図鑑に載ってない虫の紹介:2007年日本映画。「あのさ、悪いんだけど、一回死んでくれない?」唐突な始まり方に度肝を抜かれつつも、ビビッドな世界観、独特なギャグセンスにぐいぐい引き込まれる中毒性の高い作品です。それを飲むと一度死んで、生き返れるという「死ニモドキ」を探して、あっちへこっちへ奔走するハイスピードコメディです。
監督:三木聡 出演者:俺(伊勢谷友介)、エンドー(松尾スズキ)、サヨコ(菊池凛子)、目玉のおっちゃん(岩松了)、チョロリ(ふせえり)ほか
映画「図鑑に載ってない虫」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「図鑑に載ってない虫」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「図鑑に載ってない虫」解説
この解説記事には映画「図鑑に載ってない虫」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
図鑑に載ってない虫のネタバレあらすじ:起
月刊「黒い本」の編集社に勤める「俺」は、ある日編集長から「一回死んでくれない?」と唐突に切り出されます。それを飲むと一度死んで、再び生き返れるという「死ニモドキ」を探して、臨死体験レポを記事にしろというのです。編集長に多額の借金がある「俺」は、渋々ながらも仕事を引き受けるのでした。オルゴール職人エンドーを仕事に誘い、「死ニモドキ」の謎を突き止めに出かけます。 いまのところ手がかりは、真島というカメラマンの存在のみ。この男は、「俺」の前に「死ニモドキ」の捜査に乗り出し、行方不明になってしまっていたのでした。ひとまず真島の自宅を訪れる二人でしたが、やはり家には誰もおらず、手がかりらしきものと言えば、「師匠」の文字とピップエレキバンの貼られたメモ書きのみ。一方、エンドーは勝手に冷蔵庫のプリンを食べたり、5千円札を盗んだりとやりたい放題。結局、はっきりとしたことは分からないまま、自宅を後にしようとすると、入れ違いでヤクザが訪ねてきます。鯉のぼりの布をそのままシャツにしたような、大きな目玉のついた服をきたヤクザを、エンドーは「目玉のおっちゃん」と呼びだします。関わりたくない「俺」はそそくさと立ち去ろうとしますが、目玉のおっちゃんに呼び止められ、「死ニモドキ」についてどこまで知っているのか探りを入れられます。
図鑑に載ってない虫のネタバレあらすじ:承
エンドーが盗んだ5千円札にはボート屋の電話番号がメモしてありました。さっそく車を走らせ、ボートを借りて海に浮かぶ漁船へ移動し、船長に話を聞きますが、有益な情報を一つも得られないばかりか、エンドーは海へ突き飛ばされてしまいます。エンドーが溺れたと思った「俺」はひとしきり海を探すも見つからず、しょんぼりと陸へ戻ってきますが、エンドーはちゃっかり先に戻っているのでした。「俺」を待っている間に「一度死ねる」という謳い文句が書かれたSMクラブのチラシを拾ったというエンドー。一応行ってみることにした二人ですが、既に店仕舞いをしている最中でした。もう日も沈みきっています。行くアテのないSM嬢、サヨコを連れて、仕方なく帰路につくのでした。サヨコは「死ニモドキ」の話を聞いて、自分の持っている「猿の手」の体験談を話します。なんでも、死んだおばあちゃんに「猿の手」を握らせたら生き返ったという、どこまでが本当か分からないような話でした。その夜、行きつけのモツ煮込み屋で不毛な作戦会議をする「俺」、エンドー、サヨコ。そして何故か仲間に入った、目玉のおっちゃん。帰り道では、エンドーが駐車場の生乾きコンクリートに足跡をつけたりと、またも余計な事をしてその日はお開きとなりました。
図鑑に載ってない虫のネタバレあらすじ:転
次の日、エンドーは公園で仲良くなったホームレスから、偶然にも真島のカメラをもらいます。目玉のおっちゃんも、情報通の舎弟チョロリにキーワード「師匠」で何か心当たりはないか持ちかけますが、こちらはロクな情報が得られませんでした。一方、現像に出したフィルムの中には「臨死体験ショー」という看板を掲げた怪しげなテントの写真がありました。現像屋の話によると、それはお祭りの見せ物だそうで、さっそく「俺」とサヨコが向かいます。そこで、不気味な「半分男」によるなんとも悪趣味なショーを見せられた二人は、直接「半分男」に真島の消息を訪ねに行くのでした。どうやら、「死ニモドキ」というのは虫だそうで、師匠というのが「死ニモドキ」使いの末裔とのこと。師匠につながる手がかりは、またしてもエレキバン。堂々巡りになるかと思われたそのとき、チョロリが「乞食の巣」という所に「師匠」がいるという情報を持ってきます。
図鑑に載ってない虫の結末
「乞食の巣」は最初のボート屋の近くにありました。どうにかこうにか潜入すると、なんとそこには真島もいたのでした。「師匠」は全身をエレキバンで覆われた男で、「死ニモドキ」についていろいろと話してくれました。どうやら昔、海女さんが海深くまで潜るときに使われていたとのこと。古株の海女さんを訪ねに海の家まで車を走らせる一行。無事捕獲方法も聞き出し、案外あっさりと捕獲。いよいよ「俺」とエンドーで「死ニモドキ」を試すも、「俺」は少し気を失っただけで特に何も変化がありません。ところがエンドーは、みるたびに肌の色がコロコロと変わり、いっこうに目を覚ます気配がありません。慌てて救急車を呼ぶも、「俺」を待たずに救急車は出発してしまい、行方が分からなくなってしまいます。それどころか、それ以降サヨコ、目玉のおっちゃん、チョロリとも連絡がつかなくなり、駐車場のコンクリートには変わらずにエンドーの足跡だけが残っているのでした。それから一年後の夏。「俺」はサヨコの実家を訪ねてみる事にします。出迎えてくれたのはサヨコの母親と名乗る女性。サヨコの母親は10年前に亡くなったと聞かされていた「俺」は困惑します。いつのまにかアイスを食べながら、なんと10年前に亡くなったのは娘のサヨコだと言うのです。訳が分からなくなりながら、「俺」もアイスをもらおうと勝手に冷蔵庫をあけると、そこには「猿の手」が一本入っていました。まさかと思いつつ、「猿の手」をつかんだ「俺」は勢いよく生者の世界に引き戻されたのでした。あと少しで火葬場で焼かれる所だった「俺」は生きていることを目一杯噛み締めながら、原稿に向かいますが、死んでいた分〆切には間に合わず、編集長への借金が増えただけだったのでした。
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