パリ・ルーヴル美術館の秘密の紹介:1990年フランス映画。今なお人々をひきつけてやまないルーブル美術館。80年代に改修工事が行われ今の姿になるまでを追う。ルーブルはいかにしてそこにあるのか。今まで撮影が許されなかったルーヴル美術館の裏側を撮影し、フランスやヨーロッパ全土で絶賛されたドキュメンタリー映画。
監督:ニコラ・フィリベール 出演:ルーブル美術館職員
映画「パリ・ルーヴル美術館の秘密」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パリ・ルーヴル美術館の秘密」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「パリ・ルーヴル美術館の秘密」解説
この解説記事には映画「パリ・ルーヴル美術館の秘密」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パリ・ルーヴル美術館の秘密のネタバレあらすじ:美術品の搬入
ルーブル美術館の前庭に横付けしたクレーン車が絵を紐で縛り、上に引っ張ると、窓の一部が床まで開き中へ搬入する搬入。館内には業務用通路が張り巡らされローラースケートで走る職員や荷台を操る職員もいる。事務室では郵便物の処理や、電話を受ける専門の職員が今日も働いている。フランス絵画の展示回廊には壁に絵をつるすためのフックを埋め込んだ後、次々と絵画が運び込まれ、床に置いてみてからその並び方を吟味していた。とあるに一室に自然光が注ぐ。そこでは、専門のスタッフが絵画の修復にあたっていた。あるものは付着物をこそぎ、あるものは仕上げにコート剤を塗っていた。大絵画をどうやって部屋に運び込むかシミュレーションするスタッフたち。彼らはまかれたキャンバスを、絵を壁でこすらないようにして運び込んだ。それを丁寧に平らに戻していると端の画材がカビによって剥離し、落ちてしまった。同じようにして他の大絵画も運び込まれた。スタッフルームに姿見が運び込まれる。スタッフたちは身なりを整え、男性はワイシャツにネクタイ、部屋のtジャケットという服装。シャツではなくセーターを着てきた男性に、家を出てくる時からちゃんとしてくるようにと激が飛んだ。
パリ・ルーヴル美術館の秘密のネタバレあらすじ:美術品を保管する場所としてのルーブル
出土品の間の扉を開けると細い通路が下の収蔵庫まで繋がっているそれはまるで地下迷路よう。運んでいたのは出土品の小さなツボで、番号が振られていた。彫刻の間は床が一部、エレベーター式になっていて地下の収蔵庫に繋がっている。そこには引き出しもあり、焼き物で作られたイコンも保管されている。フランス絵画の展示のために絵画の並び順を考える二名のスタッフ。ル・ナン、ブルトン、ガルニエの絵の並びについて、画家ごとにまとめるかどうか、もっと効果的な見せ方があるか、考えていた。絵画の収蔵庫は壁が引き出しのようになっていてそこに絵がかけられている。その絵をチェックするスタッフ。防火訓練では、水や薬剤ではなく、零下80℃の霧を噴射する消火器を使う。所蔵品を傷めないための工夫がみられる。セーヌ川の大通りから、運び込まれる彫刻には目がはめられていて、まるで運ばれながら街並みや美術館を見渡しているように見える。石板に刻まれた楔文字の溝をひとつひとつ掃除するスタッフ、出土品をノギスで測るスタッフ、また胸像の高さを測る者もいる。彫刻をクレーンで運ぶ際には、傷がつかないように太い布で吊るし、展示場所まで運ぶ。絵画の回廊は天井から光を入れているので、天窓をひとつずつ丁寧に磨く。収蔵庫では、図録のためのタペストリーの写真撮影が行われ、古い彫刻の泥汚れは表面を傷つけないように空気を吹き付けて吹き飛ばす。それらを展示する部屋は、白い漆喰で壁が整えられていった。絵画には絵の他に額縁を修理する職人がおり、古い金箔をはりなおしていた。彫刻の小品の収蔵室では、作品がそれぞれラベルを首からかけていてすべてに番号が振られている。その中には19世紀末に入館者に壊されてしまったものも入っていた。スタッフ一人はティツィアーノの胸像を探していて、もう一人のスタッフに特徴を言うと、それはダ・ヴィンチの胸像ではないのかと二人で悩みこんだ。北方ルネサンスの肖像画の展示室では、肖像画ひとつを飾るにもその配置に一センチ単位の気配りをしていた。まだその展示スペースは完成しそうにない。フランス絵画の回廊では引き続き二人のスタッフが悩んでおり、並びを考えるためにとりあえずおいては眺め、絵画の色味で統一しようと話し合っていた。
パリ・ルーヴル美術館の秘密のネタバレあらすじ:美術館とそのスタッフ
入口のガラスのピラミッドが内側から外側から磨き上げられ、外の噴水も底を掃除されていた。力仕事の多い美術館の中には、スタッフ専用のジム顔負けのトレーニング室があり、それぞれに体を鍛えている。大絵画の間では、床にいっぱいに伏せた絵を水平に貼るように起こしてから、滑車に乗せ、壁まで運ぶ。ひとつの絵に十人以上のスタッフが手作業で当たっていた。厨房ではスタッフ分の食事が作られ、休憩時間にはペタンクに興じている者もいた。応急処置の講座も開かれ、職員が意識確認、気道確保から人工呼吸までを習っていた。彫刻展示室の隠しエレベーターから、古代の彫刻が上がってくる。彫刻は一つ一つ台車に乗せられ、展示場所場で運ばれる。彫刻展示室は天井が高く、柱の上部にライトを配した。そしてそれぞれに説明の板が貼り付けられ、展示室が整っていく。事務所では緑青の詰まりのある彫刻をどうするか、話し合われていた、美術商から手に入れたものなので、来歴があいまいだった。イタリア絵画の回廊では、ダ・ヴィンチの岩窟の聖母を設置する直前で、裏の額縁の埃をキャンバスに響かないように吸い取ることに苦心していた。修復室は展示の催促が来るが忙しい部署なのだと一蹴。
パリ・ルーヴル美術館の秘密の結末:ルーブル美術館の役割
できるだけの絵を展示し来訪客を途方に暮れさせるか、選び抜いた絵を並べるか。そうしたらプッサンは半分になる。ルーブルは幾度も訪れる書物のようなもの、観光客のためだけなら、ミロのビーナスとモナリザなどの名品をまとめて飾ればいい。しかしそれをすると人々は館内を歩くのをやめ知的刺激を得ることはなくなってしまう、多すぎると愕然とするだろうが、選択肢をたくさん用意したい。と、ルーブル美術館の方針を語る、フランス絵画の担当者。モナリザと、ミロのビーナスはそれぞれの場所でガラスを磨かれている。毎日、調度品の時計の類のねじを巻き、時間を合わせる人、天井をめがけ空砲を発射し、音の反響の具合を計測する技師。救急訓練は一階から荷物抱え階段を駆け上がる所から。ルーブル美術館の展示は完成し、後は開館を待つばかり。それぞれの部屋とスタッフが映される。従業員は1200人、そのうち警備員375、修復部54、各職人150、各部署担当者、学者等多岐にわたる職種が美術館に関わっている。その所蔵品は約30万点。最後に監督から感謝の言葉がつづられる。
パリ・ルーヴル美術館の秘密のレビュー・考察:ルーブル美術館とは。
ルーブル美術館は展示の他、修復、収集、研究など、日々進化していく。私たちが目にしているのはルーブルの持ち物の一部に過ぎない。現在はランスに続いて二つ目の分館を国外に作り収蔵品を分けて展示する計画が進められている。ルーブル美術館の本質は、あくまでも収集した品をしまっておくのではなく、人々の前に提示することにある。それはもちろん知的好奇心を刺激するため。好奇心を満たすのではなく、あくまでも刺激し、さらなる好奇心を引き出す、なんど尋ねても不思議な空間である。
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