シビル・アクションの紹介:1999年アメリカ映画。小さな町で、工場による環境汚染で白血病にかかり、亡くなる子供が多く出ます。金にしか興味がない弁護士が遺族から訴訟依頼を受けますが・・・。実際に起きた訴訟事件を基に描いた社会派ドラマ。ロバート・デュヴァルが全米映画俳優組合賞助演男優賞を受賞。
監督:スティーヴン・ザイリアン 出演:ジョン・トラボルタ(ジャン・シュリクマン)、ロバート・デュヴァル(ジェローム・ファッチャー)、トニー・シャルーブ(ケヴィン・コンウェイ)、ウィリアム・H・メイシー(ジェームズ・ゴードン)、キャスリーン・クインラン(アン・アンダーソン)ほか
映画「シビル・アクション」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シビル・アクション」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「シビル・アクション」解説
この解説記事には映画「シビル・アクション」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シビル・アクションのネタバレあらすじ:告訴
ジャン・シュリクマンは、雑誌に「街中の女性が狙う独身男性」と紹介され、ポルシェで街を走る凄腕の弁護士。「彼らの痛みは僕の痛み」と宣伝文句を言いながらも、金につながる訴訟しか興味がない男です。ある日、ラジオの生放送中にアン・アンダーソンという女性から電話相談を受けます。2年前に息子を白血病で亡くして訴訟依頼をしているが、ジャンの事務所に何度も電話しても全く音沙汰がない、ウーバンに来て私達に会ってほしいと言われてしまいます。ラジオ中に恥をかかされて怒りを感じるジャン。帰って、同じ事務所で働く弁護士ケヴィンにその件について聞いてみると、その地域で15年で白血病患者が12名出ていて、そのうちの8名が子供であり、2つの井戸からトリクロロエチレンという発ガン物質らしいものが出たために閉鎖されていると言います。すると、同じく事務所で働く財務担当のジェームズが、発ガン物質「らしい」とうことは、医学的実証のための費用が必要になるから、この事件は好ましくないと言います。ジャンもその意見に同意し、自分で断りに行くことにします。アン・アンダーソン達に会い、話を聞くジャン。アンは、私達は賠償金はどうでもいいから何が起きているのかハッキリ知りたい、そして、その原因を作った責任者から謝罪の言葉がほしいと言います。ジャンは、その責任者とは?弁護士費用は誰が?3人の弁護士しかいない小さな事務所だから採算が合わないと答えます。汚染の原因かもしれない製革工場があると言われますが、サッサと断って去るジャン。そこからの帰り道、橋の上でスピード違反で捕まります。何となくそのまま川を眺めて橋から川岸を歩いてみたジャンは、製革工場に辿り着きます。工場から真っ黒な排水が流れていたりと確かに不穏な空気が漂っています。会社名を見ると「グレース社」「ライリー製革会社・ベアトリス食品子会社」とありました。グレース社はヨーロッパと日本にも工場を持つ化学工場、ベアトリス食品はオレンジジュースやピーナツバターから下着まで様々な商品を展開している大手企業です。これは金になると確信したジャンは引き受けることにし、2社に告訴状を送るのでした。
シビル・アクションのネタバレあらすじ:莫大な調査費用
法廷でグレース社の弁護士チーズマンとベアトリス食品の弁護士ファッチャーと顔を合わせたジャン。判事のスキナーはジャンに非難を込めた態度を取って笑いが起こります。ベテランのファッチャーはそういうことには興味がなさそうで、自分のカバンにテープを貼って修理をしていたりと飄々とした態度です。業者に工場による汚染の調査を依頼するジャン。2社は工場の裏地に有毒な溶液を廃棄し、それが地面を伝って井戸に流れ込んだんだろうと言われますが、そのことを立証するには大チームを組んだ調査が必要になり、費用が膨らんでしまうのでした。ジャン達はグレース社の従業員達に有毒廃棄物について聞いていきますが、有毒廃棄物はドラム缶に入れたりしているが、裏地に捨てているのは知らないし聞いたこともないと言います。しかし、一人だけ裏地に捨てているのを見たという従業員がいました。その男、アル・ラブは、隣にいる弁護士チーズマンが話すのを阻止しようとしても、昔、家族が汚染された水を飲んでいて健康を害したことなども話してくるのでした。ジャンは、子供を亡くした遺族達とファッチャーの事務所を訪れて質問を受けます。ある父親がファッチャーに聞かれて子供が亡くなった時のことを話しますが、次第に涙を堪えきれなくなります。ジャンは、ライリー製革会社のライリーからも話を聞きます。ライリーがトリクロロエチレンのことを知っているのは確かだと感じるものの、会社の書類は3年分しか保管していないと言い、ライリーに逆らう従業員もいないため、確実性のある話を聞けないまま無駄に時間が過ぎるのでした。ジャンの事務所の職員はすべてこの案件だけに関わっているために収入ゼロの状態、汚染の地質調査も莫大な金額がかかっているため、すでに使った費用は140万ドルを超えてしまっていました。
シビル・アクションのネタバレあらすじ:証言
ジャンは、アン・アンダーソンと一緒にアル・ラブの家に行き、更に詳しい話を聞き出します。アルは、他の従業員も見ていたはずなのに誰も真実を話していない、検査官の目を逃れたドラム缶が50本以上あるはずだと話します。従業員達は話したがらないが、もう工場を辞めているボビーなら話してくれるかもと聞き、早速会いに行くジャン。ボビーも有毒廃棄物は裏地に捨てていたと話します。自分も捨てたことがあり、穴を掘ってそこに流し込んで要らないものは全部そこに投げ込んだとも言います。後日、他の従業員達もそれを「水泳プール」と呼んで、ドラム缶を投げ込んでこいと指示されたと証言し出します。自信に溢れた笑みを浮かべるジャンと頭を抱えるチーズマン。真剣に話を聞いているフリをして、ノートに首を吊ったチーズマンの落書きをしているファッチャー。ここから示談に持ち込みたいと考えるジャン。後日、ファッチャーが来ます。相手はグレース社だけで十分なはず、ベアトリス食品と私を外してくれたら、これまでにかかった費用は払う。遺族達に証言台で胸の痛むような話をさせて、陪審員が涙を拭うようなことを私がさせると思うか?と言われます。チーズマンからも連絡があり、示談に応じるから額を提示してほしいと言ってきます。いつものジャンならここで喜ぶところですが、ファッチャーの言葉を聞いた後では、白血病で子供を亡くした父親の悲痛な様子が思い出され、考え込んでしまうのでした。ジャン達は、ホテルでチーズマン、ファッチャーと示談のための話し合いをします。ジャンがチーズマンに提示した額は3億2000万ドル。事務所は火の車のため示談金をアテにしていた財務担当のジェームズは、ジャンが言い出した途方もない金額に呆気に取られます。示談は成立せず、裁判に持ち込まれることになりました。
シビル・アクションの結末:裁判
スキナー判事の元、裁判が始まります。ジャンは、小さな町ウーバンでは病気が多く死亡率が異常に高いことを陪審員に訴えて製革会社のライリーを呼んで質問していきますが、ファッチャーはジャンは人が被った苦痛や死を金に換算していると訴えたり、ジャンのリズムを意図的に狂わせる作戦に出ます。ジェームズは事務所の金策に困り果て、家の権利書や集めてたお宝の金貨を持って銀行に融資を頼みに行ったり、宝くじに希望を託すまでになっていました。ジャン、スキナー判事、チーズマン、ファッチャーの4人で話し合いが行われます。ファッチャーは遺族達を証言台に立たせるのは辛い思いをさせるだけだと言い出し、スキナー判事も同意して遺族達に証言をさせるのは無しになってしまいます。ジャンは、遺族達は証言台に立つことを望んでいるし、これはファッチャーの策略だと訴えても聞く耳を持ってもらえません。スキナー判事は、裁判の継続の是非を決めるために陪審員に3つの簡単な質問をすると言い、その質問とは「原告側はグレース社とベアトリス食品が1964年10月1日から1968年の8月27日の間にトリクロロエチレンを所有地に廃棄したと立証したか?」など、化学者でも特定が難しい日付まで指定して聞くという無茶なものばかりです。ジャンは、いっそ日本語で質問したらいいとスキナー判事に怒りますが、どんどん不利な状況に追い込まれてしまうのでした。ジャン、ファッチャー、チーズマンが廊下で陪審の評決の結果を待っていると、ファッチャーがジャンに話しかけてきます。チーズマンは有罪だが私は無罪になると思うと。ジャンは真実が勝つと答えますが、ファッチャーは長年弁護士をしててまだそんなことを?真実らしいものが暴かれりゃラッキーだと言います。評決の結果はグレース社は有罪、ベアトリス食品は無罪でした。グレース社と示談の話し合いが行われることになります。ジェームズは800万ドルで事務所は救われると言いますが、ジャンは渋い顔で俺の家を抵当に入れればいいと言います。しかし、すでにジャンを含むみんなの家は抵当に入れてあり、老後年金や保険も担保に入れて消えていました。グレース社の副社長から示談金として800万ドルを払うと言われますが、ジャンは1000万ドルを要求して話し合いは難航します。机や家具や調度品はすべて売られ、暖房もつけられない事務所で、ジャンから金のことばかり考えていると言われたジェームズは限界になり、怒りをジャンにぶちまけます。800万ドルの示談に応じることにしたジャン。示談金から調査の費用などを引いて、一家族に対して37万5000ドルが支払われることをアン達に伝えますが、お金はどうでもいいと最初に言ったはず、これが謝罪なの?と言われてしまいます。ジェームズ達はみんな去り、一人で小さな法律事務所を立ち上げたジャン。周囲からの騒音だらけのアパートでサンドイッチを食べながら、ふとコップに入った水を見て事件のことを考え始めます。製革工場のライリーが有毒廃棄物を捨てるのを見た人物を探すのではなく、有毒廃棄物の痕跡を消した人物を探すべきだったと気付いたジャンは一人で調べ始め、その時期にライリーから頼まれて裏地から大型ダンプで運び出した人物を探し当てます。その人物からの証言をテープに録音したものの、またベアトリス食品やグレース社相手に控訴をするだけの資金も人材もないジャンは、環境保護庁に資料とテープを送るのでした。後日、環境保護庁がグレース社とベアトリス食品を起訴した事により、グレース社の工場は閉鎖され、ライリー製革工場は取り壊される事になりました。そのことを伝える新聞記事を読んで微笑むアン。その上、グレース社とベアトリス食品が6940万ドルを払って汚染の浄化が行われる事になります。ラジオと14ドルしか所有していないまでの生活になったジャンでしたが、数年で借金を返済し、環境法専門の弁護士になるのでした。
以上、映画シビル・アクションのあらすじと結末でした。
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