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「美しい小さな浜辺」解説
この解説記事には映画「美しい小さな浜辺」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
美しい小さな浜辺のネタバレあらすじ:起
フランスのとある小さな町、海辺の古びたホテルに一人の青年ピエールが雨の中をやってくる。女将や近所に住む常連客が季節外れにやってきた客にあれこれと訪ねるが、ピエールはためらいがちに宿帳への記入をすると、療養のためにやってきたのだと告げる。
従業員のマルトに案内されたピエールは自分を凝視する老人と目が合う。女将の伯父である老人がかつてはホテルを営んでいたが、3年前に倒れて以来、体が不自由で言葉も話せなくなり、今では女将がホテルを引き継いでいた。
翌朝、ピエールが散歩に行くと言って出た後に1台の車がホテルの前に止まる。夕べパリからの客が来たと聞いた車の男フレッドは、近くの修理工ジョルジュのガレージに車を預けると、自らもホテルに滞在を決める。
近くの浜辺を散歩していたピエールは、石造りの”要塞”を見つけ、中に入ると懐かし気な笑みを浮かべていると、そこに少年がやってくる。ピエールは話しかけようとするが彼は無言のまま走り去ってしまう。
ひとしきり町を歩き回ってホテルに戻ったピエールは、ホテルを抜け出した少年を女将が折檻しているところを目にする。女将は食事を提供しながら、少年が戦争孤児で、役立たずだが女も嫌がる仕事をさせていると話し、末は犯罪者だと言う女将の言葉を聞いたピエールは思わず手に力が入りワイングラスを割ってしまう。
美しい小さな浜辺のネタバレあらすじ:承
部屋でマルトに手の怪我を手当てしてもらっていた彼は、彼女の優しさに一時心を和ませるが、その時、階下で女将がかけたレコードから有名歌手の歌声が流れ、それを聞いたピエールがはじかれたように部屋を飛び出す。
そんな彼の様子を窺っていたフレッドは少年に金を渡し、ピエールが外出したらすぐさま知らせるように命じる。
ある晩、ピエールがいつものように雨の中を散歩にでると、少年から報告を受けたフレッドはピエールの部屋と荷物を探るが目当てのものは見つからない。ほどなくピエールはホテルに戻るが、女将が常連客や宿泊客のクリエル夫妻らとくだんの有名歌手が殺されて宝石が盗まれたらしいと話しているのと聞くと、再び外へ出てしまい、皆が怪訝そうにしている中で彼を気にかけていたマルトが後を追う。
マルトは雨の中たたずむピエールを浜辺の小屋に案内すると、彼は子供のようにマルトの膝に頭を預ける。ピエールに自分と同じ孤独を感じ取ったマルトは、自分もかつてベルギーで辛い生活を送っていたことを話し、彼の苦悩を慰める。
しばらくしてホテルへ戻ろうとした2人は、入れ違いで少年と宿泊客のクリエル夫人が忍んで来るのに出くわし、ピエールは、夫人が毎週末ホテルを訪れて夫が寝たすきに少年と情事を重ねていることを知る。
美しい小さな浜辺のネタバレあらすじ:転
翌日、ピエールは浜辺で貝拾いをしている少年を見かけ、自分もかつて同じように下働きをしていて貝拾いをしたのだと親し気に話しかけるが、少年はやはり無言のまま立ち去ってしまう。彼は何かと話しかけてくるピエールに探られているような警戒心を抱いていたのだった。
ホテルの食堂にいたピエールはクリエル夫人に話しかけられ、逃げ出す間もなく女将や常連客に囲まれてしまう。そこで再び有名歌手のレコードをかけながら、女将は昔歌手がホテルにきたこと、その頃使っていた下働きの少年が彼女の出発とともに消えたことを話して聞かせる。
犯人は死刑にすべきだというクリエル夫人の言葉を聞いたピエールは、こらえきれずにプレイヤーを放り投げると、部屋から降りてきたフレッドと目が合う。
かつてホテルから歌手とともに消えた少年、そして歌手を殺したのはピエールだった。作曲家であるフレッドは盗んだ宝石の分け前ほしさに彼を追ってきたのだったが、ピエールは殺しはしたが宝石は盗んでいないとフレッドを殴りつける。目当てのものが見つからなかったフレッドはジョルジュのガレージから車を出し、警察へ電話をしてから去って行く。
美しい小さな浜辺の結末
警察への通報の内容を偶然聞いていたジョルジュとマルトは、すぐさまピエールをベルギーへ逃がす手はずを調え、迎えの車がくるまで彼はジョルジュの部屋で過ごす。そこでなぜ直ぐに居場所が知れるこの地へやって来たのかと聞かれた彼は、もう一度見ておきたかった、密告されるのも覚悟で当時の主人だった老人にも会っておきたかったのだと答える。
そして翌朝早く、彼はジョルジュが眠っている間に別れを告げて部屋を出る。
浜辺に向かう途中、ホテルを前を通りかかったピエールは裏庭で水を汲んでいる少年を見ると、かつて自分もこのホテルで同じように辛い下働きをしていて、同じように歌手に誘われ、辛い生活から逃げ出すために彼女について行ったが、その後は惨めな5年間を過ごしたこと、それに耐えられず彼女を殺してしまい全てを失ったことを告白し、数年でこの辛さから解放されるはずだから、逃げずに耐えるよう言い聞かせて去って行く。
その話を聞いて、少年は初めてピエールが自分のことを気にかけてくれていたことに気づく。
迎えの車が来る前にピエールが姿を消したと知ったマルトは、彼は自分なりの逃げる方法を見つけたことを悟り、彼を探して浜辺の”要塞”にやってきた少年は、中で見つけた銃を手に驚愕の表情で出てくると、銃を捨て走り去るのだった。
以上、映画「美しい小さな浜辺」のあらすじと結末でした。
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