コンドルの紹介:1975年アメリカ映画。CIAの外郭団体で暗号文の研究を行っていたターナー、その職場がある日襲撃され彼を残し壊滅する。彼は逃げながらも、戦略的になんの意味を持たない研究部署が狙われた真相を探り出していくが、そこには恐るべし陰謀が隠されていた。ロバート・レッドフォード主演のスパイサスペンス映画。
監督:シドニー・ポラック 出演:ロバート・レッドフォード(ジョー・ターナー(コンドル))、フェイ・ダナウェイ(キャシー・ヘイル)、クリフ・ロバートソン(ヒギンズ)、マックス・フォン・シドー(殺し屋)、ほか
映画「コンドル」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「コンドル」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「コンドル」解説
この解説記事には映画「コンドル」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
コンドルのネタバレあらすじ:第1幕
ターナーは、アメリカ文学史協会に所属する研究員でした。しかしこの団体はCIAの外郭団体で、新聞や文学、文書の名の付く物全てに隠された暗号を研究し、時には見付け出して報告する部署でした。他国の情報機関から見てもほぼ無害な部署ですが、しかしそこを監視する男がいました。彼は、部署に所属する人物の資料を持ち、静かに見張ります。ターナーは、ある暗号に関して本部に問合せを行っていましたが、彼が考えたような事実はないという返事が返って来て落胆します。遅刻が多く、勝手に問い合わせたりするする彼に部署を統括する博士はお冠で、昼食の買出しを当番だと行かせます。ターナーは雨が振っているので、裏口と裏道を使って、極力濡れない様にデリカテッセンに向かいます。その時、監視していた男の手引きにより、協会が襲撃されます。職員達は皆殺しにされ、男達は事を済ますと、監視カメラのテープ等、証拠を残さずすぐに去って行きました。ターナーが買出しに戻ると、そこは血塗れで屍しか残っていませんでした。彼は慌てて受付の机にある銃を取り、所員が皆殺しにされている事を確認してその場を離れます。全てが怪しく見える中、彼は公衆電話から本部へ連絡を取ります。自分のコードネーム、コンドルが確認されると、彼は身を隠すように言われ、指定された時間に再度電話を掛けるよう指示を受けます。1部署壊滅の情報は、本部のヒギンズに即座に伝えられました。ターナーは、本日欠勤していた同僚の事を思い出し、そこに匿って貰おうと向かいますが、彼も殺されていました。
コンドルのネタバレあらすじ:第2幕
時間になり、ターナーは本部と連絡を取ります。するとヒギンズは、あるホテルの裏路地に、彼の上司に当たる人物、ウィクスを迎えに出すので来るように言います。しかし疑心暗鬼のターナーは、見知らぬ人物では駄目だと拒否します。そこでターナーの古い友人、サムが迎えに行く事になりました。サムは突然呼び出され、防弾チョッキを着せられ、ウィクスと共に待ち合わせ場所に連れて行かれます。その場所でサムの姿を見つけたターナーは、慎重に近付いていきました。その時、ウィクスが発砲します。ターナーは咄嗟に反撃し逃走、ウィクスは被弾しつつサムを射殺しました。ターナーは適当にな店に入ります。そこで買い物をしていた女性キャサリンが車に乗る所を銃を突き付け一緒に乗り込み、彼女を拉致誘拐して車を手に入れます。CIAは五大陸貿易会社というダミー会社でターナーに関する会議を開きます。出席者の中には、逃走の手際の良さに2重スパイの疑いを向けます。しかしヒギンズが、逃走は本で覚えたのだろうと冷静判断します。ターナーは、キャサリンにアパートに逃げ込み自分の身分を明かし、暫くそこに隠れる事にしました。襲撃を指揮した殺し屋はCIAの幹部と会い、なにやらターナーの事に関して話し合います。そのターナーは、テレビニュースを見てサムが強盗に殺されたと隠蔽された事を知ります。彼は、サムの妻に連絡を取ろうとしますが思い直し、キャサリンを縛り上げ家に残し、車で移動します。彼はサムの家に向かいました。サムの妻は夕食の準備をしており、サムが死んだ事は知らないようでした。ターナーは彼女に身を隠すよう説得し、そこを離れます。その帰りのエレベーターで、彼は殺し屋と乗り合わせます。若者がいたずらしてボタンを各階押したりして不便になったにも関わらず、その男が降りないことからターナーは激しく警戒します。エレベータが1階に着き、ターナーは男に先に降りて貰います。そして入口にたむろしていたを誘い、人込みを作って外に出ました。待ち構えていた殺し屋は狙撃が出来ず、ターナーを見逃します。しかし、逃げていく車のナンバーはしっかり確認していました。
コンドルのネタバレあらすじ:第3幕
ターナーはキャサリンの家に戻ります。すると電話が鳴っていました。キャサリンは、先にスキーに行った恋人と合流する手筈になっていたので、その催促だろうと想像出来ました。彼はキャサリンを脅し、うまく対応させます。電話内容を盗み聞きし、二人の仲が悪くなりそうになっている事に同情した彼は、明日の朝出て行くと言い出します。キャサリンもターナーの話を聞き、彼に同情を感じ始めました。ターナーはキャサリンを残しベッドを抜け出し、今回の一件をまとめ始めます。一面識もない上司ウィクス、自分が自信を持って出したにも関わらず裏づけがないと返って来た報告書、それを更に上に報告したのはウィクスの筈だと思い、彼はキャサリンに協力を頼みます。その頃、ターナーに撃たれ病院に搬送されていたウィクスは、死亡させれていました。キャサリンの家に届け物が来ます。配達員は言葉巧みに家の中へ入ってきました。その配達員の靴を見て、ターナーは警戒します。その途端、配達員は銃を取り出し二人に襲い掛かりました。ターナーは格闘の末、配達員から銃を奪い、返り討ちにします。彼は動揺するキャサリンを宥め、配達員のポケットから、鍵と五大陸貿易のメモを見付けます。彼はCIAに電話して探りを入れ、裏にCIAがいる事に気付きます。キャサリンは、CIAのニューヨーク支局に潜り込みます。そこでヒギンズを確認し、昼食の為外に出た所を誘い出し、ターナーはヒギンズを拉致します。そこで彼はヒギンズに、殺し屋が来た事を激白します。ヒギンズはターナーの訴えを聞いて調べ、元CIAの殺し屋ジュベールが彼を狙っている事を教えます。ターナーは、自分の報告書のせいだと言います。アラビア語圏で、暗号を用いてやり取りをしているCIAのネットワークを見付けたのです。それを報告したウィクスは、死んだという事も教えられました。ターナーはヒギンズに保護を求めますが彼は断ります。そこでターナーは囮にされる事に気付き、ヒギンズと別れます。
コンドルの結末
CIA内部で何かある事を察したターナーは、独力で陰謀に挑みます。彼は電話工事の車両から道具を盗み出し、鍵屋に金を掴ませてどこ鍵かを調べます。そして、盗んだ工事用の電話でジュベールの泊まっているホテルに電話し、動揺させます。ジュベールは慌てて黒幕と連絡を取り、それを盗聴していたターナーは会話を録音、電話番号からアトウッドという人物の名と住所を調べます。ターナーは電話会社に忍び込み、ヒギンズに連絡を取ってジュベールの居場所を話し、アトウッドの事を聞きます。ヒギンズは当然逆探知しますが、ターナーの細工でそれは出来ませんでした。ターナーはアトウッドの居るワシントンに向かいます。キャサリンとはその前に別れました。今の男と別れる事が出来ないという彼女に、せめて昼間では秘密にして置いてくれと彼は頼みます。深夜、ターナーはアトウッドの屋敷に忍び込み、書斎に彼を誘き出して銃を突き付け問い詰めて行きます。その最中、彼はこの一件の根底が石油にあると気付きます。アトウッドはそれを認めました。その時、ターナーの背後にジュベールが立ちます。ジュベールはターナーに銃を捨てさせるとそれを拾い、詰めが甘いと言って自分の銃でアトウッドを撃ち殺します。そしてその銃を彼に握らせ、ターナーの指紋を拭き取り自殺に見せ掛け隠蔽工作を終了しました。質問を浴びせるターナーに、ジュベールはCIAに依頼された事だけを認めました。ターナーが自分も標的かと聞くと、ジュベールは依頼されていないと答えました。何事も無かったかのように屋敷を出ると、ジュベールは逃走時に選んだ協力者の選択基準を聞きます。ターナーはたまたまと答えました。ジュベールはターナーに、いずれ親しい誰かが今と同じように車に乗せると日が来ると忠告し、一緒にヨーロッパに来ないかと誘いを掛けます。しかしターナーは、故郷を離れられないと断ります。ジュベールは銃を返し、ターナーを駅に送ります。道歩くヒギンズをターナーは呼び止めます。護衛の車が止まり、ターナーは銃を隠し持っていると言って一緒に歩かせます。ヒギンズは車を行かせて話を始めます。中東への戦争を考えているのか聞くターナーに、ヒギンズはあくまでゲームで一つの案だと答えます。しかしアトウッドは実行する気で、ターナーが気付かなければ国は容認したであろうとヒギンズは認めます。7人死ぬのもゲームの内だとも言い切りました。いつの間にか二人はニューヨークタイムズの目の前に来ていました。ターナーはCIAが中東侵攻を画策している事を話したと言います。ヒギンズはターナーを非難します。そして、誰も守ってくれない、不幸な終わり方を迎えると脅します。ターナーはそれを聞きながら去ります、そんな彼にヒギンズは、新聞が発行されると思っているのかと問い掛けます。ターナーは、発行されるさと言い返し、人込みに消えて行きました。しかし彼の顔には、確信が持てない、そんな表情が浮かんでいました。
「コンドル」感想・レビュー
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この映画の残念なところは、主人公が女性写真家を拉致して脅迫するうちに、なぜか愛し合い、おまけにメイク・ラブにまで発展するところです。ここらへんがありえへんワールドです。
これならいっそはじめから恋人として設定したほうが、自然だしよかったのでは。ふたりのハラハラドキドキの逃避行のほうが、ぐっと胸にせまると思うのですが。
これは本当におもしろい映画だった。フェイダナウェイとレッドフォードの絡みも切なく色を添えていた。スパイ映画の最高傑作といってもいいだろう。