ビバリウムの紹介:2019年ベルギー,デンマーク,アイルランド映画。夫婦やカップルにとっては一生の夢でもあるマイホーム。憧れのマイホームを購入しようと捜し歩いていた若いカップルが案内された物件は、脱出不可能な迷路のようなものだった…。見渡す限り同じような居住空間、きれいな感覚で並んだ家々、その美しすぎる様相が恐怖をさらに増長させてくれます。
監督:ロルカン・フィネガン 出演:ジェシー・アイゼンバーグ(トム)、イモージェン・プーツ(ジェマ)、ジョナサン・アリス(マーティン)、ダニエル・ライアン、モリー・マキャン、セナン・ジェニングズ、ほか
映画「ビバリウム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ビバリウム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ビバリウムの予告編 動画
映画「ビバリウム」解説
この解説記事には映画「ビバリウム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ビバリウムのネタバレあらすじ:起
カッコウが他の鳥の巣に卵を産み付けて去っていきます。卵からかえったカッコウの雛は、他の雛たちを次々と巣から落としていき、やがて自分だけになってしまいました。その親鳥はカッコウの雛が明らかに自分より大きい状態になっても懸命に餌を与え、雛はすくすくと大きくなっていくのでした。
小学生の先生をしているジェマ(イモージェン・プーツ)を恋人のトム(ジェシー・アイゼンバーグ)が迎えに来ました。二人はこれから新居を探しに行く予定です。不動産屋に到着し、担当セールスマンのマーティン(ジョナサン・アリス)が話しかけます。
そして二人はマーティンに言われるがまま、新しく手掛けている分譲住宅地の「ヨンダー」に連れてこられるのでした。同じデザイン、同じ色の住宅が並ぶこの住宅地、人っ子一人おらず、ある種異様な雰囲気が漂っていました。
そして二人は9番の家に連れてこられます。仕方なく家の中を見て回る二人は、案内してくれたマーティンがいなくなっていることに気づきます。外に出るとマーティンの車もありません。二人は自分たちの車で帰ろうとしますが、何度も9番の家の前に戻ってきてしまうのです。それを繰り返していくうちに車の燃料がなくなってしまい、9番の家に泊まるしかなくなってしまいました。
ビバリウムのネタバレあらすじ:承
翌朝、トムが屋根に上って周りを見てみると、同じ家がただ並んでいるだけでした。太陽に向かって歩いていけば、ひょっとしたら帰れるのではと、ただひたすらに歩いてみても、やはり9番の家に戻ってきてしまいます。
家を燃やして火事にしてしまえば誰かが気付くだろうと思い、燃やしてみたものの誰も出てくる気配はありません。それどころか次の朝になると、燃やした家は元通りになっているのです。
どういうことか分からない二人、やがてジェマは道の上に段ボールが置かれていることに気づきます。段ボールを開けてみると、なんと男の子の赤ちゃんが入っていたのです。そして「育てれば開放する」というメッセージを見つけました。
その赤ちゃんは不思議なことに3カ月ほどで7歳児ほどの大きさに成長してしまいます。この人間離れした子供をトムもジェマも到底愛せるわけもなく、妙に大人びていてどこかおかしい子供に嫌気がさしてしまいます。
ビバリウムのネタバレあらすじ:転
ある日、トムは庭の土が少し変わっていることに気が付きます。その日から庭に穴を掘り続けることに快感を覚えたトムは、やめられなくなり狂ったように穴掘りに没頭していってしまいます。
精神的にも体力的にもおかしくなり始めたトムは、ついに子供を殺すことを決意、実行しようと動き出したところ、嫌々ながらも子供に対し母性を感じ始めていたジェマに止められてしまいました。
それを境にトムとジェマは一緒にいることがなくなってしまいます。トムは穴掘りにさらに没頭し、ジェマは子供と常に一緒にいるようになっていきました。しかしジェマは衝撃の事実を知ってしまいます。喉袋を大きく膨らませ、聞いたことのないような音を出す子供、ジェマは彼が人間でないことを知ってしまうのでした。
さらに時は過ぎ、少年だった子供はもう青年になってしまいました。事実を知ったジェマは子供を避けるようになっていきます。再びトムと一緒にいるようになりましたが、トムの体調はもう限界まで悪化していました。
それでも穴を掘り続けたトム。トムが誰かの頭蓋骨を掘り当てたとき、トムの容態は急変します。それに気づいたジェマは助けを求めに家へ向かいますが、扉は閉められていてジェマが助けを求めても家の中にいる青年は無視を決め込みます。
ビバリウムの結末
トムはジェマの腕の中で感謝の言葉を告げ、やがて息を引き取りました。悲しむジェマの前にさっきまで無視を決め込んでいた青年が現れます。青年は無表情でトムの死体を死体袋に入れると、無造作にトムが掘っていた穴に死体を放り込みました。
ジェマはその後、青年の不意を突いて攻撃しました。不意打ちを食らった青年は驚き、奇声を上げて四つん這いで逃げていきます。そして道端の端を掴み隙間を作ると、その隙間に逃げ込んだのです。
それに気づいたジェマはギリギリで隙間に滑り込み、青年の後を追います。そこはパラレルワールドのような世界になっていて、そこにいるジェマたちとは別のカップルが彼ら同様に連れてこられ、やがて絶望し死んでいく姿を目の当たりにしてしまいます。そして最後にはまた9番の家の前に立っていたのです。
ジェマにもまたトムのような体調の変化があり、それはもう限界を迎えていました。衰弱して倒れこんだジェマのもとにやってきた青年が死体袋に入れようとしています。「親というものは子供を育て、迎え来る死を待つだけだ」と語る青年に「私はお前の親ではない」と吐き捨てたジェマは、力尽き果て息絶えました。青年はトムの時と同じようにジェマの死体を穴に放り込みました。
そして青年は車に乗り、マーティンのいる不動産屋へ向かいます。そこには老衰で亡くなってしまったマーティンがいました。青年はマーティンの死体から名札を取り、自らつけると、その死体を処分します。そして新しくやってきた若いカップルに、自分がマーティンとして声をかけるのでした。
以上、映画「ビバリウム」のあらすじと結末でした。
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