初恋の紹介:2006年日本映画。日本史上最大の未解決事件である三億円事件の実行犯は女子高生だった、という設定のもとで展開される切ない青春ドラマ。
監督:塙幸成 キャスト:みすず(宮崎あおい)、岸(小出恵介)、ユカ(小嶺麗奈)、タケシ(柄本祐)、テツ(青木崇高)、ヤス(松浦佑也)、亮(宮崎将)、柏田(藤村俊二)ほか
映画「初恋 (2006)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「初恋 (2006)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「初恋 (2006)」解説
この解説記事には映画「初恋 (2006)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
初恋 (2006)のネタバレあらすじ1
60年代後半、東京。女子高生のみすずは、孤独な少女でした。父親は幼いころに亡くなり、母親はある日兄を連れて出ていきました。叔父の家に居候していますが、煙たがられています。学校にも友達はいませんでした。ある日みすずは新宿にあるジャズ喫茶Bで、そこにたむろする若者たち(亮、ユカ、タケシ、テツ、ヤス、岸)と出会います。Bに行ったのは、数日前に長い間会っていなかった兄の亮が現れ、何かあったときはここに連絡しろとBのマッチを渡されたからでした。亮はBにたむろするメンバーのリーダー的存在でした。
初恋 (2006)のネタバレあらすじ2
みすずはBのメンバーと親しくなります。生まれて初めて仲間という感覚を味わうみすず。以前は決して笑わなかったみすずも彼らと過ごす時間が多くなるにつれて、笑顔が増えていきました。そしてそれと同時に、仲間の一人で、ひとりだけ他とは違う雰囲気を持つ東大生、岸に少しずつ惹かれていくのでした。ある日みすずは岸に呼び出され、ある計画への協力を依頼されます。岸の計画は現金三億円を乗せた現金輸送車を白バイ警官に扮して強奪するというものでした。岸はは国家や権力を憎んでおり、それらに知力で挑戦するための計画でした。
初恋 (2006)のネタバレあらすじ3
そして岸は、この計画を実行できるのはみすずしかいないと考えていました。みすずは以前に、岸の紹介でバイク屋の柏田から無免許でバイクや車の運転を習っており、また、女性であることから犯人の対象にはならない、決して捕まらないと考えていたのでした。みすずは困惑しますが、岸に必要とされた喜びで、計画の実行犯となることを承諾するのでした。その日から岸とみすずは二人で特訓を始めます。みすずは岸と過ごせる時間を嬉しく思う一方、計画によってつながっている関係のため、この計画が終われば岸に会えなくなるのではないかと不安に思うのでした。
初恋 (2006)のネタバレあらすじ4
1968年12月10日、計画は実行されます。予想外の事柄がいくつか起きるも、みすずは輸送車の強奪に成功します。後日、みすずと岸は海辺にある別荘地の使われていない別荘に忍び込み、計画の成功を祝いつつ共に時間を過ごします。以前から、計画を実行した後はしばらく行方をくらますと話していた岸は、自分には必要なくなったからと不測の事態のために借りていた本郷にあるアパートの部屋の鍵をみすずに渡します。この部屋で岸を待っていていいか、待っていたら会えるかと問うみすずに、岸はなるべく早く戻ると話します。そんな岸に、もう一人は嫌だとみすずは言うのでした。
初恋 (2006)のネタバレあらすじ5
後日、岸はある男と部屋で話をしています。岸は実は現職の大臣の息子であり、盗んだ紙幣のうちでナンバーの公開された紙幣と共に声明文をマスコミや政治家に送りつけ、内閣や国家に揺さぶろうとするも失敗した様子でした。岸は男に3億円を持って、海外へ消えるようにと脅されるのでした。事件後、受験勉強に励んでいたみすずは、東大に合格します。合格発表の帰り、みすずは本郷のアパートに向かい、後日住み始めるのでした。
初恋 (2006)の結末
その後もみすずは本郷のアパートで一人でした。岸を待ち続けている様子ですが、岸は帰らず、連絡もありません。ある日みすずは、以前岸がいつも読んでいた本を部屋で見つけます。その中にはみすずと岸が出会った日のことが書かれていました。二人がBで初めて会った日、岸はみすずに恋をしていたのです。岸とみすずは両思いでした。みすずは本を抱きしめて泣くのでした。その後のある日、スーツ姿でどこか晴れやかな表情で、新宿を颯爽と歩くみすずの姿がありました。主題歌と共に、Bのメンバーのその後が記されています。その中で、岸は消息不明。「1975年12月10日、三億円事件は時効を迎えた。盗まれた紙幣は未だに一枚も使われていない。」この言葉と共に昔と現在の新宿の街が映し出され、映画は終わります。
孤独に生きてきたみすずが初めて仲間たちと出会う、1960年代の新宿の街並みやジャズ喫茶の店内には味わい深いものがありました。時代の流れが急激に変化していく中で、権力を憎む若者たちのエネルギーに満ち溢れていて胸を打たれました。三億円事件の真犯人に迫りながらも、いくつかの謎を残しながら終わっていくストーリーが心に残りました。