メメントの紹介:2000年アメリカ映画。クリストファー・ノーランがメガホンを取ったミステリー作品。原作は小説「メメント・モリ」であり、時系列における未来から過去へと遡るという斬新なストーリー構成をとっている。オチの読めない映画として好評。妻をレイプされ殺されたレナードは記憶が10分しか保てない障害を抱えながらも妻を殺した犯人への復習を誓い犯人探しに乗り出します。
監督:クリストファー・ノーラン 出演:ガイ・ピアース(レナード)、キャリー=アン・モス(ナタリー)、ジョー・パントリアーノ(テディ)、マーク・ブーン・Jr(バート)、スティーヴン・トボロウスキー(サミー)、ジョージャ・フォックス(レナードの妻)、ハリエット・サンソム・ハリス(サミーの妻)、カラム・キース・レニー(トッド)、ラリー・ホールデン(ジミー)、ほか
映画「メメント」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「メメント」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
メメントの予告編 動画
映画「メメント」解説
この解説記事には映画「メメント」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
※この映画は結末から過去へと物語が進んでいきますが、ストーリー展開をわかりやすくするため序盤から後半へと記述していきます。
メメントのネタバレあらすじ:起
レナード(ガイ・ピアース)は最愛の妻と共に幸せな毎日を送っていましたが、ある日、彼の家に強盗が入ります。妻はレイプされた上に殺され、それを止めようとしたレナードは犯人ともみ合いの末、頭を強打してしまいます。
その怪我の影響で、レナードは記憶障害を患ってしまいます。過去の記憶はありますが、怪我以降の記憶に関しては10分間しか保てなくなったのでした。レナードはすでに強盗犯を射殺していましたが、怪我の前に彼が見た犯人は2人いました。
メメントのネタバレあらすじ:承
もう1人にも復讐を果たすため、レナードは独自で犯人を探し始めます。レナードは次々と薄れて行く記憶をとどめるために、見た事、会った人物は必ずメモをし、そしてその中でも重要な事は体に刺青を彫っていきす。
しかし、実は彼の復讐は既に1年前に終わっていたのです。 レナードは友人テディ(ジョー・パントリアーノ)の協力を得て、すでに犯人を突き止め、そしてテディと共にその犯人を殺していましたが、レナードはその事を忘れてしまっていたのです。
メメントのネタバレあらすじ:転
レナードは自分の身体に”復讐は終わった”と彫ることも出来ましたが、「妻を殺した犯人を殺す」という目的がないと生きていけないようになっていたのです。そのため敢えて、彼は自分が復讐を果たした事を忘れるようにしてきました。
テディはそんなレナードを見て、彼を利用するようになります。レナードに”犯人”を殺させ、そして自分はその殺人をうまく利用して金儲けをしていたのです。
メメントの結末
ある日、レナードはふとした事からテディが自分を利用していることに気が付きます。しかし10分後の自分はおそらくその事を忘れてしまっているため、テディの写真と共に「ヤツを信じるな」というメッセージを書き残します。
そして”次の自分”がテディが真犯人としてたどり着くように、レナードは今まで集めてきた証拠にいくつかの情報を書き足しました。そして過去の自分の狙い通り、10分後からの自分は、真犯人としてテディに迫っていきます。
そして物語の最後、(映画では一番序盤にあたりますが)テディという”犯人”を無事に殺害します。そして10分後のレナードは、新たな犯人を求め、動き始めるのでした。
以上、映画「メメント」のあらすじと結末でした。
「メメント」感想・レビュー
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大好きな映画です!
この映画は、エンディングからオープニングに向かってストーリーが進行します。10分しか記憶が持たない主人公を体験するためのアイデアですが、これが面白い!10分ごとに、伏線があって「あーそういうことか」の繰り返しです。ストーリー自体も面白いですが、見せ方でこんなにも面白くなるのかと感心させられました。
ノーラン監督の作品はハズレなしですが、これは特にオススメ! -
“クリストファー・ノーラン監督が仕掛ける、ストーリーが逆行する予測不可能な復讐劇「メメント」”
この映画「メメント」は、目の前で妻をレイプされ、殺されたショックで10分前の記憶を忘れてしまう記憶障害に陥った男が、ポラロイド写真と肉体に記したメモだけを頼りに犯人を追うという異色サスペンスで、インディーズ映画の祭典サンダンス映画祭で最優秀脚本賞を受賞した作品です。
公開当時、全米ではインディペンデント作品ながら、大胆で複雑な構成と衝撃のラストで、じわじわと評判が広がり、遂には全米BOX OFFICEでベスト10入りを果たした事でも有名な作品です。
この映画、実はその内容の難解さと複雑さから、インディーズ系の配給会社でさえ尻込みして、どこも買おうとしなかったという作品で、監督・脚本を手掛けたのは、今やハリウッドの名匠の座を築いた、当時31歳の新進気鋭のクリストファー・ノーラン。
主人公は、妻を殺害されて復讐に燃える元保険調査員のレナード(ガイ・ピアース)。
かすかな詩情を漂わせ、暗いユーモアも交えたサスペンス・ミステリーで、先の全く読めない、予測不可能な展開に一気に引きずり込まれてしまいます。しかも、ストーリーが何と逆行していくのです。
映画の冒頭でレナードが誰かの頭を撃ちます。
そこからフィルムを巻き戻すように、時間を遡り、少しずつ真実に迫っていくのです。レナードは、”前向性健忘症”という記憶障害に陥っていて、妻を助けようとして頭を殴られたショックから、新しい物事を記憶する事が出来なくなってしまったのです。
完全に誰を信じていいのかさえわからなくなっているのです。我々観る者は、この映画を観るのにかなりの集中力を要求されるため、観終わるとぐったりとして、かなりの疲労感に襲われますが、それは、ある意味、非常に心地良く爽快な疲労感です。
普段、いかに受け身で映画を観ているかを身に染みて実感させられます。「L.A.コンフィデンシャル」の警官役でブレークした、オーストラリア出身のガイ・ピアースの演技は衝撃的で、当時、モンゴメリー・クリフトの再来と言われていた訳が納得出来る、ナイーヴで実に深みのある演技を披露していると思います。
レナードは妻が死ぬ場面は鮮明に覚えているのに、自分の事さえ思い出せません。
彼はポラロイド写真にメモを書き込み、自分の体にタトゥーを刻んで、”記憶”を作ろうとします。謎の協力者ナタリー役のキャリー・アン・モスと、正体不明の男テディを演じるジョー・バントリアーノにも、強烈な存在感があって我々を魅了します。
レナードはナタリーの写真の裏に、「彼女も大切な人を失った。その同情から助けてくれる」と書きます。そして、テディの写真の裏には、「奴の嘘を信じるな。あいつが犯人だ、殺せ」と書くのです。
アクションと細部へのこだわりを併せ持つこの作品は、クリストファー・ノーラン監督の文字通り、出世作となり、この後、早速メジャー系の映画会社から声が掛かり、ノルウェー映画「インソムニア」のリメーク作品を撮る事になり、その後の快進撃が続いていくのです。
記憶が10分しか持たないレナードと同じ視点で、ストーリーが描かれる為、何が起こっているのかよく分からない!非常に斬新な構成だと思います。後でもう一度観返してみると、ようやく全体像が掴めてくる様な凝った作風も好みです。更に主人公の事が心配になるのですが、イマイチ信用出来ないクラクラ感も良いと思いました。