NO FUTURE A SEX PISTOLS FILMの紹介:2000年イギリス映画。1970年代後半にロンドンから現れ、短い活動期間の間にロックシーンを席巻した伝説のパンクバンド、セックス・ピストルズ。今作はメンバー全面協力のもと、活動当時の貴重な映像資料やメンバーのロングインタビューなどを綴った真実のドキュメンタリーです。
監督:ジュリアン・テンプル 出演者:ジョニー・ロットン、スティーブ・ジョーンズ、グレン・マトロック、ポール・クック、シド・ヴィシャスほか
映画「NO FUTURE A SEX PISTOLS FILM」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「NO FUTURE A SEX PISTOLS FILM」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「NO FUTURE A SEX PISTOLS FILM」解説
この解説記事には映画「NO FUTURE A SEX PISTOLS FILM」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
NO FUTURE A SEX PISTOLS FILMのネタバレあらすじ:起
1970年代後半、経済低迷による貧困と犯罪、人種差別、そして混沌にあえぐイギリス・ロンドンから登場し、数多くのフォロワーを生みながらロックシーンを席巻した伝説のパンクバンド、セックス・ピストルズ。そのわずかな活動期間に発表したオリジナルアルバムは「勝手にしやがれ!」1枚のみ。1980年、バンド崩壊後に公開された、ピストルズの軌跡や騒動を描いたドキュメンタリー風の映画「ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル」は、あくまでもバンドのマネージャーであり仕掛け人だったマルコム・マクラーレンからの一方的な視点から描いたものであり、とてもメンバーの実情を反映しているとは言い難いものでした。特に、既にピストルズを脱退しており映画製作に一切関与していないヴォーカルのジョニー・ロットンの怒りは激しく凄まじいものでした。そこで、1996年のピストルズの一時的な再結成で集結した結成時のオリジナルメンバーであるジョニー、スティーブ・ジョーンズ(ギター)、グレン・マトロック(初代ベース)、ポール・クック(ドラム)の4人は、「ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル」の監督を努めたジュリアン・テンプルに声をかけ、改めてバンドの真実の姿を伝えるために新たなドキュメンタリー映画の製作に乗り出すことにしたのです。
NO FUTURE A SEX PISTOLS FILMのネタバレあらすじ:承
セックス・ピストルズは、マルコムの経営するブティックにたむろしていたスティーブやポール、ブティックでアルバイトをしていたグレンら明日の見えない若者たちによって結成され、オーディションで選ばれたジョニーを加えてバンドの原型が誕生しました。やがて、シンプルなエイトビートのロックンロール・サウンドや反体制的な歌詞、過激なライブパフォーマンスで一気にロンドンのロックシーンを席巻したピストルズはメジャーレーベルのEMIと契約し、1976年にシングル「アナーキー・イン・ザ・UK」でレコードデビューを飾ります。この頃の彼らは、ただ純粋に音楽を楽しみたかっただけの、やんちゃで純粋なロックキッズだったのです。
NO FUTURE A SEX PISTOLS FILMのネタバレあらすじ:転
しかし、テレビのトーク番組に出演した際に放送禁止用語を連呼したことによりピストルズを取り巻く状況は一変します。新聞は大々的にバッシング記事を掲載、ライブハウスやプロモーターは一方的にライブスケジュールをキャンセル、EMIは一方的に契約を破棄するなど、イギリス国内での活躍の場は次第に狭まっていきます。バンド内の人間関係も悪化し、ピストルズのほぼ全ての楽曲を作曲していたグレンはバンドを脱退してしまいます。代わりに新ベーシストとして加入したのは、ジョニーの古くからの友人であったシド・ヴィシャスですが、シドはこれまでまともにベースを弾いたことはありませんでした。しかし、シドはそのイケメンなルックスとパンクを地で行く生き方に多くの若者が共感し、ジョニーと並ぶバンドの顔として大ブレイクを果たします。ところが、シドはナンシーという薬物中毒の女性と交際するようになり、彼女に勧められるままドラッグにのめり込んでしまいます。見かねたジョニーらはシドとナンシーを引き離そうと試みますが状況は悪化するばかりでした。
NO FUTURE A SEX PISTOLS FILMの結末
1977年、ピストルズは英国王室や停滞した社会を皮肉った楽曲「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」をリリース、エリザベス女王即位25周年の記念日に船を借りてテムズ川で船上ライブを決行します。この行動は保守的な人々の怒りを買い、楽曲は放送禁止、メンバーは暴漢に狙われるようになり、更にシドの薬物中毒の悪化が追い討ちをかけるようになっていました。それでもピストルズはこの年の秋にようやくファーストアルバム「勝手にしやがれ!」をリリースします。クリスマスの日、ピストルズは貧しい子供たちを招待した無料ライブを行い、メンバーも童心に還ってリラックスした表情を見せていました。翌年の年明け早々、ピストルズは初のアメリカツアーに出発します。しかし辿り着いたアメリカ大陸では誰も歓迎する者はおらず、メンバーはひたすら罵声と怒号の中ステージに立ち続け、疲弊も限界まで溜まっていきました。シドはツアー中もドラッグを手放せず、ステージ上からベースで客を殴る事件まで起こしてしまいます。そして1978年1月14日。ツアー最終日のサンフランシスコ公演の最中、ジョニーは観客に向かって「騙された気分はどうだい?」と投げかけます。そして、そのままピストルズを脱退してしまったのです。ジョニーを失ったバンドは瞬く間に崩壊していき、間もなくシドも薬物中毒の果てに短すぎる生涯の幕を閉じます。時は流れ、インタビューを受けるジョニーは、シドを救えなかったことを悔やみ、涙を流し始めるのでした。
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